年末に、テレビでクラシックのコンサートを楽しんだ。「ジルベスター」と「第九」である。
12月31日に放送された「東急ジルベスターコンサート 2004−2005」。渋谷の Bunkamura を会場に行われた生放送である。曲はラヴェルのボレロで、曲が終わると同時に新年を迎えるという、カウントダウンが行われた。10周年記念だという。
(テレビ東京2004年12月31日23:30-2005年1月1日0:45放送「ジルベスターコンサート」より)
スネアドラムは指揮者の真ん前に配置されていた。曲の最初から最後まで同じリズムを刻む。リズムは「じーんせーいらくありゃくーもあるさー」の水戸黄門の主題歌と同じである(歌詞)。同じリズムを延々と続けなければならないというだけで気が狂いそうなのに、打楽器奏者にはそれ以上にプレッシャーがあるのだ。1つは音の強弱である。最初は一番小さなピアニシモで始め、最後のフォルテシモに向かって、徐々に大きくしていかなければならないのである。この延々と長いクレシェンドはつらい。演奏者はピアニシモに一番気を遣う。ピアニシモの音量がオーケストラ全体のダイナミックレンジを決定するからである。そしてピアニシモでの演奏が最も難しいのである。
(テレビ東京2004年12月31日23:30-2005年1月1日0:45放送「ジルベスターコンサート」より)
めでたく曲の終了と同時に新年の0時0分0秒を迎えた。ジルベスターとは(Silvester)、「ジルベスタ・スタローン?」ではなく、ドイツ語で大晦日の意味である。
さて、年末のコンサートと言えば、「第九」がある。これを聴いてこそ年末という気がする。
ベートーベンの交響曲第9番ニ短調作品125「合唱つき」では、合唱団の配列が興味深かった。ソリストの後ろの合唱団は、向かって右側に男声部、左側に女声部を配置し、左側に行くにしたがって音が高くなるようにするのが通例である。
(日本テレビ2004年12月30日(29日深夜)1:40-2:55放送「読売日響“第九コンサート2004”」より)
読売日響は、男声部を中心に配置し、女声部を右と左に分けていた。女声部は左側がソプラノ、右側がアルトだろう。重低音である男声部を中央に置くことにより、安定度を増すための工夫だと思われる。
管弦楽: 読売日本交響楽団 第461回演奏会、12月21日(火) サントリーホール、指揮: マンフレッド・ホーネック、ソプラノ: 佐藤 しのぶ、アルト: 坂本 朱、テノール: 中鉢 聡、バリトン: 三原 剛、合唱: 武蔵野音楽大学、合唱指揮: 松井徹 (POPULAR SERIES)
(日本テレビ2004年12月30日(29日深夜)1:40-2:55放送「読売日響“第九コンサート2004”」より)
指揮者のマンフレッド・ホーネック(Manfred Honeck) (インタビュー)
テンポが速めだった。
(NHK 2004年12月31日(30日深夜)1:35-3:10, 19:00-20:30(再)放送「N響“第9”演奏会」より)
N響は、男声部を後ろに、女声部を前に配置していた。これは珍しい。左右に分けるのではなく、前後に分けているのである。音の高さと音量の両面でバランスのとれた構成である。この配列で問題なのは「どうやって指揮をすればいいのか分からない」ということである。男声部の指揮をしようとすると、すぐ手前に女声部があるため、指揮される側が混乱する可能性があるのだ。そのため、多くの指揮者が候補に上げるが実現されない配列なのである。
管弦楽: NHK交響楽団2004年12月23日 NHK ホール、指揮: クシシュトフ・ペンデレツキ、ソプラノ: 大倉由紀枝、メゾ・ソプラノ: 永井和子、テノール: 市原多朗、バリトン: 福島明也、合唱: 国立音楽大学、合唱指揮: 田中信昭、永井宏
(NHK 2004年12月31日(30日深夜)1:35-3:10, 19:00-20:30(再)放送「N響“第9”演奏会」より)
指揮者のクシシュトフ・ペンデレツキ(Krzysztof Penderecki)。
私の好みはこちらの演奏だった。
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