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Photo 列車のイロハ記号

列車の車体には「キハ201」とか「クハ204」などのカタカナと数字からなる記号が書いてある。「キ」は気動車,「ク」は「くっつく」の意味だという。

■ ■ ■

列車の車体に書いてある記号には,もちろん意味がある。自動車の登録番号には「ち」とか「ね」などのひらがなが書いてある。列車には「キ」や「モ」などのカタカナが書いてある。自動車の場合はおそらくナンバーの種類を増やすことに重点が置かれているように思えるのに対し,列車の車体ナンバーは車両の形式を表わすことが目的である。

モハ
モハ


「モハ204-220」の「モ」は「電気モーター」の「モ」,「ハ」は普通車の客車であることを示している。もともとは客車の等級によって順にイロハをつけていたので,それの名残である。「イ」は一等車,「ロ」は二等車,「ハ」は三等車だった。現在では一等車はなく,二等車はグリーン車の意味になっている。

記号
昔の意味
現在の意味

一等車
-

二等車
グリーン車

三等車
普通車
クハ
クハ


「ク」という車体もある。これは制御車についている記号なのだが,「制御車」には「ク」の文字が入っていない。「ク」の由来は「駆動制御車」「空気ブレーキ」「クルー(乗務員)」「コントロール(クォントロール)」ではないかと諸説あるが,どれも違うそうだ。

2005年3月7日放送のNHK「お元気ですか日本列島」の「気になることば」コーナーによれば,鉄道ピクトリアル 1956年6月号(昭和31年) 付録の鉄道用語小事典には次のような説明があるという。

制御車及び貨車の車運車に冠する記号。制御車のクは電動車にくっつけて走る意から出たという。

交通博物館に保存されている昭和24年発行の「鉄道用語小事典」にも次の説明があるという。

電動車にくっついて運転される

したがって,「くっつけて走る」の「ク」なのである。

サハ
サハ


「サ」という車両もある。これはモーターもついておらず,制御するわけでもない,ただの客車である。この「サ」の意味は「さしこまれている」に由来するという。「モーター」のある車両の間に差し込まれているからである。ちなみに,「サ」の客車はモーターがついていないため静かだそうだ。今度乗るときには気をつけてみよう。

「くっつく」とか「さしこまれている」など,純日本的でとてもよろしい。アルファベットばかりがよい訳ではないのだ。

記号
意味

くっつけて走る

差し込まれている

気動車 (ディーゼル車)

電動モーター

東京の神田にある交通博物館 は老朽化のため来年2006年春頃に閉館することが決まったそうだ(Akiba ニュース)。交通博物館のウェブサイトには,いつ閉館するかの明確な記述はないが,「さようなら交通博物館」と題した特別展示が行われている(交通博物館 : 催し物のおしらせ)。小学生の頃に社会科見学で行って以来ご無沙汰しているような気がする。閉館する前に行ってこようと思っている。

そうそう,「クハ72」という九九のダジャレのような車両を長年探しているが,いまだに見つけられない。

Posted by n at 2005-07-09 23:34 | Edit | Comments (11) | Trackback(0)
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Comments

貨物車になると更に記号が増えますよね。小学生の頃、車掌車両である"ヨ8000"に乗って亀戸駅から海の方へ分かれていく貨物線を通ってみたいと思っていました。

Posted by: yanagi at July 10, 2005 23:52

 本の受売りで恐縮ですなのが、どうやら国鉄〜JRには「クハ72」というのは存在しなかったようです。
cf.
沢柳健一:旧型国電50年II,JTBキャンブックス,2003

Posted by: はしご at July 11, 2005 23:26

そうですか。「クハ72」は存在しませんでしたか。
これでキッパリ諦めることができます。情報ありがとうございました。

Posted by: n at July 12, 2005 00:34

縦に読むとクサキモ・・・

Posted by: じゅん☆ at July 22, 2005 18:25

じゅん☆さん
おぉ! 気づいていただける人がいるとは感激です。そのように意識的に並べました。実はそれでもって投稿する時間を丑三つ時にしようかと思ったのですが,話がそれるのでやめたのでした。

Posted by: n at July 22, 2005 21:27

はじめまして。
おいらは「クサ(イ)キモ(イ)」と読んでしまったので、一瞬「丑三つ時ってどういう意味だろう?」と思ってしまいました(笑)

あ、実はだいぶ前からMTカスタマイズ関係でこちらのブログには大変お世話になっていました。
しょーもない初コメで恐縮ですが、これからもよろしくお願いします。

Posted by: McCOCK at July 31, 2005 12:04

「クサ(イ)キモ(イ)」と読むとは思いませんでした。
読めるような気がします。そう思い込むと確かに読めます。クサッ! キモッ! (アハハ)

Posted by: n at July 31, 2005 22:36

 『電動車にくっついて運転される。したがって,「くっつけて走る」の「ク」なのである。』とのご高説なれども、それならば「クモハ」の場合にははどういうことになるのでしょうか。何故ならば、「クモハ」には運転台もついていますが、モーターもついているからです。
 「くっつく説」が正しいとすれば、「ク」という車両には、運転台がくっついている車両であるというのがもっともらしいのですが、如何でしょうか。
 尚、NHKの説明には「クモハ」の場合に論理矛盾が発生するとして、まだ回答はないものの投書ずみです。
 又、JR西日本にも、NHKに投書ずみであると断った上で、NHKの説明を引用して、正しくはどうなのかと問い合わせております。

Posted by: 高瀬 明 at November 09, 2005 20:33

高瀬さん
なるほど「運転台がくっついている」と考えると,すべて説明ができそうです。しかし,これは現在を基準にした見方でもあります。
「クモハ」について,私は次のように考えています(数字は時系列を表わしているとします)。
1. 当初「ク」は電動車にくっついて走るの意味でつけられた。このとき運転台は電動車にはついていなかった。
2. 次第に「くっつく」の意味が薄れ,「ク」は運転台のついている車両を意味するようになった。
3. 運転台のついている電動車が登場し,「クモ」とされた。
これは私の推測でしかありませんが。

何か分かったら教えてください。

Posted by: n at November 11, 2005 22:47

 当時、「運転台は電動車にはついていなかった」とのご高説ながら、それでは次のような矛盾などが生じるのではないでしょうか。
 尚、これは更にその後、2回に亘ってNHKに投稿したものです。

平成17年11月11日

1.『日本車輌広報部による「路面電車など一両車輌の時代は車種も少なく記号がなかった。記号が出来たころは複数車輌編成で走っていた。このときに運転席の車輌に動力はなく、動力車にくっつけて走るに由来するのでは」という見解』とのことですが、それならば、複数車輌編成で走り始めた当時、先頭車にも最後尾車にも動力がついていなかったことになり、その理由だけで2両編成の電車は存在し得なかったことになりますが、まだ乗客も少ない頃にそのような非現実的なことが本当にあったのでしょうか。
2.それならば3両編成ならば存在したかと言うと、当時はモーターのパワーもそれほど強力でなかったことから、動力車1両で3両編成というのは荷が重いと考えられるため、最低でも電動車1両を加えた4両編成にならざるを得なくなり、ますます非現実的になると考えられますが、如何でしょうか。
3.百歩譲って仮に当時は運転席の車輌に動力がなかったという貴協会の見解が正しいとしても、現在は「クモハ」なる車両が存在する以上、命名の由来に関する説明だけでは本件の説明としては不十分であると考えますが、如何でしょうか。つまり、『その後、運転席の車輌にも動力のついたものができたために、現時点では「ク」は「運転席」が「くっついている」ためと解釈を変更するのが妥当であろう。』的な説明もつけ加えるべきだと考えます。
4.しかしながら、一方、ウィキペディア(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E8%BB%8A)によれば、「昔は電動車には(片運・両運の差異はあっても)必ず運転台が付いていたので、電車の車種は(運転台付きのサである)クと、モ、サ、の3種で間に合った。運転台を持たない中間連結専用電動車の出現で、電車に限り運転台付きの記号をクとし、他の記号の頭に付記すると改定された。そこで旧モハ、旧クハはそれぞれクモハ、クサハとなり、モハは中間電動車だけになった。」とあり、貴協会の見解とは真っ向から対立しております。しかし、「昔は電動車には(片運・両運の差異はあっても)必ず運転台が付いていた」との説の方が、前1項、前2項からも有力であると考えますが、如何でしょうか。尚、前記「運転台付きのサ」は「運転台付きのモ」の誤記であると思います。又、「クサハ」も何かの間違いのようです。

平成17年11月12日

「RE:気になることば [#535878]」による、3月7日(月)の『列車記号「ク」の由来は?』について、その後、電車の技術進歩の過程に鑑みれば、次のように推察するのが自然だと考えましたので、これもご検討願いたいと思います。
 つまり、『日本車輌広報部による「路面電車など一両車輌の時代は車種も少なく記号がなかった。記号が出来たころは複数車輌編成で走っていた。このときに運転席の車輌に動力はなく、動力車にくっつけて走るに由来するのでは」という見解』については、これは根本的に誤っていると思うものです。
 ということは、「このときに運転席の車輌に動力はなく、動力車にくっつけて走るに由来するのでは」というのが誤りで、「このときに運転席の車輌に動力がないものも出てきたので、その車両は動力車にくっつけて走るしかなかったことに由来する」というのが正解ではないでしょうか。
 尚、当方は決して「ク」が「くっつく説」であることに異論があるのではなく、寧ろそれに賛同しているものの、連結運転開始当初「運転席の車輌に動力はなかった」というのが誤りだと主張しているのです。正しくは、『運転席の車輌に動力があるものが多かったが、中には運転席の車輌に動力がないものも存在し、その場合にそれを「ク」と命名した。』と説明すべきだと主張しているのです。

1.元々電車は1両で運転されていたため、連結運転が始まった当初は、電動車には運転台がついているのが常識だった。そのため、「モ」という記号がついた車両は、電動車であると同時に無条件に運転台もついていた。
2.連結運転が始まった時、全車両を電動車にする必要はなかったため、例えば2両連結の時には、「モ」の車両に、それこそそれにくっつけて走る電動車でない車両、つまり「ク」を連結する形も存在することになり、まさに「ク」の本領発揮ということになった。勿論、「モ」+「モ」もあったことは想像に難くない。
3.しかしその後、更に連結両数を増やす必要が生じた時、編成の中間に運転台のない電動車を連結することになると、電動車に運転台がついているのが常識ではなくなったため、区別するために運転台のついている電動車には「モ」の前に「ク」を重ねてつける必要が生じた。
4.連結両数を増やすに際しては、勿論中間車両すべてを電動車にする必要はないために、モーターのついていない車両を差し込む形で連結したために、その車両には「サ」との記号が付与された。

Posted by: 高瀬 明 at November 15, 2005 11:29

丁寧なコメントありがとうございました。

なるほど納得。電車が1両で運転されていたとき,その車輌にはモーターも運転台もついていた。そしてその時は車輌を区別する必要がなかった。区別する必要が出てきたのは車輌にバリエーションが出てきたときである。区別するために記号をつけた。ということですね。

> 『運転席の車輌に動力があるものが多かったが、中には運転席の車輌に動力がないものも存在し、その場合にそれを「ク」と命名した。』

この説はかなりいい線まで来ていると思います。

記号の意味の考察としては,記号がつけられ始めた時期に「どんな車輌が存在していたか」よりも「どんな車輌を製造していたか」に注目した方が,ゴールに早く近づけるような気がします。

先方から何か反応があったら教えてください。

(私は説を振りかざしているわけではないので,「高説」というのはちょっと違うのだけど,と思っております)

Posted by: n at November 16, 2005 02:31
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