メールの最初でなぜ名乗るのかを疑問に思っている人が多いようだ。私はメールの最初で名乗るようにしている。それは便利だからである。
ARTIFACT ―人工事実― | なぜメールの文頭で名乗るようになったか? で興味深い記事を見つけた。なぜメールの最初に名乗るのかが議論になっている。
結論から言えば,メールの最初に名乗るスタイルは fj ニュースグループからの輸入だろう。しかし,メールだけしか知らなくても有用なスタイルであると言える。
私は電子メールに出会って15年くらいになる。メールを使い始め,大きな衝撃を受けた。手紙のようなコミュニケーションの手段でありながら,手紙とはまったく違うものだったからである。手紙に比べて非常に手軽。そして何よりも違うのが「引用」という機能だった。相手の書いたことを引用して,それに対して答えていくということができるという画期的な機能である。ここで私が言いたいのは,自分のメール使用暦の長さではない。使い始めたとき,すでにメールを書くときのスタイルが出来上がっていたということである。そしてそのスタイルに違和感は感じなかった。
「メールの最初で名乗る」。私がメールを使い始めたとき,すでに使っていた人たちが最初で名乗るという習慣を持っていた。そんな人たちとメールをやりとりするうちに自然と自分も名乗るようになった,ということもあるだろう。しかし,それよりも明確な理由を私は持っている。それは「引用」という機能を効果的に活用するためである。次のようなメールが来たとする。
Y です。
こんにちは。お久しぶりです。お元気ですか?
質問があります。
hogehoge.tar.Z というファイルを渡されて困っています。
展開してメイクすればいいと言われたのですが,どうすればいいのでしょうか?
そうそう,久しぶりに飲みに行きませんか?
では。
電子メールでは,相手の文を引用して,各行に対して返事を書くことができる。例えば次のように。
N です。
> Y です。
> こんにちは。お久しぶりです。お元気ですか?
本当に久しぶりですね。こちらは元気でやっています。
> hogehoge.tar.Z というファイルを渡されて困っています。
tar で固めて,compress で圧縮してあるようです。
多分何かのアプリケーションのパッケージなのでしょう。
> 展開してメイクすればいいと言われたのですが,どうすればいいのでしょうか?
% uncompress hogehoge.tar.Z
とやると hogehoge.tar というファイルになるので,次に
% tar xvf hogehoge.tar
として展開してください。
展開するとディレクトリができていると思うので,
中の README か INSTALL というファイルを読んでみてください。
> そうそう,時間があったら久しぶりに飲みに行きませんか?
そうしましょう。いつにしましょうか?
引用して,直後にそのことに対する返事を書くというスタイルである。このスタイルのいい点は,「まるで会話のよう」な感じになることである。このやり方を知り,メールというものは手紙と電話の中間のような印象を受けた。手紙よりずっとくだけた感じになる。そして,このスタイルの非常にいい点はもう1つある。それは,質問に対して「抜け」が発生しないことである。1つ1つ引用しているので,答もそれに対応したものになる。「答えていない」という状況が発生しにくい。
さて,このメールの返信には「引用」と「引用の引用」が入り混じったものになる。そういうメールでは,最初に名乗ることが大切になってくる。「>」が何個ついているのが自分の発言かを判断するためである。二人でメールをやりとりしているところでどちらが書いたか分からなくなるようでは,かなりなおバカさんであるが,NetNews (UseNet と呼んでいただろうか?) などの複数の人が議論をする場では,誰が発言したかが分からなくなる。そんなときに,最初に名乗るということが重要になってくる。最初に発言することにより,引用のマーク「>」が何個の発言が誰なのかが最初に分かるからである。メールの最初に名乗るということを習慣として根付かせたのは fj ニュースグループなのだと思う。
メールの引用スタイルには,もちろん他のものもある。ビジネスで使うメールでは,相手のメールを丸ごと引用して最後につけておくスタイルが多い。多くの顧客とやりとりする場合,どの質問に対する返信のメールかが明確になるからだろう。
どこ会社
だれだれ様
ご質問にお答えします。
...
...
> ...
> (全文引用)
>...
この場合は,別に最初に名乗る必要はない。どこかで名乗ればいいのだ。ただ,私はこの場合でも最初に名乗ると便利なような気がする。
最初に名乗ることは,電子メールという通信手段に適していると思う。ただし,これは別に相手に強制すべきことではない。個人の好みのスタイルでやればいいことである。
Posted by n at 2005-09-04 23:09 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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