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misc フィードバック分析で直面する問題

ドラッカーの提唱する「フィードバック分析」で,自分の強みは何か,できないことは何かが明確になるという。しかし,実行しようとすると困難に直面する。

■ ■ ■

P.F.ドラッカー著「プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか」は,知識労働者のために書かれた本である。「仕事で成果をあげる」ことに主眼が置かれているが,実生活にも十分役立つ内容になっている。

ドラッカーは,重要なのは自分を知ることで,特に重要なのは「自分の強み」を知ることだとしている。そのためには自己分析が必要になる。その方法ついては,112ページに次のように説明されている。

強みを知る方法は一つしかない。フィードバック分析である。何かをすることに決めたならば,何を期待するかをただちに書きとめておく。9か月後,1年後に,その期待と実際の結果を照合する。私自身,これを50年続けている。そのたびに驚かされている。これを行うならば,誰もが同じように驚かされる。

2, 3年フィードバック分析を続けると,次の結果が得られるとしている。

  • 自分の強みが明らかになる
  • 強みを発揮するうえで邪魔になっていることが明らかになる
  • それほどの強みでないことが明らかになる
  • まったく強みのないこと,できないことが明らかになる

そして,行うべきことも明らかになる。行うべきことは次の7つである。

  1. 明らかになった強みに集中すること
  2. 強みをさらに伸ばすこと
  3. 知的な傲慢を正すこと (自分の専門以外の知識を軽視しないこと)
  4. 悪癖を改めること
  5. 人への対し方が悪くて,みすみす成果をあげられなくすることを避けること
  6. 行っても成果のあがらないことは行わないこと
  7. 努力しても並にしかなれない分野に無駄な時間を使わないこと

そして,つぎのように結んでいる。

無能を並の水準にするには,一流を超一流にするよりも,はるかに多くのエネルギーを必要とする。しかるに,多くの人たち,組織,そして学校の先生方が,無能を並にすることに懸命になっている。資源にしても時間にしても,強みをもとに,スターを生むために使うべきである。

確かにその通りである。私の受けてきた教育は,少なくとも小・中・高では,無能を並にするものだった。

自分の得意とする部分と不得意な部分を見極めることが大切なのだ。私も最近同じようなことを思って考えをまとめた(nlog(n): 自分の評価を見直そう)。ドラッカーは,自己分析の方法だけでなく,その後のことまで教えてくれている。

しかし,フィードバック分析は簡単ではない。まずは「何を期待するかを書き残す」ことから始めなければならないが,これが難しい。「期待」とは具体的にどのように書いておけばよいのか。期待として「試験に合格すること」を設定して,受験勉強を始める。これは分かりやすい。しかし,期待を設定しにくいものもある。例えば,「語学学習」や「ブログ」がある。どちらも期待することが明確でないまま続けている。語学学習は,継続しなければ力がつかない。学力テストを受けるという目標を設定できないことはないが,興味がない。ブログに関しては,何が目的なのかさえ考えたことがない。

フィードバック分析で弱みが分かっても,困ることはある。例えば,今年の初めに「床に置いてあるものを全部棚にしまう」という目標を立てた(nlog(n): 年が明けて日が暮れて)。9か月が経過した現在の部屋の状況を見ると,この目標が全く達成されていないことが分かった。ものの整理ができないことが自分の弱みであることが明らかになった。ドラッカーによれば,弱みに時間をかけてはいけないことになる。しかし,この弱みに時間をかけなければ,部屋の状況は改善されない。「期待すること」の設定の仕方が間違っているか,「弱み」の解釈が間違っているか,どちらかということになる。

部屋を片付けられないという「弱み」は,全てを弱みと捉えるのではなく,細分化して分析しなければならないのかも知れない。片付けるという作業を細分化して,

  1. 分類
  2. 必要なもの不要なものの見極め
  3. 不要なものの処分

に分けるのだ。そして,何に時間がかかっているのか,何を自分が苦手としているのかを見つけるのである。…全てだ。1, 2, 3 の全てが苦手だ。継続検討課題になってしまった。しかも弱点である。困ったものだ。

このドラッカーの本には,他にも興味深いことが多く書かれている。「産業革命における本質は機械化にあるのではない」や「優先順位をつけて先にやるより,劣後順位をつけて捨てていけ」などがある。単なるビジネス書の枠を超えていおり,感動的ですらある。

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プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか

P・F. ドラッカー (著), Peter F. Drucker (原著), 上田 惇生 (翻訳)

Posted by n at 2006-09-28 00:27 | Edit | Comments (0) | Trackback(1)
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