宿命と運命は違うという。どう違うのか。どうすれば自分の一生が有意義だと考えることができるのか。
美輪明宏氏は,宿命と運命の違いを次のように説明している(美輪明宏Dictionary)。
「宿命というのは、神様たちと先祖たちとが協議した結果定められた、これから生まれてくる人間の青写真です。青写真ですからおおよそということであって、決定ということではありません。いろいろと手直しや変更がきくのです。あるいは設計図の大幅な書き直しがある場合もあります。それも可能です。ですから宿命とは青写真であり、運命とは手直しや変更の部分をいうんです。運命の力とか運が強いというのは、そういう意味のものです。運命と宿命って、みんな同じ意味にとっているでしょう。宿命と運命は違うということです。」(著書「人生ノート」より抜粋)
辞書ではどうなっているだろうか。三省堂「大辞林 第二版」では次のようになっている。
しゅくめい【宿命】 - goo 辞書
前世から定まっており、人間の力では避けることも変えることもできない運命。宿運。
うんめい【運命】 - goo 辞書
超自然的な力に支配されて、人の上に訪れるめぐりあわせ。天命によって定められた人の運。
分ったような分らないような説明である。宿命は決められたものだが,運命には自由度があるということか。運命は変えていける。もともと,人の生まれる環境はそれぞれ違うものであり,家庭の経済状況によっても大幅に進む道が違ってくる。美輪氏の宿命青写真論が本当にそうなのかどうかは別にして,宿命はある程度は決まっていると言えるだろう。しかし,運命はどの程度変えられるのだろうか。微調整しかきかないとなると,人生というものが虚しいものに感じられてしまうではないか。
私も,宿命と運命は別のものと考えたいと思っている。人生とは「障害物歩」のようなものなのではないだろうか。「障害物歩」というのは,ここで作った用語である。「障害物競走」としなかったのは,他人との競争ではないからである。自分の人生の目指すところは,他人と同じではないからだ。誰かと競争して先にゴールするものではない。一時的には競う状況もある。しかし,一生を通しては競い合うものではない。また,「障害物走」ともしなかったのは,いつも走っているわけには行かないからである。走ったり休んだりすることもあるが,基本は歩くことだと思うのだ。
人生には,跳び箱や,平均台や,網や,ぶら下がっているパンがある(参考: 障害物競走 - Wikipedia)。それが宿命。その障害をどうやって乗り越えるか,それとも回り道をして避けて通るかは個人の選択になる。それが運命なのだ。そう考えれば,例え宿命なるものがあったとしても,かなりの自由度があると考えられるではないか。大きく変えられるのであれば,悲観的にならずに生きていけるのではないかと思うのだ。
もともと人生というものは,障害がつきものなのかも知れない。生涯を通じて障害が…なんちて。考えてみれば,ドラマはすべてこのスタイルである。普通の人間が異常な環境に置かれたとき,どう対処していくのか。それが描かれている。
人生は,システム構築やプログラムにも例えられそうだ。宿命が設計で,運命が実装にあたる。いっそのこと,宿命は,設計というよりも要求仕様だと考えるといいかも知れない。そうすれば,宿命と運命は全く違うものとして捉えることができるし,要求仕様が厳密に決められていたとしても,自由な実装が可能になる。
Posted by n at 2007-01-29 23:56 | Edit | Comments (3) | Trackback(0)
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宿命は DNA
運命は 人生
宿命 命の宿り所
運命 その命を運ぶ事
りんごに生まれたのに ミカンに憧れても・・・
折角りんごに生まれる事が出来たのだから
と感謝が持てたら
素敵なりんごになるような 努力が出来るのではないでしょうか?
と 言うように思います☆
Posted by: maro助 at January 31, 2007 19:44トラックバックが どうしても出来ません・・・
記事に URL載せさせて下さい
Posted by: maro助 at January 31, 2007 20:47maro助 さん
せっかくトラックバックを送ってくれているのに,受け取れなくてすみません。こちらの問題だと思います。
記事にURLを載せてくれていれば,トラックバックできるはずなんですけど…対策が失敗しているのかも知れません。そういえば,迷惑トラックバック対策をしてから以降にトラックバックがないのです。あらー。
トラックバックが失敗したときに何かメッセージが出るようでしたら,ここにコピペしていただけますでしょうか。
Posted by: n at February 01, 2007 21:25