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Photo Jeff Beck 来日公演2009@NHKホール に行ってきた

ジェフ・ベックの来日公演に行ってきた。パワフルである一方で,非常に繊細でもあり,素晴らしかった。

■ ■ ■
開演前のNHKホール
開演前のNHKホール


2008年2月9日(月) 19:00 より,渋谷のNHKホールで行われた Jeff Beck の来日公演に行ってきた。ジェフ・ベックはギタリストである (ジェフ・ベック - Wikipedia)。

セットリストは次の通り。トータルで1時間30分のライブであった。

1. Beck's Bolero
2. The Pump
3. Eternity's Breath
4. You Never Know
5. Cause We've Ended as Lovers
6. Behind the Veil
7. Blast from the East
8. Stratus
9. Angel
10. Led Boots
11. Nadia
12. Space Boogie
13. Goodbye Pork Pie Hat / Brush with the Blues
14. Blue Wind
15. A Day in the Life
- - - - encore - - - -
16. Where Were You
17. Big Block
18. Scottish One
19. Peter Gunn Theme

Jeff Beck はギターで語っていた。普通は「弾き語り」と言うと,楽器を弾きながら,口で歌を歌い,語ることだが,Jeff Beck は楽器が語るのである。違う意味の「弾き語り」になっていた。

使われるテクニックは多彩で,ボリューム奏法,ボトルネック奏法,ライトハンド奏法,アーミング,ピッキングハーモニックス,フィードバックなど,指でできる演奏法は全て,それも「当たり前のように」使っていた。彼は,テクニックを見せたいのではない。表現したい音のためにそのテクニックを使っているだけなのだ。テクニックというものは,そもそもそういうものだったということを気づかせてくれるのである。

彼が大切にしているのは微妙なニュアンスの違いである。非常に細かい気遣いが感じられる。確かめた訳ではないので定かではないが,ほとんどエフェクターは使っていない。使っているのはフランジャーかフェイザーの類くらいではないだろうか。それも少しだけ使って,すぐに切ってしまう。音質的なニュアンスの違いを出しているのは,ナチュラルディストーションである。ギター本体のボリュームで,ディストーションのかかり具合が調節できるようにセッティングしてあるのだ。フルボリュームならディストーションサウンド,少しボリュームを絞ればディストーションのかからないサウンドになるようにしてある。こういうのはよくエレキギターの教本に載っていることなのだが,そのまま実践しているプロにはなかなかお目にかかれない。誤魔化しがきかないからだ。しかしその分,ギターの「生{なま}の」音がするので,言いたいことがダイレクトに伝わって来るのだ。

ピックを使っていない。主には親指の爪で弾いているようだった。「疲れるとピックを使うらしい」という噂があるが,今回は最後までピックを使わなかった。

フレーズによってトーンを変えている。どういうトーンにすれば,そのフレーズが生きるかを熟知しているのだ。トーンとフレーズに強い関連づけをするギタリストにジミ・ヘンドリックスがいるが (ジミ・ヘンドリックス - Wikipedia),ジミ・ヘンドリックスが,トーンを「ガッ」と変えて,「このトーンならオレはこのフレーズを弾くぜ」という感じなのに対し,ジェフ・ベックは,「このフレーズのためにはこのトーン」という感じである。

人の声は母音と子音の組み合わせだけなのに,無限の表現ができるのと同じように,ギター1本でも無限の表現が可能なのだ。

この公演のジェフ・ベックは実に気分がいいようで,乗りに乗っていた。リラックスもしているようで,他のメンバーに任せて「サヨ〜ナラ〜」的に手を振って舞台袖に消えて行きそうになるジョークや,最後にギターを客席にあげてしまう(!)というジョークまで出していた。さすがにギタープレゼントはなく,一度客席に渡ったギターはスタッフによって回収されていた。

きょうの公演
きょうの公演


他のメンバーの演奏内容も申し分ない。ベースの Tal Wilkenfeld は本当に楽しそう。音楽が好き,演奏が好きというのがにじみ出ている。普通なら,女性はベースという楽器を選ばないものだ。Vinnie Colaiuta のドラムセットは,タムが小さく,全体的に高さを低くしたセットをつかっていた。David Sancious のキーボードは出しゃばらず,大人の演奏。ギターとベース,ギターとキーボードの掛け合いがもう少し多くてもいいような気がした。

演奏が始まった直後は,ギターの音がドラムにかき消されてほどんど聞こえず,「ギターの音,小さっ」と思ったが,徐々に大きくなったので安心した。

実によいライブだった。

Posted by n at 2009-02-11 23:37 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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