つい先日まで「若い人たちの考えていることが分からない」と思っていたが,この原因は単にコミュニケーション不足によるものだということが分かった。きっかけはMさんのコメントである。
以前に書いた記事「nlog(n): 下げたズボンが気になるの」にMさんが丁寧なコメントをつけてくれた。Mさんは「一応ひまなんで」などと付け加えてくれているが,ひまなだけでは書くことはできない。読んだときに胸が熱くなった。そして,まさかコメントがあるとは思っていなかったので「もしかして,ズボンを下げているのではなく,そういう体型?」などと言って茶化してしまい,申し訳ない気持ちになった。
世代間ギャップというのは,思ったほど大きいものではない。ということについて,若干まとまりに欠けるが,情熱が冷めないうちに書いてしまおうと思う。
これまでの私の認識としては,同世代の気持ちはよく分かるが,世代が違うと理解できないというものだった。
しかし,実は年齢というものはそれほど関係がないのではないか,と思うようになった。人は,同じようなスタイルの人を見つけてグループを作る。これは年齢には関係がない。ただし,年齢が上がるにしたがって,人間同士の「仲間」としての関係は希薄になるため絆は弱くなり,グループは小さくなる。若ければ若いほどグループ内の絆は強く,大きなグループとなる。グループ間の交流というものは多くない。これについても年齢は関係がない。年齢によらず,違うグループのことは分からないのである。単に興味がないというだけである。
興味がなくても,同世代ではだいたい違うグループの考えていることが分かるものである。これは「年齢が近いから」という理由ではなく,「近くにいることが多い」からである。年齢が近いことは,近くにいることが多いことの要因にはなっている(図の実線部分)。逆に,年齢が離れていると近くにいるこことがないため,お互いに考えていることが分からなくなる(図の点線部分)。つまり,相手の考えていることが分からない原因は,単にコミュニケーションが不足しているだけなのである。
「何が格好いいか」ということは世代によって大きく異なる。これはよくある話である。「ズボンを下げる」というファッションスタイルがあって,それを格好いいと思う世代がある。分からなかったのは,「なぜそのスタイルを格好いいと思うのか?」と「そのスタイルをいするとどういう状況になるのか?」ということだった。Mさんのコメントで分かったのは,後者の「どういう状況になるのか」がよく理解できた。そのスタイルを維持するのには,信念と,ある程度の苦労がともなうことも分かった。これが分かると同時に,前の方の疑問「なぜ格好いいと思うのか?」ということは,どうでもいいように感じられるようになった。もともと他人の趣味に対して「何でそれがいいの?」というのはお節介以外の何物でもない。そんなことに改めて気づかされた。
私も20歳頃は,髪の毛を肩よりも長く伸ばし,パーマをかけていた。自分の生き方を,見かけでも表わそうとしていたのである。このスタイルは,「興味のない人は土足で入って来て欲しくない」という意思表示でもあった。踏み荒らされたくないのである。しかし,逆に世間の風当たりは強かったように思う。
男が髪の毛を伸ばすのは,格好いいと思っていてやっていたことだが,実際にやってみると予想外のことがあることも分かった。女性なら当たり前のことかも知れないが,ここに紹介しておこう。
「髪の毛が邪魔」というのは想像していたが,想像以上に邪魔だった。まず食事の時に邪魔。というよりも,少し下を向いただけで,髪の毛が垂れてきて邪魔だった。一番うっとうしいのは,後ろで縛れるようになるまでの,中途半端な長さの時である。その他,タバコの臭いがついて嫌なので,いっそのこと自分で吸ってみてはどうかと思い吸い始めてみると,今度は口の中が気持ち悪くなった。単に気持ちの悪い場所が移動しただけという結果に終わった。そしてタバコはやめられなくなり,状況は悪化しただけだった。
話を戻して,人が作るグループについて考えてみる。自分たちが作るグループと,他人から見たグループには違いがある。中年から見ると,若い人たちの格好にはバリエーションがあるにも関わらず,「若い人たちの格好」としか分類できないし,若い人たちから見れば,40代50代は「オヤジ」とか「中年」としか認識されない。これは当人たちが作っているグループとは全く別のものなのである。このギャップも,もとを正せばコミュニケーションが不足しているのが原因である。ただそれだけのことなのだ。
ブログでのコミュニケーションが世代間のギャップを埋めてくれたような気がした。それが何より嬉しい。
Posted by n at 2005-03-06 18:31 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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