所得税は,所得金額と税率と控除額により金額が決まる。控除額は税額を連続にするために導入されている。
税率と控除額の関係について考える。
所得金額により税率が決まっている。所得が多くなればなるほど,所得に対する税金の割合が増えるようになっている。税率は階段状になっている。税務相談室 - 所得税の税率 には,現在の所得税は4段階に区分されているとある。
課税される所得金額 (千円未満切捨て) | 税率 | 控除額 |
330万円以下 | 10% | 0円 |
330万円超〜900万円以下 | 20% | 33万円 |
900万円超〜1,800万円以下 | 30% | 123万円 |
1,800万円超 | 37% | 249万円 |
これをグラフにすると,次のようになる。これは割とよく見かけるグラフである。
「税率」は,ある金額を境にジャンプアップしている。1つの疑問は,「ある金額に達したらいきなり税額がアップして収入が逆に減ってしまうことはないか?」ということである。例えば,330万円だったら税率は 10 % だが,331万円になると税率が 20 % に跳ね上がってしまう。ということは,331万円だと330万円のときより収入が減ってしまうのか? という疑問である。
そこで,「税率」ではなく「税額」を縦軸にとってグラフを描いてみることにした。それが次の図である。
「税率」は不連続だったが,「税額」は連続になっている。つまり,所得が331万円の場合,330万円より税額はアップするが,手取りが330万円の場合より減ってしまうことはないということである。
税額のグラフでは,各区間においては直線になっている。
税金には「控除額」というものが設定されている。これが税率のジャンプをつないでいるのである。税額は次の式で計算される。
これは,中学校で習った1次関数のグラフと同じ形をしている。
おなじみの順番で書けば y = ax + (- b) となる。つまり,控除額というのは「y 切片」なのである (正確に言えば,控除額にマイナスをつけたものが y 切片である)。税額の直線を延ばして,縦軸に交わるようにすると,交わった部分が控除額にマイナスをつけたものになっているのが分かる。
さて,唐突に税金について書こうと思ったのは,2004年分高額納税者番付が発表になったからである(SANSPO.COM - 【社会】サラリーマン部長が初のトップ−04年分高額納税者番付。個人情報保護の関連で,この番付も今回で最後かも知れないとも言われている(今年で見納め!?高額納税者公示制度見直し - nikkansports.com > 社会ニュース - 今年で見納め!?高額納税者公示制度見直し)。個人情報保護も大切だが,情報を公示することも必要だろう。要はその線をどこで引くかである。すべてを見えなくしてしまうというのは能がなさすぎると思うのだがどうだろうか。
もしかして,個人情報保護法の施行で個人情報には高値がつくようになってきているのではないだろうか。裏ビジネスとしては結構いいかもしれない。捕まらなければ,どんなに所得が多くても公示されなくなるというのだからなおさらである。
Posted by n at 2005-05-22 01:24 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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