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Photo 最近のクスリ事情

先日行った病院の医師はジェネリック薬品を処方しなかった。単に好みというよりも,ジェネリック薬品を処方しにくい環境があるような気がする。

■ ■ ■

先日ひいた風邪のおかげで,今年のゴールデンウィークはすべて休養となってしまい「なんだかもぉー」な感じだった訳だが(nlog(n): 風邪で黄金週間丸つぶれ),病院に行ったときに気がついたことがいくつかあったのでメモしておこうと思う。

ジェネリック薬品

ジェネリック薬品というものが最近話題になっている。薬が安く買えるというのが謳い文句になっている(くすりの話/ジェネリック薬品で医療費を下げられます)。薬には,先発品と後発品があり,ジェネリック薬品は後発品にあたる。後発品は開発費がかかっていない分安くできるという訳である。先発品は開発費がかかっているが,特許により保護され,さらに20〜25年間の独占販売が許されているというのであるから,元は十分とったと解釈されるのだろう。後発品は,メーカーが複数になることが多いため,製品名よりも成分の「一般名(generic name)」で処方するのが自然だろうということで,ジェネリック薬品と呼ばれている。

先日行った病院で処方された薬は,サワシリンカプセル 250 mg,トランサミンカプセル 250 mg,ポンタールカプセル 250 mg であった。調べてみると,これらは一般名ではなく製品名になっていた。

【医薬品情報 サイト イ−ファ−マ】 には,簡単にジェネリック薬品を探すことのできるデータベースがある。「商品名で探す」→「商品名」→「成分一致薬品」の順に辿ると同じ成分の薬品の一覧を見ることができる。

処方された薬 一般名
サワシリンカプセル (昭和薬品化工) アモキシシリンカプセル
トランサミンカプセル (第一製薬) トラネキサム酸カプセル
ポンタールカプセル (三共) メフェナム酸カプセル

ジェネリック薬品としては,5種類以上が並ぶ。しかし,成分が一致していても薬価が違っていたりして,どれを選べばいいのか分からない。次のような疑問が湧いた。

  • もし「ジェネリックでお願いします」と頼んだら一般名で処方してくれたのだろうか?
  • 一般名の書かれた処方箋を薬局に持っていくと,複数の製品を見せられて「どれにしますか?」と訊かれたりするのだろうか?
  • 1つの薬局では同じ成分の薬を何種類も用意しているとは考えにくい,ということは薬局によって出してくれる薬に違いがあるということなのだろうか?
  • 自分で選択した製品で副作用があった場合は,自分の責任なのだろうか?
  • 医師はジェネリック薬品を選択する際の基準(副作用などのリスクの少ないものなど)を示してくれたのだろうか?

処方してくれたのは,20代くらいの若い医師だった。ジェネリックを指定しなかったのは「先発品を使い続けてきたから」というほど経験は長くないだろう。日本でジェネリック薬品が浸透しないのは,仕組みに欠陥があるからのような気がしてならない。

後発品(ジェネリック)の積極的使用で患者負担の軽減と安全性、有効性にすぐれた薬物療法の実現を によれば,厚生労働省に原因があったが

後発品には「安かろう、悪かろう」のイメージがつきまとっています。これは主として日本の厚生労働省が後発品に関して行ってきた品質保証にたいする施策が諸外国に比べ非常に遅かったことが上げられます。

改善されたとされている。

このような状況は後発品の品質に対して国として保障する施策の基礎が出来、後発品を使用するための大切な条件がそろったといえます。

「ダメなときは自分の責任になっちゃうの?」という疑問は残るが,次回はジェネリックにトライしてみたい。

薬のパッケージ

カプセルや錠剤は,指で「プチッ」と押すと出てくる包装に入っている。この包装は「PTP包装」というらしい(Press Through Package, プレス・スルー・パッケージ)。全然気がつかなかったのだが,最近は間違って「包装ごと」飲み込まないように,バラバラにならないようになっているというのだ。確かに,切れないようになっている。

1つずつ分離できるパッケージ (以前)
1つずつ分離できるパッケージ (以前)


昔のパッケージ(1つずつ切れる)

分離できないパッケージ (現在)
分離できないパッケージ (現在)


今のパッケージ(切れない)

包装ごと飲み込むと,咽喉に引っかかってしまい手術になることもあるという。何だかバカっぽくて有り得そうにないが,「娘の安全カミソリで歯磨きしてしまったお父さん」というのもいるらしいから,決してないとは言えない。

個人情報保護法の影響

これは薬の話ではなくて病院つながりのオマケ。今年2005年4月に施行された個人情報保護法により,患者の名前を呼ばなくなった病院も増えているらしい。しかし,行った病院では思い切り本名を呼ばれたのだった。

2008年5月31日追記:
2008年4月より処方箋の様式が変更になり,医師が処方箋の「後発医薬品への変更不可」欄に署名しなければ,患者がジェネリック医薬品に変更することができるようになりました (後発医薬品 - Wikipedia)。副作用が出た場合は,患者の責任になりますが,リスクを低くするため,試しに部分調剤をしてくれる薬局もあります。

2009年5月5日追記:
目薬でジェネリックを試してみました (nlog(n): 目薬をジェネリックにしてみた)。

Posted by n at 2005-05-31 23:10 | Edit | Comments (4) | Trackback(1)
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厚生労働省、ジェネリック医薬品で規格厳守と安定供給のお達し
安価のジェネリック医薬品(後発医薬品)の使用促進を図るため、【厚生労働省】は3月10日、「後発医薬品の必要な規格を揃える等について」「後発医薬品の安定供給について」の2通知を関係団体や都道府県知事など... Trackbacked from: Garbagenews.com at March 14, 2006 18:56
Comments

すごく勉強になりました!!

うちは子供が二人いるので病院で薬をもらうことが多いのですが、今までもらった薬がジェネリック薬品かどうかなんて考えたこと無かったです。

実は自分が蕁麻疹で飲んでいた薬が製造中止(コスト的に割が合わないらしく小児用のみ製造されているそうです)になったのですが、それもジェネリック薬品がないか調べてみたいと思いました。

Posted by: KM at June 01, 2005 14:16

自分でも調べて,お医者さんにもよく説明してもらうというのがいいでしょうね。何と言っても一番詳しいのはお医者さんでしょうから。不安な場合は,複数のお医者さんに当たるのも手です。

Posted by: n at June 01, 2005 23:05

老人が薬を包装ごと飲んでしまう事故がちょこちょこあるらしいです。それが理由で今どきの薬のパッケージが全部バラバラにならないとは……勉強になります。
でも、バラバラになっていないと不便なので、私はあらかじめハサミでバラバラにしてるんですよね。これじゃ、防衛策が台無しですね(^_^;

Posted by: NI-Lab. at June 11, 2005 22:14

妻の知り合いのお母さんが,ハサミでバラバラにする人で,うっかり誤飲してしまい緊急手術になってしまったそうです。危険です。
ハサミで切りたくなる気持ちも分かります。1個1個にするのではなく,横1列に切るというのでどうでしょうか。

Posted by: n at June 12, 2005 01:10
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