「無果汁」とうたっているのに,原材料名には果汁の表示。間違いだとはとても考えられない。そんなアイスクリームがある。
このアイスクリームは,「明治エッセル スーパーカップ ヨーグルト味」という製品。蓋には「ラクトアイス 無果汁」と書いてある。
原材料名は,糖類(水あめ,砂糖),植物性脂肪(パーム油,ヤシ油),乳製品,レモン果汁,パイナップル果肉,オレンジ果汁,みかん果肉,寒天,香料,乳化剤,安定剤(増粘多糖類),酸味料,(原材料の一部に大豆を含む),となっている。レモン果汁とオレンジ果汁が入っていても,「無果汁なんです!」と言い張っているのだ。
なぜこういうことが起こるのだろうか? 単なる間違いだとは到底思えない。何らかの明確な基準をもって記載されているに違いないのだ。例えば「種類別」の「ラクトアイス」という表示の横には「無果汁」と書かれているが,「果汁入り」と書くためには高い基準値をクリアしなければならず,その一方で「原材料名」にはその基準に満たないようなごく微量であっても含まれているのなら記載は義務,などの取り決めがある場合である。あるいは,一方は割合でもう一方はグラムが基準になっているとも考えられる。しかしこれは想像であって,実際のところは分からない。
アイスクリーム類の種類 によれば,「アイスクリーム類」というものは3つに分類されるとなっている。「アイスクリーム」「アイスミルク」「ラクトアイス」の3種類である。乳固形分と乳脂肪分が多く含まれているものだけが,アイスクリームと呼ばれるのであり,少ないものは「アイスクリーム類」であっても「アイスクリーム」ではないのだ。したがって,上で「そんなアイスクリームがある」と書いたのは厳密には間違いで,「そんなアイスクリーム類がある」と書かなければならなかったのだ。あー,ややこしい。
缶コーヒーも似たような感じである。缶コーヒーの種類別表示を見ると,「コーヒー」「コーヒー飲料」「コーヒー入り清涼飲料」がある。これに乳成分が入っていたりすると「乳飲料」という別の基準が入ってきたりして,さらに複雑になる。
乳製品にも取り決めがあって,「牛乳」と呼べるのは「混ぜ物なし」が基本である。したがって,「コーヒー牛乳」は「牛乳」ではなかったりするのだ(「コーヒー牛乳」もう使えない)。
それにしても「パイン&オレンジ入り」のこの無果汁アイスは不思議である。「ノンアルコールビール」の類だろうか? 「オレンジよりオレンジ味」で売っている無果汁の製品「ファンタ」とは別の切り口となっている。
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