nlog(n): 図らずしてウォードライビング

Mon October 03, 2005

図らずしてウォードライビング

先週末，「ウォー!」と叫びながらドライブした。そうではなくて，高速バスに乗っていた。パソコンを起動すると，なぜか LAN につながった。

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高速バスからの眺め

先週は仙台に出張し，帰りに高速バスを利用した。それほど揺れが大きくないので，ノートパソコンを起動してデジカメで撮影した写真を整理していた。都内に入ると渋滞が始まったため，ノロノロ運転になった。すると，突然ノートパソコンが無線 LAN のアクセスポイントを探し始め，驚いたことに接続が完了した。

その偶然接続した先は，どこかの家の家庭内 LAN だったようだ。DHCP によって IP アドレスが取得できてしまったのである。その通信はバスの移動とともにすぐに切断されてしまったが，私の興味は写真の整理よりも，接続可能な無線 LAN のアクセスポイントに移っていた。

ワイヤレスネットワークの検索画面

ワイヤレスネットワークをスキャンすると，アクセスポイントがいくつも表示された。リストの中に暗号化が「無効」になっているネットワークがある。この暗号化されていないネットワークには接続できる可能性がある。しかしこの段階では，アクセスポイントの通信はできるが，実際にネットワークに接続できる訳ではない。IP アドレスが割り当てられることで，はじめてネットワークに接続することができるのである。

インターネットに接続されてしまった

いくつか試していると，接続できるアクセスポイントがあった。インターネットの利用が可能になり，Google の検索画面を表示することができた。思いがけないところでウォードライビングになってしまった。自分でバスを運転している訳ではないので，正確には「ドライビング」ではなく「ライディング」か何かになる思うが，いずれにしても似たようなものである。バスは低速ながらも動き続けたため，接続している時間は 30 秒が限界。金属製の遮音壁のある場所では，全く通信ができなかった。高速道路は鉄筋の高架で，金属が電波を遮断することを考えると，通信できているのは恐らくマンションの4, 5階付近ではないかと思われる。高速道路上にじっと止まっていられる車はないので，そのアクセスポイントに常時接続するのは難しいだろう。

ウォードライビングは，一般的にクラッキングだとされている(IT用語辞典 e-Words ：ウォードライビングとは，無線LANが危ない！危険な遊び“ウォー・ドライビング”：IT Pro)。他人の家の LAN を無断で使うのには問題があり不正アクセスになるが，家庭内 LAN に侵入してデータを盗んだりする訳ではないので，それがクラッキングであるかは微妙なところだろう。

さて，それにしてもここまで無線 LAN が広がっているとは知らなかった。セキュリティの問題があるが，これを別の問題として考えることができれば，かなり嬉しいことになる。もし，これらの家庭内 LAN が使えれば商用のアクセスポイントはいらなくなるからだ。家庭内 LAN を第三者に利用させるような新しいプロトコルというものはできないものだろうか。家庭内 LAN の提供者としてみれば，一方的にインターネットへの回線を使わせるのは損である。何かご利益がなければいけない。例えば，接続してきた第三者のパソコンの CPU を家庭内 LAN の側から使えるなど，何らかの還元ができればいいのではないか。そうすれば，一方的に搾取されるような関係ではなく，相互に利益があるような関係ができるはずである。

他人の無線 LAN に接続する場合，リスクもある。例えば，無線 LAN を開放している人が盗聴している場合である。無料でインターネットに接続できるのはいいが，内容がバレバレになる。そしてもともと，家庭内 LAN 側としては，自分の LAN のパケットを監視するのは盗聴でも何でもない。プロトコルの条件としては，

帯域制限ができること
暗号化通信ができること
無線 LAN 提供者が何らかの得をすること

などを満たす必要がある。難しいだろうか。そもそもこの考え方自体が危険?

ウォードライビングという用語は，1983年公開の映画「ウォー・ゲーム (War Games)」(ウォーゲーム)に由来する。映画では，マニアな高校生が適当な電話番号に電話して接続された回線からネットワークに侵入する。無線 LAN での接続も手当たり次第でよく似ているので，映画の「ウォー」部分だけをとって「ウォードライビング」としたのだろう。別に車で戦争をしているわけではない。