ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会を見に行った。演奏の始まる前にプレトークが行われたが,期待した内容ではなかった。何のためのトークなのかという疑問だけが残った。
横浜みなとみらい大ホールで,ドイツ ヴュルテンブルク州のオーケストラ,ヴュルテンブルク・フィルハーモニー管弦楽団(Württenbergische Philharmonie Reutlingen)の演奏会が行われた。指揮は飯森範親{いいもり・のりちか}氏で,氏はこの管弦楽団の音楽総監督も勤めている。
演奏の前に10分程度の「プレトーク」という企画があった。指揮者の飯森氏と,作曲者の西村氏がステージ中央の椅子に座って話をするというものだった。今日の「演奏の聴き所」を語ってくれるのかと期待していたが,残念ながら違うものだった。
何を意図してプレトークを企画したのか分からない。作曲者と指揮者が互いにヨイショをし合いながら会話が進んだ。その他は指揮者の自慢話である。
「今日演奏する曲の話はないのだろうか?」と疑問に思った。そして極めつけが次のやり取りだ。
飯森: 「団員が日本に来てから遊んじゃって」
西村: 「それって演奏に響かないですか?」
これは言って欲しくなかった。これから演奏を聴こうという観客に対して,不安を煽るのはいかがなものか。団員だって,遊びすぎて演奏がダメになるような自己管理はしていないだろう。団員に対しても,観客に対しても失礼な発言である。観客は,いい演奏を期待して,お金を払って来ているのだ。そこへ「演奏に響いているかも知れない」発言は最悪である。そんなことは演奏会終了後の打ち上げの席で言えばいいことだ。演奏の前に言うことではない。
西村氏が「飯森さん」と言うのが「イーゴリさん」に聞こえて,イーゴリ公を思い出した(関係なし)。
さて,ここからは演奏の話。1曲目は,西村朗作曲の「管弦楽のためのファンファーレ」。日本初演の新作である。弦楽器による変拍子を刻む。伊福部昭の曲のような印象を受けたが,プレトークでは言及されなかった。オマージュではないらしい。伊福部昭氏はゴジラのテーマ曲の作曲家。先日2006年2月8日に91歳で亡くなられた(スラッシュドット ジャパン | 作曲家の伊福部昭氏が死去)。
2曲目はブラームスのヴァイオリン協奏曲。ソリストは千住真理子さん。重めのアクセントをつけている箇所があり,不自然に感じられた。指揮者の指示だろうか。最終楽章はブルッフのヴァイオリン協奏曲の最終楽章にソックリだ。
3曲目もブラームスで,交響曲第1番 ハ短調 作品68。4楽章冒頭のティンパニがつまずいた。そりゃないぜ。フルートは息が多すぎる。
(演奏会終了後の会場風景)
演奏会終了後には,指揮者によるサイン会が行われていた……。
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