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misc 途中からジャンルが変わる映画

途中からジャンルが変わる映画がある。フロム・ダスク・ティル・ドーンとエンゼル・ハート。ネタバレ注意。

■ ■ ■

人は普通,映画を観るとき,最初の10分くらいでその映画のジャンルを決定する。アクションなのか,コメディなのか,サスペンスなのか,などである。ジャンルを決めることで,映画を見る姿勢が決まり,楽しめるようになるのだ。コメディなら,次はどのタイミングで笑わせてくれるのかを待つが,ホラーではその期待はしないように。しかし,映画の中には,途中でジャンルが変わってしまうものがある。

1本目は,ジョージ・クルーニー主演の1996年公開の映画「フロム・ダスク・ティル・ドーン」である。脚本はクエンティン・タランティーノ,監督はロバート・ロドリゲスである。映画「デスペラード」と同じタッグかと思ったら,「デスペラード」は監督・脚本ともにロバート・ロドリゲスだった。タランティーノは出演しただけだったのか…。

さて,From Dusk Till Dawn は「夕暮れから夜明けまで」の意味だが,夕暮れから夜明けまでを描いた映画ではない。映画の中に出てくる場末のキャバレー「おっぱいグルグル」の営業時間である。分裂勘違い君劇場の管理人もこの名前である(この映画に由来しているかどうかは不明)。

最初にこの映画を観たときには,どんな映画なのかの事前情報がなかった。始まりはギャング映画である。タランティーノらしい,アクションとバイオレンスが展開される。しかし,途中から話がおかしくなる。ちょうど「From Dusk Till Dawn」に場面が変わったところからなのだ。そこからホラー映画になってしまうのだ。しかもB級で,おバカ炸裂。なんじゃこりゃである。それでも,そこから見方を変えれば十分楽しめるものになっている。そうしないと,ただの間抜けな作品になる。観る者に対し,途中から見方の変更を強制する映画なのだ。

タランティーノの演技は「迫真」というより「真」である。「迫真」は,真に迫ってはいるが真ではないのだ。イヤらしい目つきなどは,もはや演技を超えている。彼は脚本なのでやりたい放題。私も美女の足先からワインを飲んでみたくなった(Mじゃないけれどもさ)。

そんな「フロム・ダスク・ティル・ドーン」が,関東地方では今日の深夜にテレビで放映される。1月6日の深夜26:40,または1月7日の2:40からTBSテレビで。

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フロム・ダスク・ティル・ドーン

出演: ジョージ・クルーニー, クエンティン・タランティーノ 監督: ロバート・ロドリゲス

途中からジャンルが変わる映画の2本目は,ミッキーローク主演の「エンゼルハート」である。ミッキーローク演じる探偵が,怪しい人物から以来を受けある人物を探すという物語。しかし,探す先々で手がかりを握る人物が次々と殺されていってしまう。怪しい人物はロバートデニーロが演じており,こいつがどうやら悪魔のようなのだ。映画全編を通じて,オカルト色が満載なのだが,ラスト10分でガラリと変わってしまう。このとき,ラスト10分だけが変わるのではなく,全体が変わるのである。それまでは,オカルト80%,サスペンス20%なのだが,ラストですべてが明らかになると,オカルト20%,サスペンス80%の映画になってしまう。ジャンルが変わってしまうのだ。

この映画では,叙述トリックがジャンルを変えさせる。Nickelback のミュージックビデオを思い出す(nlog(n): 巻き戻して観たい映画)。「フロム・ダスク・ティル・ドーン」のように強引に展開が変わるのではない。観客自身の内面での解釈が変わるのである。

最初に観たとき,観終わった後は何がなんだかよく分からなかった。しかし,映画の中で起こった出来事を思い返すうちに,じわじわと意味が分かってきたのである。これには驚いた。オカルトだと思ったらサスペンスだったのだから。

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エンゼル・ハート

出演: ミッキー・ローク, ロバート・デ・ニーロ 監督: アラン・パーカー

Posted by n at 2007-01-06 21:25 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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