西船橋駅で,改札の改良工事が行われている。果たしてこの工事が「改良」と言えるのかどうかは微妙なところ。JRにとっては改良だが,利用者にとっては改悪な面もある。
西船橋駅で,改札の工事が行われている。西船橋駅は,JR中央線,JR武蔵野線,東京メトロ東西線,東葉高速鉄道東葉高速線の停車駅になっている。
この改札の工事は,JRとその他の路線の間に新しく改札を作る工事である。お知らせでは,これが「改良工事」であるとしている。しかし,これが「改良」であるのは JR にとってだけである。
工事は今日で終了。明日2007年3月18日(日)より新改札がオープンする。3月18日は PASMO サービス開始の日でもある (PASMO - Wikipedia)。PASMO は,私鉄,バス,JR 共通で利用することのできる IC カードである。しかし,せっかくスタートの日を同じにしたのに,PASMO のご利益はない。JR と東京メトロで共通路線を使った場合,東京メトロを使った場合でも JR 料金として計算されてしまうのだ。
例えば,次のようなことになる。東京メトロ東西線は,一部を JR 中央線に乗り入れている。東西線は中野から西船橋までの路線であるが,一部については,中野から先の三鷹までと,西船橋から先の津田沼まで JR 線に乗り入れて直通運転している。つまり,津田沼発・東西線経由・三鷹着という東京メトロの車両が存在する。乗り入れ区間は JR 料金になる。さて,問題はここからである。この車両に乗って津田沼から三鷹まで行った場合,PASMO を使うと,東西線を経由しているにも関わらず,全線で JR を使っていると計算されてしまうのである。料金は,東西線を経由した場合は 620 円(JR160円+メトロ300円+JR160円),JR だけを使った場合は 780 円だから,160 円余計に払わなくてはならない。乗った路線どおりの料金を払いたい場合は,西船橋で一旦下車し,JR 線の改札を出て,東京メトロ線の改札に入り直す必要がある。そんなことをしていては直通電車に乗っている意味がなくなってしまう。
JR にはすでに Suica という IC カードが存在する。PASMO は私鉄主導で作った IC カードである。それなのに,PASMO を使うと JR にお金が行くことになるというのは,何と言う皮肉だろうか。利用者から見れば料金が高くなって損だし,私鉄から見ても自分の路線を使った乗客の料金が JR に流れてしまって損なのだ。儲かるのは JR だけだ。
さて,西船橋の改札改良工事を振り返ると,上の理由により「改良」となるのは「JR にとって」ということは明白である。PASMO にとっては嬉しくもなんともない。しかし,改良工事の完了と PASMO 開始の日は合わせなければならなかった。なぜなら,今日までは JR と東京メトロは同じ改札を使っているためである。改札が共通だと,津田沼から来て西船橋改札を一旦出て入りなおしたとしても,東西線に乗ったという証明にならないからだ。単なる途中下車にしかならない。区別がつかないのだ。
話はそれるが,IC カードには不便な点もあり,注意が必要である。IC カードは,同じ定期券入れに2枚入れておけないのだ(2枚以上のICカードの同時使用はできません)。PASMO も Suica も IC カードである。どちらも持っている場合は,別の場所に入れておかなければならない。改札機は,どちらのカードを使うかを判別することはできないからである。
西船橋の改札が変わることは,料金以外にもマイナス面がある。西船橋の駅の中にある施設が使えなくなることである。改札が出来ることで,駅構内の施設が分断されてしまうのだ。
東西線利用者は,今までは無料で本屋に行くことができたが,今後は入場料が必要になる。
西船橋駅構内には,本屋や食事をするところができたが,方針が間違っている。改札を入らないと店が利用できないようになっているからだ。電車を利用しない人でも,本屋を使えるようにすべきだ。駅前にあった三省堂が閉店し,街の本屋が減った(nlog(n): 西船橋の三省堂閉店)。駅を利用しない人でも,本屋を利用する人はいる。改札の外側に入口をつければ,電車を利用する人も利用しない人も,本屋に行けるようになる。
Posted by n at 2007-03-17 23:41 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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