歳をとると,耳毛のライフサイクルが変わってくる。死ぬことを忘れてしまうのだ。死なないことが必ずしもいいことではないという実例である。
人間の体の表面には毛が生えている。色の薄い産毛{うぶげ},または黒い毛である。産毛は長くならない。黒い毛には,どこまでも長くなるものと,長くならないものがある。長くなるものには,髪の毛がある。男性ならばヒゲも長くなる (ヒゲには漢字が何種類かあり,くちひげは「髭」,あごひげは「鬚」,ほおひげは「髯」で表すそうだ (髭 - Wikipedia))。一定以上長くならない毛には,眉毛,睫{まつげ},鼻毛,腋毛,陰毛,脛毛{すねげ}などがある。長くならない毛というのは,一定の長さになったらそこで成長が止まるのではなく,抜けて落ちてしまうのだ。産毛も同様である。「生まれて,伸びて,死ぬ」という一定のライフサイクルがある。
歳をとると,このライフサイクルが狂ってくる。眉毛の中に,必要以上に長いものが出てくる。ライフサイクルの最後にある「死ぬ」のプロセスがなくなってしまうのだ。死なないことが必ずしもいいことではないという実例だといえる。ここで言う耳毛とは,耳に生えた黒い毛のことである。耳毛といえば,先日亡くなった川内康範が思い出される。Wikipedia の写真には驚いた (耳毛 - Wikipedia)。耳の穴の中にも生えるし,耳たぶにも生える。
若かりし頃,耳の中に生えていたのは産毛だけだった。産毛は一定期間で生え変わっていたに違いない。しかし,いつの間にか出てきた黒い毛は,生まれ変わらなくなってしまった。いつまで経っても死なないのである。黒い耳毛は男性しか生えないのだそうだが (耳毛って - 教えて!goo),男性であっても,若いうちは生えてこない。歳をとってから,その遺伝子が目を覚ますのだ。そして,目を覚ました遺伝子は,いつまでも古い毛を手放さない。迷惑な話である。
毛というものは,大事なものを保護するために生えている。鼻毛は鼻の粘膜を保護するため,耳の産毛は耳の中を保護するために生えている。とすれば,黒い耳毛は「保護」という観点からは,長くても問題ないということになる。問題がある観点は,「見た目」と「触った感じ」の2点である。
年齢を重ねるにしたがい,鼻毛,眉毛,耳毛,という順番で,ライフサイクル異常が現れてきてしまった。マツゲにライフサイクル異常が出ることに期待しよう。魅力的な目元が天然で演出される。髪の毛に,逆の意味のライフサイクル異常が起こってしまったのは問題だ。現状を受け止めて対処するしかない (nlog(n): 薄毛相対性理論)。腋毛と陰毛についてはどうでもいい。
Posted by n at 2008-05-07 01:24 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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