かなり昔に観た 8mm 自主製作映画「いそげブライアン」をまた観てみたいと思っていたら,タイミングのいいことに近々上映するという。これは何としても行かないと。
「いそげブライアン」は 8mm フィルムで撮影された自主制作映画である。監督は小松隆志。製作年は1985年。1986年に行われた第9回PFFぴあフィルムフェスティバル入選作品である (PFFアワード1986|ぴあフィルムフェスティバル(PFF)公式ホームページ
第9回ぴあフィルムフェスティバル(1986年))。
主人公はブライアンとチャーリー。チャーリーは言う「俺たちは最強のタッグチームだった」。「タッグ」というキーワードが示すとおり,小松隆志はプロレスファンである。プロレス映画ではないが,プロレスのスピリットは色濃く反映されている。ブライアンとチャーリーは映画のなかで走り回る。その映像にしゃべりっぱなしのモノローグがかぶっていく (モノローグ - Wikipedia)。この映画は,むしろモノローグがメインだと言ってもいい。映像は,語りの「背景」になっているのだ。「言いたいことが山ほどあるなら,それを全部言ってしまえばいい」そう言っているように思える映画である。
公開当時に,渋谷ユーロスペースで観てドギモを抜かれた。カメラを持ちながら走る映画を初めて観た。映画というのはこんなにも激しい心を撮ることができるのかという衝撃。若い時代にしか撮れない青春映画である。
この映画は,観た人間を虜にしていく。虜になった人間のために,脚本が発刊された。それが「ブライアンノーツ」である。作ったのは,監督ではなく,ブライアン青年団。いそげブライアンのファンの中のファンである。そのため,ブライアンノーツは,正確には,映画を作るときの「脚本」ではなく,完成した映画から起こされた「採録シナリオ」となっている。
小松隆志は,この映画の次に PFF スカラシップ作品「バス」を製作する (第3回PFFスカラシップ作品『バス』|PFFスカラシップ|ぴあフィルムフェスティバル(PFF)公式サイト
第3回 PFF スカラシップ作品「バス」)。公開は1987年。
ブライアンに感動した人間は,小松隆志を応援するようになっていた。そして,その中の熱心な人間が集まり,この映画「バス」を宣伝していこうということになった。私もいつしかそのメンバーになっていた。宣伝費用がない場合は,人海戦術となる。私たちはゲリラ的に宣伝をしていこうということにした。その1つがステッカーである。バスのステッカーを電柱や,電車の中吊り広告に貼り付けて行った。しかし,そのステッカーは,上の写真のものであり,「バス」と書いてあるだけであった。一応小さくは「TAKASHI KOMATSU MOVIE "BUS"」と書いてあるが,ほとんど情報は読み取れないと言ってよい。したがって,これがどれほどの宣伝効果があったのかは分からないのであった。
私は「ブライアン青年団」には所属していなかったように思うが,なぜかバスを応援する会には出ていた。どういう経緯で参加したのかは忘れてしまった。ぴあの熱心な担当の方が中心になっていたように思う。
さて,そんなことを思い出していたら,近々「いそげブライアン」が上映されることを知った。PFFは今年で30周年だそうで (第30回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)公式サイト
第30回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)公式サイト),これを記念して過去の作品が一挙に上映されることになったのだ。上映場所は,京橋にある東京国立近代美術館フィルムセンターである (上映会情報日本インディペンデント映画史シリーズ① PFF30回記念 ぴあフィルムフェスティバルの軌跡 vol.1)。上映日時は,7月4日(金) 14:00 と,7月9日(水) 18:00 の2回。前売り券は800円で,コンビニ等で購入できる (開催要領)。
これは何とかして見に行かないと。
その後,渋谷ユーロスペースで7月29日(土) 13:00 にも上映される (ユーロスペース | PFFスペシャル)。
全てを見逃してしまった場合は,最終手段として,ぴあからフィルムを借りることができるようだ。8mm 映写機があれば見られる。ただし,上映会を開かなければならないという制約がある。したがって,新たなファンができてしまう可能性もあるのだ。レンタル料は1回の上映につき,15,750円である (PFFアワード作品|ぴあフィルムライブラリー|ぴあフィルムフェスティバル(PFF)公式ホームページ
ぴあフィルムライブラリー(PFL) - PFFアワード入選作品)。
2008年7月10日追記:
観てきました (nlog(n): 「いそげブライアン」を観てきた)。
Master Archive Index
Total Entry Count: 1957