みずほ銀行の ATM を使うときに,いつも引っかかるのが「ご案内」の画面である。ユーザフレンドリーでないインターフェースは何とかならないのか。
みずほ銀行の ATM の最初の画面は,上の「いらっしゃいませ」画面である。取引を選択する画面であり,ATM によくあるパターンである。これは問題がない。
大きな疑問を感じるのは,この「ご案内」の画面である。これは,最初の「いらっしゃいませ」で「お引出し」を選択すると表示される画面である。ここから先に進むには,右上の「確認」ボタンを押さなければならない。つまり,この「ご案内」にあることを利用者が確認すること,確認とはつまり了承することが必要である。「了承しているのだから,文句言うな」が暗黙に強制される。
この「ご案内」画面で,何を確認するのかというと,手数料である。無料なのは月曜から金曜の 8:45 から 18:00 までである。なるほど。しかし,これを利用者に「確認」させるのは卑怯じゃないのか?
みずほ ATM を2〜3店舗見て回ったが,時計がおいてあるところはなかった。どうやって時間を確認すればいいのだろうか。また,ギリギリのタイミングのときの手数料はどうなのかも明示されていない。例えば,「取引開始」を始めた時刻が時間内だったら無料なのか,それとも実際に「金額の確認」ボタンを押した時刻が時間内だったら無料なのか,ということである。もしかすると,自分の時計が正確であっても,ATM の時計が間違っているという可能性もある。
実際にありそうな例をあげてみよう。朝,8:40 頃に ATM に来たとする。順番を待って,時分の番が来たのが 8:44 頃。そして「引出し」ボタンを押すと,この画面が出るのである。後ろには待っている人がいる。「確認」を押すかどうか。時計はない。確実性を増すためにあと1分待ってみるか。と思っている間にも後ろの人たちは「早くしろ」という雰囲気をかもし出している。手に汗握る一瞬である。105円の手数料は大きい。105円かかるかどうかでは大違いである。一番の問題は,「手数料がかかるかかからないかが分からない」ということなのである。
画面の一番下には,注釈で「みずほマイレージクラブなどで優遇条件を満たしているお客様は上記手数料が優遇されます」とある。しかし「手数料が優遇」ということからは,手数料が無料になるのかどうかは分からない。
みずほ銀行は,ユーザインターフェースには配慮しているらしい。
これらの動きを受けて富士通が手掛けたUDに配慮した製品としては、障がいのある人にも使いやすいインターフェイスを持ち、細部にもさまざまなデザインの工夫がなされたATMや、「聴きやすい」「見やすい」「読みやすい」などUDに配慮したインターフェイスデザインと機能を持たせた携帯電話「らくらくホン」などがある。
使いやすいインターフェースというのは,文字が読みやすいとか,ボタンが押しやすいとか,そういう類のことだけではなかろう (ユーザインタフェース - Wikipedia)。いくら見やすくてボタンが押しやすくても,最初に「所定の手数料がかかります。確認を押してください。」と出て,「無料の時間帯がありますが,時間はご自分でご確認を」が暗黙の了解であるようなユーザインターフェースはいけない。ATM は判断材料を提供すべきである。
私が考える,ここで言うユーザフレンドリーな「ご案内」画面は,次の通りである。
提案する「ご案内」画面:
このお取引では○○○円の手数料がかかります。
よろしければ「確認」を,中止する場合は「取消」を押してください。
カードを入れれば,マイレージクラブに入っているかは一発で分かるはずである。優遇条件を満たしているのか,取引時刻は時間内なのか,そんなことは利用者に判断させるべきではない。機械が提示すればいいだけである。利用者が判断すべきなのは,「その金額の手数料を払うことに同意するかどうか」だけである。
Posted by n at 2009-07-19 23:56 | Edit | Comments (6) | Trackback(0)
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結局「ユーザインターフェースには配慮している」は、みずほ銀行として配慮している訳じゃなく、業者に丸投げでやらせている訳なのでしょうね。
Posted by: oscar at July 20, 2009 17:13自分のカミさんに、使わせて意見聞けば、この程度の事は一発で解るのに・・・
oscar さん
Posted by: n at July 21, 2009 04:14どのくらい使う側の意見を取り入れて設計しているのでしょうね。
問題として取り上げられないのは,使う側が「ATMなんてこんなものだ」と諦めているというのもあるのかも知れません。
アメリカのATMはnさんのご提案とおりです。
Posted by: おお at July 21, 2009 12:06全くその通りのメッセージがでます。
ちなみに日本でもセブンイレブンのATMにバンク・オブ・アメリカのATMカードを差し込むと、画面が英語のしかもバンカメとほとんど同じ画面となります。議題のメッセージがでたかどうかは、覚えてませんので今後みてみます。
おお さん
Posted by: n at July 21, 2009 22:25あら,アメリカではそうなんですか。じゃあ提案の方向性は間違っていなかったと。安心しました。
アメリカは合理的に出来てるものが多そうですね。
三井住友や東京三菱UFJはご提案通り聞いてきます。
Posted by: Kaz at July 27, 2009 10:50実際に取引を行う際に聞いてきませんか?
Kaz さん
Posted by: n at July 27, 2009 21:21情報ありがとうございました。
もしかすると,みずほ銀行でも,最終的な金額を確認する画面で手数料の表示があるのかも知れませんね。
だとすると,最初の画面はあくまで「お知らせ」であり,「確認」させることは利用者に「同意」を求めているのではないということになります。
私は,手数料が優遇されるみずほマイレージクラブに登録してしまっているので,その画面が出てくるかどうかの確認ができません。