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Photo 海賊の船長の気持ちが少し分かった 2009 年の日食

昨日2009年7月22日は待ちに待った日食だった。海賊船の船長の片目がつぶれているその訳が少し分かったような分からないような,そんな曇天の日であった。

■ ■ ■

昨日の2009年7月22日は日本各地で部分日食が見られた日である (NASA - Total Solar Eclipse of 2009 July 22)。沖縄や小笠原では「皆既日食」になった。子供の頃は「怪奇日食」だと思っていたっけ。Amazon などで販売されていた Vixen の日食グラスは1500円。高いので買わなかった。待ちに待ったと言っても,その程度である。思い出っつうのは目に焼きつけるものなんだよ,と常々思っているのだが,物理的に焼きついてしまうと復活しない。

国立天文台(東京都三鷹市)の渡部潤一天文情報センター長は「日食のたびに目を傷める人が出る。絶対に直接、太陽を見ないように」としている。

皆既日食 思い出は残しても、目に焼きつけないで:産経関西(産経新聞大阪本社公式ニュースサイト)

安全な見方というものを知っておく必要がある (日食を観察する方法:国立天文台)。

海賊船の船長の片目がつぶれているのは,あまりに暇なために望遠鏡で太陽を見てしまったからだと言われている (未確認情報)。海の上は海以外は何もなく,何日も航海しているとその退屈も限度を軽々と越える。幸いにも,船長は望遠鏡を持っているので,多少は退屈がしのげる。望遠鏡は権力の象徴でもあるから,誰にも貸さないよ! な一品である。しかし,海の上では,望遠鏡を覗いても覗かなくても見えるものはほとんど同じということで,分かっちゃいるが,ほんの気の迷いで,つい禁断の太陽を見てしまう。肉眼でも一瞬も見ることができないような明るさの光が望遠鏡を通して入ってきたら大変だ。恐らくは「じゅっ」というような音がするのではないだろうかと想像される。そして船長は理解した。太陽の光を望遠鏡で見てはいけないという言い伝えは本当であったと (「言い伝え」かよ〜!)。

ピンホールはダメだった
ピンホールはダメだった


さて,昨日の埼玉県地方はというと,朝から雨。幸いにも日食の時間には雲が薄くなった。ピンホールで床に写そうとしたが,それには光が弱すぎる。仕方ないので,直接ちらりと見た。少し欠けているのが見えた。目がジーンとした。海上のように退屈だから見たというのではなかったが,何となく片目の船長の気持ちが分かるような気がした。分かっちゃいるが,それでも見てぇんだ (「興味がない」って言っていても,やっぱり見たかったんだねぇ)。

雲に隠れた日食太陽と飛行機
雲に隠れた日食太陽と飛行機


上の写真は10:57頃。飛行機が近くを通った。しかし肝心の太陽は欠けているのが分からない。


10:58頃の太陽。欠けているようにも見えるが,雲がかかってそう見えているようにも思える。一番かけるのは11:12頃だったのだが,その時間は雲がもっと厚くなって太陽がどこにあるかも分からなかった。

これにて天体観測イベントは終了。日食グラス + デジカメならまともな写真が撮れるのかも知れない。次回はちゃんと日食グラスを用意しようと思う。

実は,私は10年前の夏に,日食を見るためにフランスまで行っている。皆既日食で,日付は1999年8月11日だった (Total Solar Eclipse of 1999 August 11)。しかし,その日も曇りだった (涙目)。残念にもほどがある。皆既日食になるメッツの町には (Metz - Google Maps),沢山の人が集まっていたが,天気と同じように人の表情もどんよりしていた。それでも,皆で声をそろえてカウントダウンをした (フランス語ではカウントアップはできたが急にカウントダウンしろと言われても無理だったのだが)。あたりは本当に暗くなったが,もともと雲が厚くて暗かったため,日食特有の「急に夜になった感じ」はなかった。

「日食」と書くと,「日本食堂」とか「日本食研」のように見えてしまうことがあって困る。「日蝕」が本来だが,「蝕」が常用漢字にないので「日食」で代用されている。「食」というのが気に食わないが (ダジャレかよ),ひらがな代用の「ろ過」よりはマシか。

次回のお楽しみは3年後の2012年5月21日(月),この日は日本国内の広い地域で金環食を見ることができる (日食 - Wikipedia)。過去と未来における世界的な日食情報に関しては NASA のサイトがよくまとまっている (NASA Eclipse Web Site)。

皆既日食も見られて金環食も見られるというのは地球という星の奇跡である。日食というのは太陽を月が隠すことで起こる現象であるが,直径から言えば,太陽は地球の100倍であり,月は4分の1しかない。つまり,太陽と月は,物理的には400倍という大きさの違いがあるにも関わらず,地球から見た大きさはほぼ同じなのである。月が地球に近ければ皆既日食,遠ければ金環食になるのだ。驚くべき不思議な一致である (太陽地球)。

2012年5月21日追記:
2012年の金環日食はピンホールで観測しました (nlog(n): ピンホール筒で金環日蝕観察)。

Posted by n at 2009-07-23 22:17 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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