鳩は歩くときに首を前後に振る。これは片目だけで立体視をするためだという説を読んだことがある。ステレオフォトグラフィー,プルプル立体視の要領である。
鳩が歩くときに首を前後に振るのは,片目で立体視をするためだという説を,雑誌で読んだ記憶がある。
その説とは,次のようなものである。鳩は頭の両側に目がついていて,広い範囲を見渡すことができる。外敵が近づいてくればすぐに分かるようにである。しかし,これには立体視ができないという欠点がある。片目では,視ているものまでの距離が正確に分からないのである。この欠点を,鳩は前後に首をふることで克服している。頭を前に倒したときと後ろに倒したときのそれぞれの映像を,左目の映像と右目の映像だと思えば,擬似的な両眼立体視をすることができるというものである。「擬似的」というのは,両目で同時に映像を捉えるのではなく,片目で時間差をつけて捉えているからである。
鳩は歩きながら餌を探すため,歩くときに立体視をする必要がある。歩いて餌を探さない鳥は,首を振る必要がない。鳶や鷹などは飛びながら餌を探すので,首は振らず,そのかわり飛んだ距離を両眼の視差に対応させて立体視をしていると考えられる。
この説が解説されていた雑誌は,「科学」あるいは「数理科学」で,1985年前後の号だったように記憶しているのだが,記憶があいまいで見つけられない。
次も原典の文献が見つけられないのだが,実験が行われたことがあるようだ。
疑問に思う人は昔からいたらしく、英エディンバラ大の研究者は1970年代にジュズカケバトを使って首振りの仕組みを研究している。ハトをランニングマシン上で歩かせ、体が前にも後ろにも進まない状態にすると、首を振らなかったというのだ。一方、同様に歩かせながら、周囲の景色を後ろに動かすと首を振った。
この実験から導かれる結論として「視覚に関係がある」以上のことが書かれていないので分からないが,立体視説を否定するものではない。また,上のサイトでは,藤田祐樹氏による映像をぶれさせないようにするための「眼球運動の代替動作」の説も紹介されているが,この説もまた立体視の説を否定するものではない。立体視説を補助する説にはなり得る。
さて,この擬似的立体視がどのようなものであるかの例がある。色々な呼び方があるのだが,英語なら Stereo Photography で,Jim Gasperini のサイトで見ることができる。国内では「プルプル立体写真 - Google Search」,「プルプル立体画像 - Google Search」,「ぷるぷる立体視 - Google Search」などのインフォーマルな呼び方が一般的になっている。@nifty:デイリーポータルZ:プルプル立体猫写真 に猫の例がある。画像の枚数を増やし4枚にしたものの例は Lenticulations - 3D animated bullet time autostereo wobble photos にある (紹介 ずっと見てると変な気持ちになってくる画像:ザイーガ)。Nimslo 社の 4 レンズ 3D camera (Like a Razor....) で撮影したものとのこと。
このステレオフォトグラフィーを作るソフトとしては,Windows 用のフリーソフトであれば きんもこ日記、ふたたび さんの「プルプル立体画像メーカー puru2maker」,iPhone/iPod Touch 用有料アプリなら「プルプル3D」 (プルプル3D:META-APPs) がある。
レンズが2個ついたカメラを使えば (富士フイルム、3Dカメラ・3Dフォトビュアー・3Dプリントを正式発表),簡単に作れそうだ。
隼や鷹などの猛禽類は,両眼で前をよく見ることができるようだ。できなかったら木に激突である (ハヤブサとタカにカメラを搭載!鳥の目線で見る動画 - 地球はすごい!明日の地球 自然 動物 風景の動画や写真)。
Posted by n at 2009-07-30 06:27 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
Master Archive Index
Total Entry Count: 1957