鍵つきトイレットペーパーフォルダの説明書きを見ていたら「ムムム」となった。トイレ中は暇なので細かいところに目がいってしまう。
トイレットペーパーホルダーとは,トイレットペーパーを置いておいて簡単に引き出せるようにする台である。トイレットペーパーホルダーの簡潔な日本語表現が見つからなかったが,何というのだろうか。「トイレットペーパー設置台」だろうか,難しい。
トイレットペーパーホルダーには,紙の盗難を防止する目的で鍵のついたものがある。紙がなくなると,紙を供給する側も,次に使う側にも打撃である。慌てて飛び込んで,ギリギリセーフでよかったと,ほっと一息ついた後のダメージは言葉では言い表せない。
さて,鍵つきトイレットペーパーホルダーには,日本語の他に,英語とそしてフランス語で使用方法が書かれているものがある。製品としての出来はとてもよく,パンガムさんのようよほど幸運でない限り交換することはできない (今日の一言 【トイレットペーパーのストックを無理矢理使う人って何なの?】|パンニューブログ)。私はいまだにその幸運に巡り合っていない。しかし,そんなよい製品にも残念なことが2点ある。
この鍵つきトイレットペーパーホルダーの優れているのは以下の点である。
盗難防止の条件を満たすには,とても丈夫であって,鍵が簡単に開かないことが必要である。これをクリアしていて,なおかつ紙の交換も簡単にできるようになっているので,優秀である。おそらく,鍵を開けて紙を補給するのも簡単にできるのではないかと想像される。
その一方で,残念な点は次の2つである。
紙を引き出す側が右側についていて,交換のときに右にスライドするようになっているものを,ここでは「右バージョン」と呼ぶことにする。説明書きには次のようにある。
使用方法
■ How to replace the paper.
■ Pour remplacer le rouleau de toilettes.(A) 中央レバーを上に上げる。
■ Lift the lever and cover.
■ Lever le levier et le couvercle.(B) ロールペーパーを右へ移動する。
■ Move the roll to the right.
■ Déplacer le rouleau sur la droite.
フランス語の説明もあるので,これをこのままカナダやアフリカに持っていっても OK である (フランス語を公用語としている国の一覧 - Wikipedia)。
左バージョンもある。予備のロールが入っている部分は出っ張っているので,設置する場所によっては紙が引き出しにくくなってしまうからである。右バージョンと左バージョンの両方があるので,トイレのドアの都合などでトイレットペーパーホルダーを右側につけることになっても左側につけることになっても,それに合わせたものを購入すればよいのだ。
説明もこれに合わせたものになっている点も評価できる。
(B) ロールペーパーを左へ移動する。
■ Move the roll to the left.
■ Déplacer le rouleau sur la gauche.
トイレットペーパーを補給するときは,この穴から鍵を挿し込むのだろう。上手くできている。
残念な点のその1は,メーカーが分からないことである。説明書きの一番下を見ると「PAT.P.」と書かれている。これは「Patent Pending」の略である (田附行政書士事務所 知的財産なマーク(その1)〜 音楽CDの知財マーク 〜)。日本語なら「特許出願中」。「PAT.P.」で検索すると「PAT.P」が沢山ひっかかるが (PAT. P. - Google Search),最後の「.」は「Pending」が省略されて「P.」となっていることを意味するので,削ってはいけない。
さて,「PAT.P.」が「特許出願中」なのは分かった。「PAT.P」になっていない点も優秀である。しかし「誰が」特許を出願しているのか分からないという点が残念なのである。
残念な点のその2は,誤植である。せっかくフランス語に訳してあるのに,誤植があるのだ。
1つは「toilettes」とすべきところが「tollettes」となってしまっている。つまり「i」→「l」。もう1つは「couvercle」とすべきところを「couvercie」としてしまっている。こちらは逆に「l」→「i」。この誤植は,上の引用では修正してある。
訳した人の書いた字が下手だったのか,それとも読み間違いなのか。そして出荷前のチェックはされておらず,さらに出荷後も誰も気がついていない。そんなことを合わせて考えると「フランス語訳は不要だったのでは」の感がムクムクと湧き上がってくるが,「いやいや,アフリカという広大なマーケットを視野に入れているんだ」という野望は捨てきれない。これは悩ましい。と頭を抱えていると,「全然悩むことないって,輸出するときにそこの言語のを作ればいいんじゃね?」的なアッサリした答が出てきたりして,やはりムムムとなるのであった。
2013年8月26日追記:
このタイプのトイレットペーパーは「コアレス (core less; 芯なし)」と呼ばれるようです (コアレスホルダーの使い方)。
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考えたこともなかったっす。
Posted by: おお at August 27, 2009 06:01アメリカだとトイレは下に隙間が40cmくらいは空いています。なのでもし紙がないという状況に遭遇しても、となりの個室の紙を下から手でまさぐって拝借することが可能!実に機能的です。しかも紙のロール自体がだいたい(全部のトイレというわけじゃないですけど、ほとんどのところがそうです)ロールの直径がこれまた40cmくらいあるので紙が切れる場面に遭遇する確率も断然少ないと思われます。
ただし、一番はじっこで、隣の個室のペーパーがない側に入っちゃうとこの技が使えません。ので、いつもはじには入らないことが鉄則です。
おお さん
Posted by: n at August 27, 2009 06:42何とアメリカのトイレの下の隙間は,前だけでなく横にもあるのですか!
前の隙間は,外の人が使用中かどうかを確認できるためだと思うのですが,
横の隙間の理由は何でしょう? やはり紙を隣から拝借するため?
もう1つ。前の隙間が「防犯のため」という説もあるのですが,どんな犯罪を防止できるのか知っていたら教えてください。
昨日、このページにのっているペーパーホルダを見て@船場センター街このページに来ました。検索キーは"pour remplacer le rouleau de toilettes"です。なぜフランス語の案内文なのか、はこのページでも依然不明。
Posted by: まじすか小六 at February 02, 2010 09:19まじすか小六 さん
Posted by: n at February 03, 2010 00:39最近は,横文字といえば英語ばかりなので,フランス語というのがあってもいいですよね。