鶏卵アレルギーの度合いが非常に高い場合,インフルエンザワクチンの接種は難しい。副作用の危険があるからである。しかしインフルエンザの重症化は避けたい。接種するかしないかの判断材料が少ないため,大きい病院で相談することにした。
我が家の幼児は,卵アレルギーである。ここで言う「卵」とは「鶏卵」のことで,「魚卵」ではない。魚卵は食べても平気である。鶏卵を食べるとジンマシンが出たり,咳き込んだり,戻したりする。鶏卵除去食で治療を進めているが,かなり多くの食品に鶏卵が含まれており,なかなか難しい。
最近,A型H1N1亜型インフルエンザが流行している。いわゆる「新型」インフルエンザであるが,単に「新型」と言うと「何時の時点で新型なのか」が曖昧になってしまうので,ここでは「A/H1N1 型」と表記しておく。A/H1N1 型インフルエンザにかかりやすいのは若い世代であり,特に5歳以下の乳幼児は重症化しやすい。asahi.com(朝日新聞社):新型インフル、乳幼児の死亡が急増 11月、全体の4割 - 関西住まいニュース によれば,対策室の調査によると、新型インフルによる死者数は、11月1〜13日は18人でうち5歳以下が7人と約4割を占めた。
とのこと。
重症化を避けるには,事前に予防接種を受けることなのだが,ここで問題になるのは鶏卵アレルギーである。ワクチンの生成過程で鶏卵が使われるため,ワクチン接種時に副作用があることがあるのだ。ワクチンを作るのに、まず、インフルエンザをニワトリの卵に入れて増やします。増えたインフルエンザだけを精製し、卵の成分をできるだけ除きます。
(卵アレルギーにインフルエンザワクチンは? - [アトピー・アレルギー]All About)。
ワクチンを打つかどうかは,鶏卵アレルギーの度合いによって変わる。しかも最終的に受けさせるかどうかの判断は患者 (この場合は親である私) が行わなければならない。アレルギー数値が低い場合は,医師も受けさせることを勧めてくれる。しかし,アレルギー数値が高い場合は,「副反応で呼吸が止まったときに1人では対処できないので,専門医が2名以上いる病院を紹介します」とのこと。私としては,インフルエンザが重症化するのも困るが,呼吸が止まるのも困る。冷静に考えるために,ワクチンを接種した場合のメリットとデメリットについて表にしてみる。
卵アレルギー幼児のワクチン接種 | 利点 | 欠点 |
ワクチンを接種する | インフルエンザが重症化しない | インフルエンザにかかる ワクチンの副作用がある |
ワクチンを接種しない | ワクチンの副作用がない | インフルエンザにかかる インフルエンザが重症化することがある |
かかりつけの医師によると「ワクチンを接種してもインフルエンザにはかかります」とのこと。それならば,副作用とインフルのダブルパンチよりは,いっそのことワクチンを打たずにインフルにかかってしまう方が楽かも知れないとも思うのだ。しかし,それよりも重要なのは「重症化する可能性」である。私の希望は「ワクチン接種を是非受けさせたい」というのではなく,ワクチンを打っても打たなくてもいいから「最悪の事態にならないようにしたい」である。重症化の症状としては,ウイルス性肺炎とインフルエンザ脳症である (解説委員室ブログ:NHKブログ | 時論公論 | 時論公論 「新型ウイルス 子どもと重症化」)。インフルエンザ脳症の症状としては,けいれん,意識障害,異常行動があるとのこと (解説委員室ブログ:NHKブログ | スタジオパークからこんにちは「暮らしの中のニュース解説」 | スタジオパーク 「インフルエンザ脳症に要注意」)。
残念ながら,上の表ではワクチン接種をするかしないかの判断材料がまだ足りない。しかし,かかりつけ医師のところではこれ以上情報を得ることは難しい。そこで,「ワクチンを接種させる方向」で動くことにした。病院を紹介してもらい,これまでのアレルギー検査の結果をもとに相談すれば,より詳しい情報を得ることができる思うからだ。相談の後,もし「やはり接種は中止しましょう」と言われてもそれはそれでいいのだ。
インフルエンザにかかってしまった場合,若年向けに処方される「リレンザ」には鶏卵アレルギー問題はないようだ。難しいのは投与する時間の幅が短いことだ。抗インフルエンザ薬は,発症前の投与は推奨されていないが,48時間以内に投与しなければならない (2009年新型インフルエンザ - Wikipedia)。困ったことに,最初の発熱から12時間以上経過しないとインフルエンザの検査に反応が出ない。病気は土日を待ってくれない。親としてはできる限りのことはするが,今できるのは土日にやっている救急病院を調べておくくらいのことである。
インフルエンザ脳症になる危険のある薬は注意が必要がある。解熱剤のボルタレンは禁忌となっている (ボルタレンサポ・錠・SRカプセル 適正使用のお願い 2005年1月 -医療関係者向け情報 ノバルティスファーマ-)。熱が高いからといって,無闇に解熱剤を飲ませてはいけないのだ。
Posted by n at 2009-11-17 21:50 | Edit | Comments (0) | Trackback(1)
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