仕事ができる人というのは,時間や物事の区切り方が上手い人である。
「仕事ができる人」と一言で言っても,何をもって「仕事ができる」というのかは人それぞれである (仕事ができる人の意外な特徴ランキング - ビジネスランキング - goo ランキング),ここで言う,私の思う「仕事ができる人」というのは,仕事において定期的に一定の成果をあげている人とする。その成果に報酬はなくてもよい。ここで言う仕事というのは,会社での仕事に限らない。趣味でもよい。
私が知り合った中で,「この人はスゴい」という人は次の3つの特徴を持っていた。
人生は連続しているし,仕事も連続している。連続しているということは,現時点をみれば「すべてが中途半端」ということになる。しかし,仕事ができる人は,これに区切りをつけるのが上手い。大きな仕事があったとしても,それをある範囲に限定することでゴールを決め,そのゴールに到達したところで区切りとするのである。ゴールは量で決めてもいいし,期間で決めてもいい。締切があるほうがやりやすい場合もある。そして,ゴールに到達すると何らかの成果があがっているのだ。
区切りをつけると,今まで坂だったものが階段状になる。階段にして昇りやすいようにすればよいのだ。一時期に集中して仕事をしてその後休むというようなリズムを作るということである。人間は,持てる力の 50% を常に出し続けることはできない。90% の力を出したあと,10% にして休むことならできる。休んでいる間は,まったく別のことに 90% の力を出すこともできる。
問題は,成果がでない場合にはどうするのかということである。私の知るある人は,成果が出ない場合,無理矢理「打ち上げ」をして区切りをつけていた。
区切りをつける現代的な方法に GTD {Getting Things Done} がある (nlog(n): 「Getting Things Done」をやってみようか,nlog(n): 自分の仕事をすべて書き出す)。GTD の最大の特徴は,それぞれの仕事に「ステータス (どういう状態か)」のラベルをつけて取り扱うことにしているということである。ステータスを「中途半端」にはしないというのが最大の特徴である。完了した仕事はもちろん「完了」のラベルをつけて終了する。「終了する」というのが GTD の「Done」である。完了しないものは,他人に依頼して「待ち」のラベルをつけて終了。極端な場合は「先送り」ラベルをつけて終了するのである。これで 1つの区切りがつく。ただし,ラベルをつけただけでは「やったような気」になるだけの危険があるので,1週間に1度見直しをすることが GTD のサイクルに組み込まれている。
これは何かを成し遂げるのに非常に重要である。「やることを決める」指令系と「行動を起こす」実行系を明確に分けるということである。やると決めた仕事をやっている最中に「これをやっていて意味があるのだろうか」などを考えてはいけない。もう最初にやると決めているからである。「集中力がある」はこれに含まれる。実行系では実行だけするだけで,余計なことを考えないことが大切。余計なことを考えなければ自然と集中力は高まるからである。
実行系から指令系へのフィードバックは,実行が終わった後で行う。したがって「やることを決める」→「行動を起こす」→「完了させる」→「やったことを見直す」という流れになる。「見直し」の過程がフィードバックである。
私の場合,面倒くさい仕事だと他人から指示された方がやりやすい。指令系も自分,実行系も自分だと,実行系の動きが鈍るので,そんな場合は神様を持ち出すことで無理矢理対応している (nlog(n): 天の神様のいうとおり生きてみる)。
実はこれが大問題なのだが,成果を出すには「そもそも自分が成果を出せる仕事についている」ことが必要である。ラッキーな人の場合は最初からそういう仕事につけるが,多くはそうではない。しかし,先にあげた「区切りをつける」と「指令系と実行系を分ける」ことで成果は出てくるので,仕事を変えるための足がかりになる。
力がついてきて,成果が出せるような仕事に変われたなら,さらに力を発揮することができるようになるだろう。
ここで考えに入れていない仕事には,他人との協力で行うものがある。チームワークが必要な場合は,コミュニケーション能力などの他の力が必要になるだろう。
日ごろ心がけるべきは,「区切り」と「系統分け」である。これはつまり,意識していないと「だらだら」「集中力散漫」になってしまうことも意味している。心がけというのは,ややもすると陥りがちな罠を回避するためのおまじないなのである。
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