長年にわたって研究の面倒を見てくれていた師匠が急逝した。
師匠が急逝した。ここで私が「師匠」といっているのは通称で,お華とか踊りなどの師匠ではなく,学術研究の先生のことである。
「自分は10月に死ぬから,それまでに研究をまとめなさい」という電話があってから2週間だった。進捗をまとめて見せに行こうとしていた矢先のことだった。
私はいわゆる「研究者体質」ではないのだが,長期間にわたって研究を続けてこられたのは師匠のお蔭である。私には恩師というのが何人もいるのだが,この師匠は中でも私の人生に大きな影響を与えたひとりだった。
師匠には常に「ダメだ」と言われ続けてきた。先生にとっては,出来のよくない弟子だったろうと思う。あまりにダメダメ言われるので精神的に参りそうになったこともあったが,できるだけよい方向で受け取るようにすることで持ちこたえてきた。以前は嫌でも聞くしかなかったが,今となっては聞きたくても叶わない願いである。
家族の話によると,最後に過ごす病院も自分で決め,病院に入る前にすべての予定のキャンセルをしていったそうだ。自分で人生の幕引きまで行った強い精神をもった方だった。
Posted by n at 2010-07-12 20:44 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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