nlog(n): 偽物のような本物は何と呼べばいいのだろうか

Tue August 09, 2011

偽物のような本物は何と呼べばいいのだろうか

偽物というのは，本物ではないもののことである。では偽物はすべて本物に劣るのかといえば，そうではない。本格的な材料を使った偽物もある。それには適切な呼び名がないだけなのだ。

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偽物というのは，本物ではないもののことをいう。偽物には，偽造，偽装，贋作，コピー商品などがあるが (偽物 - Wikipedia)，どれもよくない印象がある。一般的に，偽物は，「見た目だけ本物に似せた模造品で，中身の保証がされない」ものだからである。

ところが，私は「偽の食品」に大いに助けられている。ただし，ここで言う「偽の食品」には適切な表現がない。

私は鶏卵アレルギーの体質なため，鶏卵が食べられない。一般的には鶏卵は栄養だが，鶏卵アレルギーにとっては毒だからである。

そんな私は「マヨネーズ」の代わりに「豆乳マヨネーズ」を使っている。豆乳マヨネーズというのは，卵の代わりに豆乳を原料に使ったマヨネーズのことである。日本農林規格 (JAS) では，マヨネーズとは「半固体状ドレッシングのうち、卵黄又は全卵を使用し、かつ、必須原材料、卵黄、卵白、タンパク加水分解物、食塩、砂糖類、香辛料、調味料（アミノ酸等）及び酸味料以外の原材料を使用していないものをいう。」とされている (マヨネーズ - Wikipedia)。したがって，豆乳を使ったものはマヨネーズと呼ぶことはできず，「マヨネーズタイプ」や「マヨネーズ風」などという名前にしなければならない。「マヨネーズ」ではないのだ。この点において，豆乳マヨネーズは本物ではない。

JAS では，原材料の種類は規定しているが，品質についての規定はない。ということは，極端なことを言えば，卵なら何でもいいのである。厳選した豆乳と酢をつかった豆乳マヨネーズがあったとすれば，その品質と味は，いい加減な品質の「本物の」マヨネーズを上回ることになる。

私が最初に出合った豆乳マヨネーズは，「松田のとうにゅうず」である。雫石のペンション PAO で教えてもらったとき，そのマヨネーズらしさに驚いたのだった。PAO のホームページは現在は閉鎖され，営業しているかは不明である (ペンション PAO 雫石)。PAO お勧めの商品には失敗もあったがそれも今では思い出である (nlog(n): 灰色の粉の効き目)。

豆乳は，牛乳と比べると青臭くて美味しくないことが多いが，豆乳マヨネーズはマヨネーズと区別がつかないほどであり，しかも美味しいのである。ただし値段が高い。それだけが難点である。

最近知った食品に「豆乳ヨーグルト」がある。牛乳の代わりに豆乳を使ったヨーグルトである。豆乳ヨーグルトは，乳製品アレルギーの人でも食べることができる。豆乳ヨーグルトと味は，普通のヨーグルトとはかなり違う。不思議なことに，それをヨーグルトだと思って食べると美味しくないが，「ヨーグルトとは別の食品」だと思って食べると，しっかりしたコクがあってそれなりに美味しく食べられるのだ。

「本物」と呼ばれるものが1つの絵だったり，1つのブランドだったりする場合，「偽物」は上辺だけ似せたものであり，価値が低い。しかし，「本物」が1つの一般名だった場合，それに「似せた品」は「偽物」だと言って切って捨てることはできない。「似せた品」であっても，原材料に「上質の材料」を使うことができるからだ。そしてその品質や味は，もともと本物とされているものを上回ることがある。適切な呼び名が欲しいところだ。