Google AdWords を使って,このブログの宣伝をしてみたが,最終的に得られたのは大量のリファラアタックだった。
Google アドワーズは,Google が行なっている広告サービスである。「AdSense」は自分のサイトに広告を貼って収入を得るのに対し,「AdWords」はお金を払って自分のサイトの広告を貼るためのサービスになる。
先日 Google から「AdWords」のための「7500円分お試しクーポン券」が郵送されてきた。Google に住所登録しているのは AdSense だけなので,Google はその情報で送ってきたのだと思われる。「10月末日までに登録してね」とあったが,無視していたら「もうそろそろ期限だけど」というハガキも届いたので,登録して使ってみることにした。
Google AdWords に登録するにはクレジットカード番号が必要である。無料クーポン券を使った場合,クーポン券の金額がチャージされて,広告料はそこから使われるが,チャージが0円になると,以降はクレジットカードからの自動引き落としになる。したがって,登録後は放置してはいけない。お試しをしたいだけなら,チャージが0円になる前に止める必要がある。
広告を出し始めてから,またもや7500円分の無料お試しクーポン券が届いたので,そのクーポンコードを入力してみたが,「お試しは1回のみよ」と表示され,拒否された。お試しに2回目はない。
ブログの広告を打つにあたって,問題が表面化した。どのような問題か解説しよう。
広告を打つということは,サイトへのアクセスを増やすということが目的になる。それには,ブログサイトの何らかの特色を打ち出し,顧客を,ブログなら購読者になりそうな人を引っ張り込まなければならない。
ドラッガーは言っている。「自分の強みを知ることだ」と。
このブログサイトの強みって何だろうか? と思い,冷静になって見直してみたが,大した特色がないことが判明。これが分かった時,「広告を打つ」つもりが「広告で欝」のようなダジャレが精神攻撃となって自分に向かってきた。あやうくかわしかけたが (!?),案の定,直撃した。
かつては Movable Type のカスタマイズやハックである程度の人気があったが,今となっては過去の栄光にすぎない。我ながらよく書けたという記事にはアクセスはなく,割とどうでもいい記事に人気が集中している不思議。
最近はライフログという名の,個人的な病気や怪我までを惜しみなく公開するという「誰得」サイトになっている。「誰得」というのは,「誰の得になるの?」の意味である。それでも,その病気怪我情報で「すんげぇ助かりましたよ〜」というメールも届いたりするので,「誰かしらの得」にはなっているようで,それはそれでとても嬉しかったりする。
もうひとつの問題は,広告文が思いつかないことである。「騙された! でもついアクセスしちゃう!」というようなキャッチーな文句が浮かんでこないのである。私に関しては,騙すことは苦手であるが,騙されることにかけては一流である (nlog(n): タイトル通りなのに騙された気がする「チュパカブラ」動画,nlog(n): キャッチコピー通りなのに騙された気分になった「洋ロリ」ビデオ)。
AdWords にはキツ目の文字数制限がある。タイトルは全角15文字以内,説明文は19文字以内でなければならない (Inside AdWords-Japan: テキスト広告の文字数制限に関するアドワーズ ポリシーが変更になります)。
もともとない知恵を,絞り袋に入れて無理やり「ちゅぅ」と出してみたところ,次のコピーが抽出された。
広告タイトル: 細かいことを考察するブログ (全角13文字)
広告テキスト1: 俺がやらなきゃ誰「が」やる! (全角14文字)
広告テキスト2: 俺がやらなきゃ誰「か」やる? (全角14文字)
URL: nlogn.ath.cx/ (半角13文字)
うーん,キャッチーじゃない。ダジャレという名のレトリックをそこはかとなく感じるかも知れないが,逆に「面倒臭そー」な印象も同時に与えてしまう。
もう1つの問題は,AdWords は,スペースが小さいときは「広告テキスト2」を省略してしまうことである。となると,上の「1+2」の対比で構成されている広告テキストは意味がなくなってしまうことになる。そこで,次のコピーを作った。
広告タイトル: どうでもいいことを深く考察する (全角15文字)
広告テキスト1: 何の役に立つのか (全角8文字)
広告テキスト2: それはあなたが決めること (全角8文字)
URL: nlogn.ath.cx/ (半角13文字)
ダメダメではあるが,「広告テキスト1」だけでも意味が通る。
上の2つのバージョンを「Ad Group #1」「Ad Group #2」に登録した。統計情報によれば,予想通り,下の「Ad Group #2」の広告にはクリックがあったが,「Ad Group #1」のクリックは 0 であった。
広告の表示期間は1か月半。Default bid 75円,1日の上限を1000円にしたところ,広告をクリックしてこのサイトを訪問してくれたのは,約100アクセスで,かかった費用は約5000円だった。
7500円分のチャージなのに,5000円を使ったところで広告を止めたのには理由がある。それは,サイトへのリファラアタックが開始されたからである。Google AdWords に登録したことで,「人」のアクセスにつながったが,同時に「ロボット」のアクセスも増やしてしまった。「リファラアタック」というのは,あたかもそのサイト経由でアクセスしてきたように見せる広告の手法の1つで,サイト管理者からのアクセスの増加を目的とするウソアクセスである。嘘アクセスであり,糞アクセスである。
上はアクセス統計情報まとめツール Webalizer の表示である。「どこからこのサイトに飛んできたか」のリファラ情報の部分なのだが,これだけ色々なサイトから飛んできているにもかかわらず,アクセス数がみな同じ「133」になっているのはどう考えてもおかしいだろう。1つのサイトのロボットが,リファラを変えて「ガーッ」とアクセスしてきているのだ。
リファラアタックの問題は,そのサイトから本当に飛んできているのかどうかを確認する方法がないということである。確認するためにアクセスしたら「負け」である。アクセスすれば,それはアタックしてきたサイトの思うツボだからある。
ロボットによるアクセスの悪いところは,広告を止めたあとでも続くところである。人のアクセスは止まるのに。
AdWords を試すことで,勉強にはなった。このサイトのような何にも特化していないような個人ブログは,広告を打っても,購読者数の向上にはつながらないこと。インターネットに広く広告を出すことで,人のアクセスは増えるがロボットのアクセスも増えること。ロボットによるアクセスで,統計が要らない情報で埋め尽くされてしまい,使えなくなってしまった。この授業料は高くついた。
Posted by n at 2011-11-24 20:22 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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