女性漫画家の描くマンガには,可愛らしい小動物が登場することがよくある。作者は意識していないかもしれないが,これは男性あるいはチンコそのものを表現していると見ることができる。
これらの性質は,その女性漫画家がどのような考えで「ちんこ」を捉えているかに大きく依存している。
内田春菊 の初期のマンガには,シーラカンスが出てくる。単行本「春菊」の表紙はシーラカンスである。「シーラカンス・ロマンス」の各話の扉絵にはシーラカンスと女性が描かれている。実は,今回のこの記事の動機となったのがこのシーラカンスなのである。描かれるシーラカンスは,棒状でゴツゴツした体をしていて,表情がつかみにくい姿になっている。恐らく,いわゆる「臨戦態勢」になった男性器というものは,女性から見ればまさにそんな感じなのではなかろうか。
週刊少年サンデーに連載中の高橋留美子の「境界のRINNE」に出てくる黒猫のキャラクターは非常に興味深いものになっている。黒猫の名前は六文 (ろくもん) で,主人公の六道りんねの相棒である。境界のRINNEにおいては,この六文がチンコキャラになっている。
特徴としては,普段は小さくて可愛らしく,頼りなくて失敗も多いが,まれに巨大化してりんねを助ける存在になることがある,そんなところである。物語の舞台は高校の第1学年。この六文の描かれ方は,女性から見たチンコのキャラクターとして,特に女子高生の視点としては出来過ぎなくらい完璧である。実際の男子高生から見れば,チンコはモジャモジャしてきたりして可愛げがなくなってくる時期だが,女子高生が知っているチンコは小学校時代のコロコロとした可愛らしいものなのである。ただし,高校生ともなれば,それがどういうわけか大きくなったりすることも知っていて,このあたりもキャラクターの特徴に一致している。
週刊少年マガジンに連載中の「CØDE:BREAKER」には犬が出てくる。ふだんはフニャフニャだが,まれに強くなることがある。強くなったときは,顔がツルッとしていて,表情がつかみづらいキャラクターになる。フニャフニャの時のほうが表情はある。作者の上条明峰は,性別非公開とされているが女性という説が有力である。高橋留美子のアシスタントをしていたこともあるそうだ。
読売新聞の日曜版に連載されていたけらえいこの「あたしンち」には強い個性のお母さんが登場する。お母さんは顔がモロにちんこである。半円形の頭で首がない。女性がチンコになっていることは不思議な感じもするが,女性の男性的な面を強く打ち出していると考えれば納得がいく。あたしンちは2012年3月に連載を終了した (漫画「あたしンち」の連載終了、作者のけらえいこがTwitterで心境。 | ニコニコニュース)。
もうひとつ,これはマンガではなくて絵本なのだが,島田ゆかの「バムケロ」シリーズである。バムは犬,ケロはカエルで,雌雄は明確でないが,バムは首の皮が余っているという点でちんこキャラである。カエルは体が乾いてしまうと生きられないという点で女性を表していると言えるだろう。
男性漫画家は,女性を描きたい場合は女性をそのまま描く。マンコは描けないが,その代わりに水着や裸などは直接的な表現になる。これに対し,女性漫画家の場合,男性の筋肉のついた肉体を描くことはあまりない。しかし,チンコについては間接的に,小動物などの姿で描かれる。作家自身がそれをチンコであると意識しているかは不明であるが,無意識であればそれはそれで興味深い。描かれたキャラクターは,その作家がどのような「ちんこ観」を持っているのかを表しているのである。
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Posted by n at 2013-07-17 23:25 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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