世田谷美術館で開催されている「実験工房展」に行ってきた。
平日に休暇をとって,世田谷美術館 に行ってきた。「実験工房展 戦後芸術を切り拓く」を見るためである。2013年11月23日〜2014年1月26日の開催なので,もうぎりぎり。この展覧会は,神奈川県立近代美術館から巡回してきたもの。特設サイト 現代への扉 実験工房展 戦後芸術を切り拓く が開設されている。美術展のこういうサイトは会期が終了すると閉鎖されることが多いのだが,blogspot なので残るかな。この展覧会を知ったのはネットの記事 (北代省三、武満徹らによる前衛芸術グループ「実験工房」を約450点から紐解く展覧会 -art-designニュース:CINRA.NET)。
世田谷美術館は行きにくいところにある (交通案内 - 世田谷美術館)。近くまで行くにはバスが必要だが,用賀からなら歩ける距離ではある。東急田園都市線の (以前は新玉川線という名前だった),用賀駅から世田谷美術館のある砧公園までは,真っ直ぐな道ではないが,石畳に彫られている百人一首をたどっていけば迷わずに行けるのでナイスである。
その百人一首の文字,駅近くは活字っぽいのだが,途中から行書になっている。よく見ると中にはスッゴク下手なものもあるのはどうしてなの?
平日ということもあり,美術館は人がほとんどおらず,十分に堪能できた。
よかったのは,福島秀子の作品。「魚 (1950)」はキュビズムの影響のある油絵で,人の顔のようにも見える。隣にあった作品の「MP」という題名は「軍警察」の意味だそうだ。「無題 [ガラス絵] (1957)」という小さい作品もよかった。これらは初期の作品。中期は円形のスタンプを押した作品が多く,円や弧がテーマになってくる。このあたりはもがき苦しんでいるような感じだ。後期になるとガラリと印象が変わり,青い作品になる。明るい青で澄み切っている。「五月の振動 IX (1986)」は紫色の水平線の上下に青が広がっている。ピンと張り詰めた春の空気を感じさせる作品である。私は初期と後期が好き。とてもよかったので,会場を出た後に2階のアートライブラリーで図録を探した。1992年の佐谷画廊の図録があって,福島秀子の油彩と水彩の一連の作品を眺めることができた。
駒井哲郎のエッチングの作品「ある空虚 (1957)」もよかった。北代省三は,モビールやオブジェ,油彩などの作品を作っている。印象的だったのは,タイトルを控えてこなかったのだが,「障子のモビール」。障子を分割して部品にしてあるのだ。ぶら下がっているものが四角いというのにも驚いたが,木の枠に紙が貼ったというのは,日本人ならではの昇華のさせ方である。
映像表現では,松本俊夫の「銀輪」が上映されていた。音楽は武満徹ということだが,武満徹らしくなくて,う〜ん。映像的には,フィルムにキズをつけて作成されたという,石元泰博,大辻清司,辻彩子の「キネカリグラフ (1955)」の方が興味深かった。音はなく,ノイズとしての映像であるが,不快ではなかった。
バレエのスライドは素晴らしかった。踊るために鍛えられた体は美しい。動きを見てみたい。
胸をはだけた女性が能を踊っている写真があった。現代でも通用する前衛である。
たまには美術展に行かなくちゃ。心の栄養になる。
Posted by n at 2014-01-18 22:58 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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