日本学生支援機構の奨学金の返済が終わった。長かった。
高校時代から日本育英会の奨学金をもらっていた。当時は大学を卒業して教職に就けば,返還が免除されるという制度があったはずである。確か教員になった時点で一発免除だった。当時は教職を目指していたので,これはありがたい制度だった。大学に入学した頃にこの制度が変わって,教職に15年間就けば免除されるということになった。5年以上であればその年数に応じて免除され,15年で完全免除となった (返還特別免除のてびき(廃止)−4.全額免除の在職期間に達したら - JASSO)。さらに1998年には,免除される条件に大学院に在籍することが追加され (返還特別免除のてびき(廃止)−2.返還特別免除を受けるための条件 - JASSO),2003年にはこの制度も廃止となった (日本育英会の沿革 - JASSO)。2004年には日本育英会から独立法人日本学生支援機構に組織改編された。
私は借金が嫌いである。なぜ借金が嫌いかといえば,貧乏だったからである。貧乏だと借金が返せない可能性があるではないか。子供の頃のお小遣いの使い方と同じである。お小遣いの範囲内で買えないプラモデルは何か月分かを貯めて買うのである。「親に前借り」という概念自体を知らなかったし,思いくこともなかった。
そんな私が奨学金を受けることにしたのは,当時目指していた教員という職が免除職だったということも大きな理由のひとつだった。もし「奨学金」ではなく「学生ローン」という名称だったら,借りるのを躊躇したかも知れない。当時は「一部の職では返済無用」という側面があったので「奨学金」でもよかった。しかし,今では免除職の制度は廃止されているので,奨学金は単なる借金であるから「学生ローン」に名称変更した方がしっくりくる。制度が変わったのに名称だけが残ってしまっているので,名が体を表さなくなっているのだ。記事の最初で「奨学金をもらっていた」という表現も,私の曖昧な認識を表している。「奨学金を借りていた」が正しい認識である。
そしてこのたび,その奨学金の返還が無事終了した。もし奨学金がなければ大学に行くことを断念していたかも知れないので,ありがたかった。それにしても長かった。1年に1回の払い込みだったから日常的に思い出すことはなく,年末に「またこの時期が来たか」と思うくらいで済んだから,「借金をしている」という嫌な思いはそれほどなかったが,振り返ってみれば,携帯電話の「2年縛り」というのなんか目じゃないくらいの「何十年縛り」だったように思う。
もう一度言うが,長過ぎである。もうすぐ定年だよ。
Posted by n at 2016-12-25 17:57 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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