発掘!あるある大事典II の先週の放送は、第8回『1日10分で視力大復活』 というものだった。そこではストループ効果が「視力テスト」として使われていた。それが視力なのかどうかは別にして、ストループ効果は面白い。
最近、視力の低下が気になるので、番組タイトルにつられて見てしまった。
あるある大事典での主張は、「視力には脳内視力と眼球視力があり、脳内視力は『隠れ文字テスト』と『色文字テスト』で調べることができる」であった。
色文字テストは次のようなものであった。「文字の色を答える問題です。漢字を読むのではなく、文字の色をお答え下さい。」
紫 |
茶 |
赤 |
緑 |
青 |
白 |
黄 |
紫 |
赤 |
青 |
黒 |
黄 |
赤 |
茶 |
紫 |
白 |
全部の文字が「黒、黒、黒」と書かれているよりは時間がかかる。番組中で説明がなかったが、これは1930 年代に J. Ridley Stroop が発見した不思議な現象で、「ストループ効果 (Stroop Effect)」として知られているものである。自分ですぐに試せるので面白い。
これを「視力テスト」と位置づけるのはどうかと思う。そしてこれらを「脳内視力」と呼ぶのはどうだろう? 恐らく正確な用語ではない。テレビは影響範囲が広いので、もう少し考えて欲しいものである。
さて、次を見てみよう。
Purple |
Brown |
Red |
Green |
Blue |
White |
Yellow |
Purple |
Red |
Blue |
Black |
Yellow |
Red |
Brown |
Purple |
White |
これを見て、最初のものと同じように「色を答えるように」してみると、「赤」「黄」「青」と言えるのは当たり前。「レッド」「イエロー」という英語名でも、結構すらすら読めてしまう。どちらかというと、色の英語名が思いつかないくらいだ。表自体は、上の日本語を英語に置き換えただけである。ガーン! ショック! すらすら読めるということは、「英語に造詣が深くない」ことを示しているのである。文字を見て、その色が直ぐにイメージできるのであれば、混乱して時間がかかるはずである。すらすら読めてしまうというのは、文字と色のイメージの結びつきが弱いことを示しているのである。
Neuroscience for Kids - The Stroop Effect では、ストループ効果のような別の現象として、「位置のストループ効果」と「数のストループ効果」が紹介されていて興味深い。
音楽でもストループ効果と似た現象がある。それは大串健吾教授による「大串効果(Ogushi Effect)」と呼ばれているものである。「レ」の位置に「ミ」、「ラ」の位置に「ソ」と書いてある楽譜を見て、音符の位置の音「レ」とか「ラ」を答えるものだ。答えるのに一瞬躊躇したり、間違ったりする。これも「楽譜と関わりの深い人」ほど混乱が起こるのである。相対音階で訓練されている人でも混乱する。
番組後半では、「眼球自体の機能をアップさせる」トレーニング法が紹介されていた。見たかったのはこれである。富野中学校の目の体操がさらりと紹介され、番組独自の「紐にぶら下げた5円玉を前後に振って5分間見続ける」という方法が強調されていた。
さっそく「あるある方式」でやってみた。すると、あっという間に5円玉の揺れが小さくなってしまい、2回に1回は勢いをつけなおさなければならないのだ。これで5分間はツライ。
あるある方式に比べると、富野中学校の方式は簡単。「右手のひらを目の前 30 cm の所に出し、数秒間じっと見つめ、次にできるだけ遠方の一点を数秒間見る。この遠近交互を数回続ける。」である。
わざわざ「あるある方式」を提案する理由が分からない。そして、富野中学校のやり方として紹介されていたのも、全体のほんの一部であった。
関市立富野中学校 のホームページでは、「目の体操」のやり方が分かりやすく紹介されている。視力低下の防止と視力向上のための総合的トレーニング方法である。
これはよさそうだ。眼球の毛様体筋だけを鍛えるのではなく(あるあるでは水晶体体操だけを紹介)、体全体を視野に入れて総合的に行うべきだろう。
Posted by n at 2004-05-29 08:37 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
Master Archive Index
Total Entry Count: 1957