電車で「ピカソ展」の車内広告を見つけた。矢印の配置が上手いデザインである。この広告を分析する。
4つの矢印は、全体の流れを示している。「ピ」→「カ」→「ソ」→「展」→「情報」の順で読むように誘導しているのである。もしこの矢印がなければ、「ソピ展カ」と読んでしまい、混乱する危険性があるのだ(?)。右側に書かれている情報が、横書きになっているからである。
矢印の流れで一番のキーポイントになっているのは、右下から左上に上がる斜めの矢印である。正しく読むためにはこの矢印がなければならない。そのため、一番太く描かれているのである。
一番上手いのは、中央上の「ソ」から「展」への下向きの矢印である。「ソ→展」という言葉の流れを示すのは当然だが、もう一つの意味を持たせている。それは、展覧会の広告で2番目に重要な「開催期間」に関する情報である。開催期間は「10/31(日)」→「12/23(木)」である。この期間を矢印で示しているのである。つまり、この矢印には2つの意味を持たせているのだ。
最後には「展」から左向きに矢印がついている。これは「ピカソ展の情報はここで」という意味を示しており、同時に、展覧会で最も重要な「開催場所」に関する情報への流れを作っている。また、ピカソ展なら何でもいいかといえば、そうではない。どんな作品が展示されるのかが興味の対象となる。そこで、作品の中の1点を示し、その作品と開催場所を並べることで相乗効果を狙っているのである。
このように見ていくと、一番どうでもよい矢印は、最初の「ピ」から「カ」への下向きの矢印である。一番初めに出てくるものが、一番どうでもよい、というのは面白い。
ピカソは、見る人の目がどのような順番で目を動かしていくかを考え、その動きを誘導するような構成をとっていると言われている。有名な「ゲルニカ」がその顕著な例である。このポスターの作者は、そのような目の動きを矢印を使うことにより明示的に示しているのだ! (な→んちゃって)
「ピカソ展 -日本初公開 幻のジャクリーヌ・コレクション-」は、千葉県佐倉市の 川村記念美術館 で10月31日(日)から12月23日(木)の日程で開催されている。常設展のマーク・ロスコのコレクションも見逃せない。
2004年12月8日追記:
今度の日曜日12月12日まで 東京都現代美術館 でも別のピカソ展が開催されています。大人向けの内容です(nlog(n): 爆笑したいピカソの作品)。
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昨日観てきました。
Posted by: Tak at December 07, 2004 20:54ポスターもチラシもみなこのデザイン。
川村記念美術館だけのようですね。
行ってらしたんですね。いいなぁ。東京都現代美術館のピカソ展(大人向きの内容)もお勧めです。
Posted by: n at December 08, 2004 06:55