小学生の頃、作文が書けなかった。作文の時間は1時間何もかけなくて白紙のまま終了。いつも家に持ち帰っていた。それでも書けない。最初の1文字が書けないのである。ましてや原稿用紙5枚なんて気が遠くなった。どうやって量を増やすか、それは切実な問題だったのだ。
Yanagi's BLOG 3 さんの 気になる に、小学校の頃に作文で苦労した話が出ている。これには覚えがある。句読点の働きや段落の書式について知るのも、「いかにして原稿用紙を効率よく消費するか」を知りたいためだった。不純な動機で、正式な書式を知る。何と言うか不思議な感じである。
内容を変えずに量を増やす。最初に思いつくのが句読点(くとうてん)を好きなだけ打つことである。
先生から、思い切りお叱りを受けた。ダメらしい。多すぎるのはいけないのだ。だってこの間は少ないのはいけないと言っていたじゃん! 「『すもももももももものうち』はイケマセン。『すももも、ももも、もものうち』ですね」と説明してくれたのに。今なら漢字を知っているので「すももも桃も桃のうち」と書くかもしれない。でも「李も桃も桃の内」と書かれたら読めない(スモモって、こう書くのか…漢字変換って便利)。『うらにわにはにわにわにはにわにわとりがいる』という例もあった。『裏庭には二羽、庭には二羽、鶏がいる』の意味である。これを聞いたとき、『うらにわにはにわにわにはにわにわにがいる』ならどうかと思った覚えがある。『裏庭には二羽、庭には二羽にワニがいる?』字余り。
話がそれた。
そんなこんなで、仕方なく読点を減らすことになる。
これではつまり過ぎている気がする。「昨日」と「友達」の間に「、」を入れたいが、入れると多すぎる。「遊び友達」という友達はいるけど、「昨日友達」という友達はいない。そこで空白を入れてみることにした。
しかし、これもいけないと言われた。「無意味な空白は入れてはいけません」と。無意味じゃないのに…。気になる場合は、語順を入れ替えるのならいいらしい。幼児用のひらがなばかりの本には、空白がたくさん入っている。ひらがなが続くと切れ目が分からず読みにくいからだ。そこでは空白の挿入は許されている。しかし、漢字を習ったとたん、空白は許されなくなる。何とかしてくれと言いたい。まあ、仕方ない。
それから、無駄な改行もいけないと言われた。今なら電子メールでよく見かける書式であるが。
次にやるのが、ひらがなに直すことである。
このくらいなら許してもらえる。さらに、「だ・である調」を「です・ます調」に直すことをする。丁寧に見える上に、字数も増やせて大助かり。
さて、次に知るのは「段落」を上手く使うと、量が増やせることである。縦書きの400字詰め原稿用紙は、1行が20文字。「段落は1文字分だけ字下げして始め、次の段落に移るときは改行をしてよい」というのだ。これはラッキー。つまり、20文字の段落を作れば、倍の40文字としてカウントされるのである。40字だったら60字になる。35文字の文は、何としても40文字にしたい。そこで無理やり友達の名前を増やした。増やす名前も、1文字の「淳」よりも2文字の「智弘」を選ぶ。
これで行頭の1文字を入れれば41文字になる。
しかし、落とし穴があった。句読点の位置である。句読点は禁則文字なので行頭に置いてはいけない。行頭に来てしまう場合は、前の行の一番下のマスに含めてしまわなければならない。次のように1文字減ってしまうのである。
これはなんとしても避けなければならないことであった。そこで、却下した友達も仲間に入れることにした。
めでたく3行になり、最後の行は5文字だけになった。次の出だしで段落を変えれば15文字分を空白で稼ぐことができるのである。この後「1つの文で1段落ばかりではイケマセン」と叱られたのは言うまでもない。
会話を挿入する技も使った。会話は1行分使っていいのだ。
何にでも言えることだが、「程度問題」というのがある。どうしてもやり過ぎて、やっぱり叱られてしまうのであった。ちなみに、私は句点(くてん)と読点(とうてん)のどちらが「てん」でどちらが「まる」なのか分からなくなってしまう。句点が「。」で読点が「、」である。「読点は、読むときに途中で出てくるから『読』がつく」と覚えている。
さらに蛇足だが、みどりのおばさんの年収が800万円だという話があり驚いている(ぎょろぐ。: 緑のおばさんの年収が俺を上回る事について。 さん経由 林いわお - 多すぎる職員、甘い監視)。小学生の頃は、大人の年収なんか考えることはなくて幸せだった。社会人になってかなり経った今、複雑な心境である。
Posted by n at 2004-11-27 16:12 | Edit | Comments (4) | Trackback(0)
Master Archive Index
Total Entry Count: 1957
作文水増しなんて会話文連発しかないっすよ。
小学校のときに1つ忘れ物をするたびに
1枚反省文を書かせる壮絶な先生がいましたが、
数十枚溜まっても中盤は「あ!」「う?」で
済ませるので、忘れ物常習の私でも無問題。
まあ、最終的には会話文は2つまでに制限されたんですが。
Posted by: at April 26, 2005 09:20その時の様子を2.3行かけてじっくり説明するとか。
Posted by: マー助 at April 27, 2005 22:03読書感想文も同じように一段落事に本の中から引っ張ってきた文をいれるとかw
作文の水増しは得意な方ですよ(笑
Posted by: 紫電 at April 28, 2005 21:22「先生がかばんに躓きながら行った」って文を
六行にまでしましたからね〜(笑
ようは埋めれば良いんですよ^^;
みなさまコメントありがとうございました。
Posted by: n at May 03, 2005 15:23苦労されているのですね…。「何でもいいから原稿用紙を埋める」という,無駄な苦労をしてきたような気がします。そんな教育が今でも続いているとすれば,泣いちゃうしかありません。