今日は初競馬。実際に競馬場に行って馬券を買ってみると色々な発見があった。何も知らないで行ったので,驚くことばかりであった。
千葉県船橋市の中山競馬場に到着。夏の入道雲のような雲が出ているが,天気は晴れ。ただし,明け方まで雨が降っていたため,馬場には影響がありそうだ。
今日のメインは阪神競馬場で行われる「阪神ジュベナイルフィリーズ」というG1レースである。遠く離れた中山競馬場からでも阪神の勝馬投票券が買えるようになっている。今日は,ここ中山競馬場でもレースの開催があるため,200円の入場料が必要である。レースが開催されていなくて単なる場外馬券売り場になる場合は,入場料は無料とのことだった。
勝馬投票券(いわゆる馬券)を購入するには,マークシートを使う。マークシートにマークして,券売機に入れる。しかし,入らない。先にお金を投入しないと,マークシートが入っていかないようになっている。JR のきっぷの自動販売機は,お金を先に入れても金額ボタンを先に押してもどちらでも買えるのに,ここでは違うのである。恐らく,マークシートを先に入れられるようにするとトラブルが起こる可能性が高いからではないかと思った。つまり,前の人がマークシートだけを入れてお金を入れずにどこかに行ってしまった場合,次の人は自分の買いたくない券を買わされる可能性があるからである。なるほど。そう考えると,JR のボタンが先に押せるという方がよろしくないシステムのような気がする。
思ったより人が少ない。コースを見てみると,芝が長いのに驚いた。スポーツグラウンドのような短い芝を重い浮かべていたのだが,大違い。とても深い芝である。コース情報について によれば,6〜8cm の野芝と 10〜14cm の洋芝が混じっている状態だそうだ。今日は雨の影響で馬場が少し水分を含んでいる。この状態を「重馬場(おもばば)」という。
馬は本馬場に入るとウォーミングアップのために軽く走る。この準備運動のことを「返し馬」というそうだ。
すべての馬がゲートに入ると,直ぐにスタートとなる。ゲートの前扉が開くのが合図になるようで,人間の 100m 走のような「バーン」というような音はない。静かなスタートである。馬が出た後,ゲートをそのままにしておくとゴールした馬が激突してしまう。スタート直後,ゲートはトラックに引かれてコースから撤去されていた。
観客席と馬場の柵の間には警備員が配置されている。レース中は「物を投げないでください」というプラカードを上げている。
ゴール直前,観客席は異様な興奮状態につつまれる。口々に何かを叫んだりつぶやいたりするが,何といっているかはよく分からない。全体で「ウォーッ」というような声になるのだった。
レース中,競馬場内には現在の馬の順位が放送される。電光掲示板にも表示され,リアルタイムで更新される。他の競馬場でのレースも馬場の向こうにあるスクリーンに映し出され,同時に実況アナウンスが放送される。アナウンスは,レース中に出走した全ての馬の名前を言うという約束になっているそうだ。例えば,阪神ジュベナイルフィリーズのテレビ中継では「行った行ったテイエムチュラサンが行きました。これを追ってマイネデセールとカシマフラワー,外からはキャントンガールも一気に上がって行きました。これは先行争いが激しくなるかどうか。3番手のうちにカシマフラワー,マイネデセール,その後ろアンブロワーズも早々と5番手づけ。エリモファイナルが行きました。黒い帽子ラインクラフト,ラインクラフトは7, 8番手の位置取りだ。ベアリングハートが行っています。後ろついては7番のハギノコマチ,真ん中にジェダイトが続いている。1馬身差で赤い服色,ショウナンパントルであります。その外からはモンローブロンド。さらにはエイシンハッピー。後方グループにかけてクロユリジョウ,その外を通ってライラプスは中段より後ろからリバプール,そしてコスモマーベラス。内から11番のミラクルコンサート。こんな展開になりまして,各馬これから3コーナーのカーブに向かうところ。先頭は…」と見事に出走した18頭の馬名を短い時間内に言い終えている。さすがプロの仕事と言えるだろう。
今回応援したのは,「マイネデセール」という馬である。結果は残念ながら17着だった。父親はマイネルラヴ,母親は メインディッシュ である。netkeiba.com では,血統,馬主,生産者,馬主,戦績など情報が全てデータベース化されており,しかも関連情報は相互リンクされるようにうまく構成されている。馬主の サラブレッドクラブ・ラフィアン さんは,馬に「マイネ」または「マイネル」をつけている。「デセール」という名前はメインディッシュの後の「デザート」のフランス読みだそうだ。「馬主」は「ばぬし」と読んでもよいが,正式には「うまぬし」と読むそうだ。
阪神ジュベナイルフィリーズには,「農林水産賞典」というサブタイトルがついている。勝った馬には農林水産大臣賞が送られる。2歳の牝馬(ひんば)が出場する,いわゆる女王決定戦である。「ジュベナイル」は juvenile で「若い」の意味,「フィリーズ」は fillies で「雌の子馬」を指す filly の複数形である。「Philadelphia Phillies」のフィリーズかと思ったら違った。こちらのフィリーズはフィラデルフィアの愛称 Philly の複数形で,フィラデルフィアの人たちを表す。「Philadelphia Phillies」は「フィラデルフィアのフィラデルフィアの人たち」の意味だった。G1の「G」はグレード (grade 等級) を表しており,「G1」は等級が一番高いことを意味している。他に G2, G3 がある。
さて,出走した馬へは賞金が送られる。もちろん金額は順位によって異なる。掲示板に表示される1着から5着までは着順に応じた本賞金,6着から8着までが出走奨励金が贈られる。それ以降は賞金なしだが,出走した全ての馬に特別出走手当が贈られるそうだ(条件つき)。人気順で金額が決まるのではないようだ。
ジュベナイルフィリーズの予想が外れたので,中山競馬場の最終レース第12レースを買ってみた。「美浦特別」という名前がついている。「みうら」かと思ったら「みほ」と読むそうだ。待っていると,出走直前に「馬体検査を行います」という放送が流れた。先ほど,返し馬で目の前を元気よく走っていた馬だが,怪我でも見つかったのだろうか。調子がよくないらしい。8番だって? 買った馬ではないか。
そして,競争除外となった。取消になった馬の購入分は返金される。ただし,8番がからむ馬券がすべて返金される訳ではないのである。8番の入っている6枠には他にもう1頭入っていたので,枠で買った分は返金されないのであった。複勝で購入した分は無事返金された。
最終レースが終わると,馬場の整備が行われる。見たところ,清掃と馬場をならす作業のようである。こういう地味な作業が,華やかな競争が支えているのである。
競馬は奥が深すぎ。知れば知るほど,足を踏み入れたくないくらいの深さを感じる。儲けようとしなければ楽しめそうである。
Posted by n at 2004-12-05 18:35 | Edit | Comments (1) | Trackback(0)
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目の当たりにするものの殆どが発見であり新鮮さを感じられたとは羨ましい限りです。
自分の場合、"懐かしい"や"久しぶり"といった想いは起こっても、残念ながら"驚き"や"発見"は滅多に無くなってしまいました。
それにしても初めてで返金を経験するとは、当てるよりも凄いことかも?
Posted by: yanagi at December 12, 2004 22:05