NTT は IC カード公衆電話を来年2006年3月末で廃止する。あと1年と少しの命である。理由は「利用率が低かったから」とのこと。それならば,もっと利用率の低い FOMA の開発もやめてはどうか?
NTT は,1999年3月末に導入した IC カード公衆電話の廃止を決定し,1月20日に発表した(NTT 東日本, NTT 西日本 (同じ文面))。実際の廃止まではあと1年と少しあるが,わずか7年の命ということになる。
ITmediaニュース:ICカード公衆電話が廃止へ 利用減で磁気式に一本化
NTT東西地域会社は1月20日、ICカード式の公衆電話を廃止し、2006年3月末までに磁気カード式に一本化すると発表した。ICカード式の利用が少なく、利用の大幅減が続く公衆電話サービスの維持のためコスト削減が必要と判断。結果的に“逆行”となる磁気式への一本化を決めた。
まさに「逆行」である。磁気式は変造カードが多いから,IC カードへ。この理由は,まあ納得できる。IC カードは普及しなかったから磁気式に戻す。何だろうか? この理由は。ICカード公衆電話を廃止 NTT東西、06年3月末で - asahi.com : 経済 によれば,2004年9月時点での磁気式の台数は42万台で,IC カード式は5万1000台で1割強。売り上げは磁気式241億円,ICカード式27億円で1割強。台数と売り上げは比例しているのである。ICカード電話の設置台数が少なければ普及しないのは当然だと言える。使わせたいのなら,増やせばよかったのである。
普及しないサービスを廃止するのであれば,「Lモード」はどうなのか? 2001年の調査では,予想をはるかに下回っている(NTT東日本、Lモード利用実態調査の結果を発表――Lメールは好評、コンテンツ利用はいまひとつ)。しかもブロードバンドの普及が見えているのに,全く逆行しているサービスでもある(ITPro 記者の眼:ブロードバンド時代にLモード?)。逆に,時代を先取りしているかもしれないが,FOMA はどうなのか? 使っている人を見たことがない。その割には宣伝が大きすぎる。よいサービスならば宣伝は少なくても普及するのである。FOMA を売ることによって,どこかの外郭団体や関連会社にお金が流れる仕組みになっているのではないかと思ってしまうくらいである。
NTT は第二電電への対抗を始めたが,すべて後手後手で,しかも微妙である。基本料金の50円値下げって何だろうか?
今さら電話加入権料の値下げかよ! と言ってみる(関連: NTT東西、電話加入権を半額に値下げ - CNET Japan)。加入権は単に権利なので NTT を解約してもお金は返ってこない,というのが腹立たしい。学生時代に泣きながら払った7万2000円をどうしてくれる!? NTT がひどいのは,加入権料を取りながら,毎月の基本料金も取ることである。家を借りることに例えると,毎月の料金は家賃である。加入権料は,敷金ではなく「礼金」なのである。借家を解約した際,問題がなければ敷金は返ってくるが,礼金は返ってこない。金額の割合を考えてもかなりひどい。敷金は家賃の2か月分というところが多い。電話の基本料金は 1700 円で,加入権が半額になっても 3万7800 円だから,22 倍以上である。敷金が2年分近いアパート・マンションなんて誰も借りない。
電話加入権料の値下げは,NTT への新規加入を減らさないための策である。しかし,これは的外れである。昔は電話を持つというのが一種のステータスで,NTT しかなかった。だから NTT と(選択の余地なく)契約したのである。あくまで「固定電話」が欲しかっただけで「NTT との契約」が欲しかった訳ではない。今では固定電話である必要もなくなったし,NTT である必要もなくなっている。「半額に値下げ」したくらいでは,歯止めはかからない。
話がそれた。IC カード公衆電話は,赤外線通信が安定していることだけがとりえで,その他はもともとがダメダメなシステムである。有効期限はあるし(nlog(n): IC テレフォンカードの有効期限),作りこみも甘い(nlog(n): 使えるようで使えない期限切れの IC テレフォンカード)。これではICカード公衆電話のカラーデザインをした日比野克彦氏も浮かばれない(「浮かばれない」と言っても,氏はまだ活躍中です。失敬!)。
2005年10月1日追記:
期限切れの IC テレフォンカードの交換については,「テレフォンカード交換センター 0120-145472 (あいしーこうしゅうなーに) 土日祝日年末年始を除く9:00-17:00」へ。
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FOMAというかCDMA方式を普及させず、movaをはじめとしたTDMA方式でこの先進んでいけば、電波資源が枯渇して電話ができなくなるという現状を解ってから論じられたほうがよろしいかと思いますよ:D
現に数年前の段階で、歌舞伎町などの繁華街ではタイムスロット不足の輻輳で電話ができないという状態があったのをご存じないのかもしれませんけど。
Posted by: 粕 at February 11, 2005 16:59ここでの話は,技術的な議論とは別です。
技術的に新しい方式の開発というのは必要だと思います。「TDMA方式→CDMA方式」というのはあるべき姿でしょう。しかし,現在のFOMAの売り方というのは,TDMA方式の移行先という位置付けとは思えません。周波数帯の枯渇が見えていたアナログ方式を廃止してデジタル方式に移行した時とは,どう見ても違うと思うのです。FOMAにかける莫大な宣伝費に対して,その普及率はどうなのか?
ICカード公衆電話の廃止を,携帯電話のせいにしたり,普及率を持ち出したり,磁気式に一本化とか言っていることに,私は腹を立てているだけです。「失敗しましたゴメンナサイ」とか言いなさいよ! って思っている訳です。金返せ! とかね(期限切れでなければ返ってきますけど)。
Posted by: n at February 15, 2005 23:48未使用のICテレフォンを持っています。
有効期限は2011年9月30日とあります。
此れの払い戻しもしくは交換できる場所(大阪若しくは
Posted by: 真下 益 at February 10, 2006 15:49兵庫県西宮市)を教えてください
未使用のICテレフォンを持っています。
有効期限は2011年9月30日とあります。
此れの払い戻しもしくは交換できる場所(大阪若しくは
Posted by: 真下 益 at January 04, 2007 22:09兵庫県西宮市)を教えてください
未使用のICテレフォンを持っています。
有効期限は2011年9月30日とあります。
此れの払い戻しもしくは交換できる場所(大阪若しくは
Posted by: 真下 益 at January 04, 2007 22:11兵庫県西宮市)を教えてください
真下 益 さま
お問合せ先をお間違えです。このブログは個人が運営しているものでNTTとは関係がありません。詳しくは以下のサイトでどうぞ。
磁気テレホンカードへの交換について | NTT西日本
http://www.ntt-west.co.jp/ptd/ic_card/mag_exchange.html
磁気テレホンカードへの交換について | NTT東日本
Posted by: n at January 05, 2007 00:00http://www.ntt-east.co.jp/ptd/ic_card/mag_exchange.html