とても派手で人目を引く格好をしていながら,「みんなジロジロ見るからイヤ」などと言う女の子を見かける。恋する乙女によく見られるそのような行動と誤解について,ユニキャストとブロードキャストを使って説明してみたい。
コンピュータ通信には,ブロードキャスト,ユニキャスト,それにマルチキャストという方式がある(@IT:Insider's Computer Dictionary [ブロードキャスト/ユニキャスト/マルチキャスト])。ここで例に挙げるのはブロードキャストとユニキャストである。ブロードキャストとは,同じネットワークにある全てのノードに向けた通信を意味する。コンピュータネットワーク以外であれば,テレビやラジオもブロードキャスト配信である。送り手からみれば受信する相手を特定しない通信で,受け手からみれば誰もが受信できるという通信である。これに対し,ユニキャストは,特定のノードに向けた通信で,1対1通信になる。電話などがその例にあたる。より正確には,ユニキャストは双方向であることを必要としてはいないので,一方通行の電話のようなものになる。
さて,ここに一人の恋する女性がいたとする。その女性には好きな男性がいて,何とかして振り向かせたいと思っているとしよう。
女性は,その男性のことを意識してその日の服装を決める。ここで重要なのは,「その男性」というように「特定されている」ということである。ターゲットは1つに絞られているのである。
その女性が街に出かけるとする。女性はターゲットの男性の注意を引こうとして振舞う。つまり,女性にしてみれば,「ユニキャスト」していることになる。しかし,ここで気をつけておかなければならないのは,狙っている男性以外にも,人が周りに存在していることである。
女性の視点ではなく,第三者的な視点でこの状況を見ると,女性の振舞いは「ブロードキャスト」になっていることが分かる。女性の格好や振舞いは,特定の男性だけでなく,周りの人全員が目撃することになる。全員の人目を引いてしまうのだ。多くの場合,ここで誤解が生じる。他の男性も,「自分の気を引こうとしているのではないか?」と思ってしまうのである。彼女にしてみれば,予想外であり不本意でもあるが,仕方ない。冷静に見てみれば明らかだろう。
そういった彼女のブロードキャストな行動も,場合によってはユニキャストになり得る。キャストする場所を限定してしまえばいい。実はそれこそが最初に彼女が望んだ状況なのである。好きなだけユニキャストすればよいのだ。
このように,女性が知らず知らずのうちにブロードキャストしているというのは,街でよく見かける光景である。その行動はハプニングが起こる要素を多く含んでいるように思える。「知らず知らずのうち」すなわち本能的に,ハプニングが起こりやすいような行動をとる,というのが非常に興味深い。生物学的にも何か理由があるのだろうか。
Posted by n at 2005-03-29 23:53 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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