今日が談話室滝沢で本当の閉店である。閉店までの時間をそこで過ごしたいと思ったのは私だけではないようで,店内は満席。最後の2日分の売り上げはすべて寄付されるという。最後は拍手に包まれながら,その40年の歴史に幕を下ろした。
談話室「滝沢」が閉店すると知ったのはつい最近のこと。名残惜しいので,先日お別れに行って来た(nlog(n): さようなら談話室滝沢)。しかし,それでもまだ足りなくて「最後の時をそこで過ごしたい」と思ったのである。
今回訪れたのは御茶ノ水店。御茶ノ水の駅から徒歩1分程度で,丸善の裏あたりにある。
階段を下りていく。基本的に滝沢は地下にあるのだ。時刻は 20:15。御茶ノ水店は「滝沢」の4店舗の中では一番小さい。
180席ある店内はほぼ満席。たまたま空いた席に案内された。考えることは誰でも同じ。今日は滝沢を愛する人たちが最後の時をともにするために集まったのである。談話と談笑で時を過ごすために。
昆布茶とお菓子のセット1000円を注文。お菓子は,大納言抹茶ケーキ,月餅,あられ,桃山,甘納豆,羊羹の中から一品を選ぶことができる。私は甘納豆が好き。そういえば,子どもの頃は甘納豆が好きではなかったことを思い出した。甘納豆は,大人になって味覚が変わることで美味しく食べられるようになるという,大人の甘味なのだ。
この椅子の柄とも今日でお別れである。店内では,デジカメやカメラつき携帯電話で写真を撮る姿が多く見かけられた。中には取材だろうか,大きなカメラを持ち込んでいる人もいた。
閉店5分前,21:45 に「螢の光」が流れ,今日で閉店になるとアナウンスが放送されると,どこからともなく拍手が湧き起こり,店内は拍手でいっぱいになった。その拍手は静かに長く続き,皆のそれぞれの思いを表わしているようだった。アナウンスをした女性は,拍手が起こったことに驚き,どこか恥ずかしそうな表情をしていたのが印象的だった。
会計には「三十日・三十一日の両日全店の売上金全てを災害復興のため日本赤十字社を通して寄付させて頂きます。」というお知らせがあった。
会計を済ませ,ゆっくりと階段を上った。店を出ると,看板の電気が消えていた。店の前で記念写真を撮り,振り返りながら店を後にしたのだった。
私はこの日を忘れないだろう。記憶から消えないでいて欲しい。談話室滝沢よ永遠に。
2005年4月24日追記:
4月22日深夜放送のタモリ倶楽部で,タモリさんが談話室滝沢閉店を一言コメントしていました。
2006年5月15日追記:
QuickTimeVR -Tokyo VR Project- に談話室滝沢「新宿本館」「新宿別館」を撮影した360度画像があります(要QuickTime)。右下の VR List → 街角VR → 談話室・滝沢とたどれます。
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とうとう閉店してしまったのですね。
Posted by: KM at April 02, 2005 11:02なんだか、このエントリを見ていたら泣けてきてしまいました。
こうやって、大事なものがなくなっていくのですかね。。。
なくなってしまったことはとても残念に思います。しかし,大切だと思っている人がこんなにも沢山いたということが分かり,救われたような気がしました。
Posted by: n at April 02, 2005 18:30初めまして、ちびまると申します。
Posted by: ちびまる at April 16, 2005 08:11私もあの日御茶ノ水店にいました、
そして、頼んだのは昆布茶!
同じなので、ビックリしてコメントさせて頂きました。
9時過ぎに入店して、閉店時間まで小豆を1つ1つ楊枝で食べました。
談話室滝沢よ永遠に。
ちびまるさんこんにちは。
Posted by: n at April 19, 2005 01:32御茶ノ水店にいて,昆布茶を頼んで,しかもお菓子の選択まで同じとは,何と言う偶然でしょうか。
私も小豆を楊枝で食べました。楊枝を使うと長持ちします。そういえば,添えられていたスプーンは,急いで食べるときのための心遣いだったのかも知れないなぁ,と今気がつきました。
私も前によく滝沢に行ってました、閉店の報を今更ながらに聞いて驚いてます
Posted by: あすか at May 09, 2005 15:20滝沢の跡地に出店が予定されている珈琲店も居心地がいい店であることを願うばかりです。
Posted by: n at May 10, 2005 22:34