富津海岸で簀立て遊びをしてきた。簀立ては魚の性質をうまく利用した漁法である。
簀立て{すだて}について少し解説する。簀立(すだて)には次のようにある。
「簀立」は、遠浅の海岸の沖に網を張り、夜間網に入った魚を捕まえる定置網漁の一つです。 魚の通り道に左図のような定置網を設置してき、魚を網に沿って「みと」と呼ばれる網の終端に迷い込ませる仕掛けとなっている。大正2年に旅館業を営んでいた稲毛氏が、印旛沼で行われていた『グレ漁』を姉崎の海に移したものが最初とされている。 印旛沼では孟宗竹を割ったものを縄であんだものを海底から建てる手法がとられていたが、これを丸い女竹に替えるなどの改良を加えた。
姉崎というのは富津より少し北にある地域である。つまり,この辺りで生まれた漁法ということになる。
簀立ての網は,基本的には上の図のように「の」の字に配置する。回遊する魚は海岸線と平行に移動する。魚は,海岸から海に真っ直ぐにのびた網に当たると,網に沿って沖の方に向かう性質がある。魚にとっては,突き出した岬と同じだからだ。魚はその岬を迂回しようとするわけである。網に沿って深い方向に泳いでいくと,また網に突き当たってしまう。仕方ないので海岸線と平行に進む(戻ることになる)が,また網がある。ということで出られなくなってしまうのである。網から出るには,浅い方に泳いで行かなければならない。魚にとっては,
という2つの不自然さをクリアしなければ逃げることができないのである。簀立ては魚の性質を上手く利用した漁法なのだ。
千葉県の内房にある富津で簀立て遊びに行く。今回お世話になったのは ホテル喜楽館。簀立ての網があるのは,富津公園の北側。富津 - Google マップ で見ると,三角に突き出た岬の北側が遠浅になっているのが分かる。
一旦ホテルに集合し,10:00出発。10分ほどで現場に到着する。あいにくの天気で小雨がぱらついている。
第1海堡 − 潮汐表/海釣り総合サイト釣りの窓口 によれば,本日は大潮で10:33が最大干潮時刻になっている。雨が降っていなければ最高の条件だ。
本日の収穫は大量。この大きい籠に2杯になった。フッコ(50cm以下のスズキ),シマイサキ,カレイ,ヒラメ,ボラ,クサフグ,ゴンズイ,アカエイ,サメ,マルタ。タイは残念ながら入っていなかった。マルタは降海型のウグイ(マルタ(マルタウグイ))。婚姻色の赤色は出ていなかった。骨ばかりで美味しくないとのことでリリース。
潮の引いた浜には,ゴカイの糞が点在していた。ゴカイは海にいるミミズのようなもの。フンは巻きウンチのような形で,ほとんどが砂でできている。つまり,砂を丸ごと飲み込んで,肛門から出すまでの間に栄養分を吸収する仕組みのようだ。食べるときにより分けるのではないらしい。
ホテルに帰って温泉に入る。この辺りの温泉はヨウ素を多く含んでいるため,茶色いのが特徴。出てくると食事の準備ができている。スズキは刺身で,シマイサキは焼きで出てきた。
煮魚になっているのは,エイ,ボラ,ゴンズイである。少しクセのある魚が煮魚になる。嫌われ者のエイも味はよい。櫛状になっているのがエイである。酒のつまみに出てくるエイヒレと同様,食べるのはヒレの部分である。ゴンズイもアカエイと並んで毒のトゲを持っているために嫌われるが,似てしまえば美味しく食べられる。
鋭い嘴{くちばし}で船に穴を開けたりするダツは焼き魚で出てきた。骨が緑色というのが驚き。
たらふく食べたところでお開きとなった。
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