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HardwareLinuxPhoto ストリーマのデータをバックアップ

知り合いから QIC のテープドライブを借りた。ストリーマからデータを取り出して,そのテープは捨ててしまいたい。

■ ■ ■

今となっては懐かしい QIC (Quarter Inch Cartridge, 1/4インチカートリッジ) のストリーマ(Quarter Inch Cartridge - Wikipedia)。使っていた当時は単に「ストリーマ」と呼んでいて,それが規格の名称だと思っていたが,調べてみると違っていた。ストリーミング方式のテープ型記憶装置は,全てストリーマと呼ばれるそうだ。DAT や DDS は現在も広く使われているストリーマである。

さて,その昔 Sun 3 や Sun 4, SPARC などのワークステーションを使っていたときに,QIC ストリーマにデータをバックアップしていた。しかし,最近は QIC ドライブを装備しているマシンがなくなってしまい,困っていた。バックアップしてあっても,データを復元できなければ意味がない。知り合いがこのドライブを持っているというので借りてきた。「動作保証はなし」とのこと。東芝のドライブで,SCSI 接続である。

やりたいことは,メディアの変換である。ストリーマのデータを取り出し,別のメディアに保存する。とりあえずはハードディスクに保存できればよい。

テープを挿入する
テープを挿入する


テープを挿入する。

テープセット完了
テープセット完了


レバーを右にずらせば,テープのセットは完了である。

普通は,tar でテープにバックアップしたデータをハードディスクに復元する。しかし,ここでやりたいのは,テープ上のバックアップデータを,展開せずにそのままの形でハードディスクに保存することである。tar コマンドでテープにデータを書き込むと,テープのスペシャルファイル /dev/st0 が tar 形式のファイルとして扱われる。したがって,展開せずにハードディスクにコピーするには,tar コマンドではなく dd コマンドを使う。

$ dd if=/dev/st0 of=tmp.tar
読み込んだブロック数は 316126+0
書き込んだブロック数は 316126+0

「st」は streamer,「0」は1台目ということを示している。デバイスに st0 を指定すると,処理後に自動的に巻き戻される。巻き戻しをしたくない場合は nst0 を使う(no-rewind streamer #0)。Sun OS では,巻き戻す場合 /dev/rst0,巻き戻さない場合 /dev/nrst0 を使っていた。デバイス名は OS によって異なっている。

テープ上の tar ファイルは,一旦適当な名前 tmp.tar などでハードディスク上に保存し,その中身を見てから名前を変更するのが効率的である。テープを「tar tvf」などで読むのは時間がかかるからである。

読み取ったあとは,テープを消去する。消去にも dd コマンドが使える(Linux(UNIX)標準コマンドによるデータ抹消)。

$ dd if=/dev/urandom of=/dev/st0

しばらくしてテープが巻戻れば終了である。

どんどん処理をしていく。予想以上に順調。何本か処理すると,データを読み込んだあとで巻き戻すのに異様な時間がかかるテープがあった。

$ dd if=/dev/st0 of=tmp.tar
dd: `/dev/st0' を読み込み中です: 入力/出力エラーです
読み込んだブロック数は 3456+0
書き込んだブロック数は 3456+0
dd: closing input file `/dev/st0': 入力/出力エラーです

データ量は少ない。取り出してみることにする。ここからはカートリッジの分解の話。マニアック情報である。

テープがカートリッジ内部で外れている
テープがカートリッジ内部で外れている


あーっ! テープがカートリッジ内部で外れてしまっている。これなら入出力エラーになるはずである。分解修理することにした。ネジを外して開けてみると…。

反対側を外してしまった
反対側を外してしまった


あーっ! しまった。逆だった。テープが軸から外れてしまった。もうボロボロ。

カートリッジの金属板
カートリッジの金属板


反対側の金属の板の方を下にして明けなければならなかった。こちらにピンがついているからだ。

テープが分離?
テープが分離?


ボビンを手で回しながらテープを巻き取っていると,何とテープが分離した。1つはループになっている。

テープの端は固定されていない
テープの端は固定されていない


どんどん巻き取っていくと,テープが「つるっ」と取れてしまった。テープの端は,カセットテープのようにボビンに固定されているわけではなかった。テープの最初に目印になるデータが書き込まれているようだ。

テープに空けられた穴
テープに空けられた穴


テープには物理的に穴があけられている部分もある。

ループバンドの取り付け方
ループバンドの取り付け方


ループになったバンドを,その形通りに置いてみると,カートリッジにどのように取り付ければよいかが分かった。ループバンドは,テープのボビンが慣性で回り過ぎないようにテンションをかけているのだった。

テープのかけ方
テープのかけ方


テープのかけ方は複雑ではない。ループバンドは「Tの字」にかける。このループバンドがあるせいで複雑なように見えているだけだ。

バネの取り付け
バネの取り付け


バネを取り付けて出来上がり。

窓を開くとテープがのぞく
窓を開くとテープがのぞく


バネによって,窓部分は自動的に閉じるようになっている。

書き込み許可状態
書き込み許可状態


ちなみに,ストリーマへの書き込み許可と不許可のために,フロッピーや MO などの他のメディアと同様に,物理的なスイッチが用意されている。穴が閉じているのが「書き込み許可」状態。

書き込み不許可状態
書き込み不許可状態


スイッチを回転させて,矢印を「SAFE」の方向に向けると「書き込み不許可」状態になる。

Posted by n at 2006-05-21 23:01 | Edit | Comments (2) | Trackback(0)
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Comments

テープがボビンに固定されてないなんて!
驚きです。

というか、ストリーマ自体触ったこと無いですが^^;

その後データは読み取れましたか?
特に触れられて無いってことは、無事取り出せたのでしょうけど。

参考になりました。^^)

Posted by: hoge at May 23, 2006 12:04

実は,無事取り出せたものと,取り出せなかったものがありました。とことんやって,それでもダメだと分かれば諦めがつくものです。
ご心配おかけしました。

Posted by: n at May 23, 2006 22:37
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