美術館に行くと気になることがある。多くの人が正面にある絵を見ていないことだ。
美術館では上のような風景をよく見かける。人の向こう側にあるのは,展示されている絵である。手前の人は,絵の正面にいるにも関わらず別の方向を見ている。彼らの視線の先には次の絵がある。このような人たちが非常に多いのは驚きである。
なぜ彼ら(彼女ら)は先を争って先にある絵を見たがるのだろうか? 絵を鑑賞しに来ているとは思えない。きっと,絵を見るのではなく,先に進むために来ているのだろう。
そんな人たちは放っておけばいいではないか,という意見もあるかもしれない。が,そう言ってもいられない。その人たちは邪魔なのだ。見たい絵の前を占有しているからである。その絵に人気があって,沢山の人が見たいというのであれば,それは仕方がない。譲り合って見るべきだ。しかし,次の絵を見るために占有するのは,なしだろう。
上の図は,会場を上から見たところである。絵がよく見える範囲は,絵の正面を中心に左右対称に広がっている。こんなことは誰でも知っている。
ところが,知っていても実際にやっていることは違うのだ。多くの人は絵がよく見える範囲で絵を見ていない。順路は左から右だとすると,次の絵を見たいと先を争うために,非常に見づらい位置で絵を見てしまっているのだ。絵の正面に来たときには,もうその絵には興味がなくなっている。さんざん斜めから見てきたからである。1つ前の図と同じ位置に人がいるにも関わらず,見ている絵が違っていることに注意して欲しい。
「先へ先へ」という行動は,まるで自分たちの日常のようである。先ばかり見るのではなく,しっかりと現実を直視していきたいものだ。
Posted by n at 2006-06-13 23:45 | Edit | Comments (2) | Trackback(0)
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入口のごあいさつや、作品の横に付いてる解説ばかり丹念に見ている人もいますね。
Posted by: McCOCK at June 15, 2006 12:20ああいうのは邪魔でないから無視できます :-P
ですね。読むと理解が深まることもあるのですが,読むことで目が曇ることもあるので注意が必要です。
Posted by: n at June 16, 2006 01:03