池袋駅の「いけふくろう」の石像の横に3羽のふくろうの石像が追加された。しかし意味がよく分からない。
2006年11月,池袋駅東口にあるふくろうの石像「いけふくろう」の横に,新たに3羽のふくろうの石像が設置された。
3羽のふくろうができたことで,元からあった「いけふくろう」の像の印象が霞んでしまっている。どちらがメインなのか分からなくなった。景観を害している。よく見れば,3羽のふくろうは,元祖いけふくろうの台座を削って設置されている。ここまでする必要がどこにあるのだろうか。
この像については,livedoor ニュース - 池袋駅東口「いけふくろう」が3羽も増えていた?! で紹介されている。
この小さないけふくろうの像を作った「梟の樹を創る会」の方にお話をお伺いした。「この小さなふくろうたちは、実は子供ではないんですよ」とのことである。では、何のために設置したのだろうか。「池袋には多数のふくろうの像があるのですが、これらふくろうに、街をより良くし観光スポットとして盛り上げるために、統一して番号をつけたんです。その認定のための像なんですよ」とのことである。(中略) 梟の樹を創る会は、先日、第19号のふくろうを認定したが、ゆくゆくは48箇所くらいまで増やしたいとのことである。
「お話をお伺いした」とあるから,直接の取材が行われたということである。しかし,これが本当だとすると,疑問が出てくる。
「認定」とは,何だか上から目線ではないか。「梟の樹を創る会」は権力を持っているということになり,お役所関連ということが推測される。「認定する」のがあるのであれば,認定されないふくろうの像もありそうだ。認定するかしないかの基準は何だろうか。
3羽のふくろうの像の台座には「其の壱十壱号」とある。「1-11」の意味だろう。ということは,「2-1」などもあることが予想される。番号をつけたいふくろうは全部で48個しかないのであるから,単純な通し番号「1, 2, 3,...」でも十分なように思える。しかし,「1-11」のように階層が作られている。このことは,まず「2-1」のような番号があることを意味している。もう1つは,ふくろうに何らかの区分があることを意味している。「1-」と「2-」の区分はどういう基準でするのだろうか。不明である。計画が見えてこない。
さらに,もう少し調べてみると,古書 往来座 ちょっとご報告 : 飛来 によれば,古書店の横の石像の番号は「其の壱拾九号ノ弐」だそうで,つまりは「1-19-2」というさらに深い階層が作られている。番号付けの統一性がますます見えなくなっており,訳が分からない。
1番のふくろうは,豊島区役所の区長室前に設置されている(ふくろう・みみずく - 豊島区)。池袋東口と同じ「3羽のふくろう」である。ここで新たな疑問がわいてきた。区長室の前には,3羽のふくろうの像しかないようなのだ。したがって,認定する対象が存在しないことになる。つまり,そこにある石像は,自分自身を認定番号1として認定していることになる。
自分自身への認定という考え方を許すと,矛盾が出てくる。東口の3羽の認定像も自分自身への認定ということになり,元の「いけふくろう」への認定がなくなってしまうのだ。逆に,自分自身を認定していないとすれば,区長室の前にある像が何を認定しているのかが分らなくなる。まさか区長がふくろうおじさんということではなかろう。
豊島区のサイトにある説明では(ふくろう・みみずく - 豊島区),
豊島区制施行70周年を記念して、世界中の若い美術家のデザインした梟(ふくろう)像を48体作ることを目標としているのが「梟の樹を創る会」。
となっている。「作る」ということは,先の「認定」とは大きな違いである。「認定」というのは,既に存在する像に対して行うものである。「作る」というのは,まだ存在していないことを意味する。ここで「作る」のが正しいとすると,別の疑問が生じる。「新しく作る48体の像」の数え方である。「48体」が「48種類」の意味であれば,3羽のふくろうは「1種類」とカウントされる。しかし,普通「体」というのは像の個体数をカウントするものなので不自然である。
逆に「48体」が像の個体数だとしても,かなり不自然なことになる。というのも,3羽のふくろうの像は,上記の2体に加えてグリーン大通りにもあるというのだ(ルノーな生活 元祖「いけふくろう」に新顔登場)。3羽のふくろう像は,少なくとも3体あるということになる。ということは,極端な場合「48体の大多数がコピー」でもいいことになる。しかし,「世界中の若い美術家のデザインした梟像を作る」という目標を考えれば,それは余りにも不自然だろう。
(台座右面)
(台座裏面)
3羽のふくろうの台座に彫ってある碑文を見てみよう。
正面 | いけふくろう 人がまた幸せを待ち合わせるいけふくろう |
右面 | ふくろうの路の梟像 其の壱十壱号 認定日平成十八年十一月二十三日 詩 池袋第三小学校五年一組合作 書 三富綾翁 豊島区書道会 |
左面 | 此処は豊島区南池袋一丁目二十八番地二号 |
裏面 | 企画 NPO法人芸術教育 製作 梟の樹を創る会 |
詩の作者は書いてあるが,碑の作者は書いてない。この碑をデザインした「若い芸術家」は誰なのだろうか?
3羽のふくろうに関する疑問をあげてきたが,疑問の根本はその「位置づけ」にある。位置づけが分れば,全ての疑問の解決が期待できる。しかし,かつて「梟の樹を創る会」のホームページだった fukurounoki.org は,閉鎖されており,ドメイン登録会社の管理下に置かれている。現在のところ,インターネット上では「梟の樹を創る会」の計画を知ることはできない。
池袋のふくろうには色々なバリエーションがあり,結構面白そうだと思ったのだが(nlog(n): もうひとつの「いけふくろう」),3羽のふくろうのせいで一気に興味が失せてしまった。
Posted by n at 2007-04-23 23:21 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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