「あんたがたどこさ」の最後に出てくる「それ」とは何か。
手まり唄「あんたがたどこさ」は次のような歌詞である(あんたがたどこさ - Wikipedia)。
あんたがたどこさ 肥後さ
肥後どこさ 熊本さ
熊本どこさ 船場さ船場山{せんばやま}には狸がおってさ
それを猟師が鉄砲で撃ってさ
煮てさ 焼いてさ 食ってさ
それを木の葉{このは}でちょいと隠{かぶ}せ
これを鞠{まり}をつきながら歌う。すべての「さ」の位置で,片足を上げ,その下に鞠を弾ませて通す。最後は,弾んできた鞠を手を使わずに股の間で受け止めて終了する。終わらせ方については地方によりバリエーションがあるだろうさ。
で,最後に出てくる「それ」って何だろうかと,ふと思ったさ。
前半は,対話形式になっている。問があって答がくる。歌い出しの「あんたがた」から,問いかけている相手が複数人だということが分かる。後半は,前半で答えていたうちの1人が勝手に話を続ける形になっている。
で,最後の「それ」って何だろうかさ。
途中の「それを猟師が」の「それ」は船場山の狸である。そして最後の「それ」は,狸ではあるんだけれども,「かつて狸だったもの」というか,「狸のなれの果て」というものになる。そうに違いない。間違いない。
「木の葉でちょいと隠せ」ていることから,山の中でやっていることが分かる。藤村Dの言葉を借りるなら,「雄大な大地がトイレ」なのである(水曜どうでしょう - ユーコン川160キロ 第1夜より)。
みんなが知っているこの歌詞は,2番だという話もある(関連情報サイト「くまもと発見!」第10号)。地方によっては,最後に「それ」が出てこない歌詞もあるようだ(『あんたがったどこさ!』)。
Posted by n at 2007-04-19 01:21 | Edit | Comments (2) | Trackback(0)
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初めまして。
Posted by: E姫 at June 22, 2007 11:30最近読者になり、過去ログを徐々に読んでいる日々です。
面白いテーマで気になったのですが、「それ」よりも「あんたがた」にちょっと疑問が。
私は九州出身なのですが、全域がそのような表現方法か確認はしておりませんので憶測です。
相手は複数人ではないのでは。私の出身地、大分では相手が独りでも土地や家を指す場合「あんたがた」といいます(「あんたがた、どげええ」というとあなたのところはいかがですか?というような意味になります)。
なので、これは二人での対話かな、と思った次第です。
古い唄や物語って改めて文字で読み直してみると不思議ですね。新たな発見があります。
E姫 さん
Posted by: n at June 22, 2007 23:24情報ありがとうございました。まさか「あんたがた」が単数あつかいだとは思いませんでした。大分でそのように使われているのなら,間違いないでしょう。
考えてみれば,歌の中で答えている内容は熊本ですが,それを熊本で質問しているかどうかについては歌詞になっていません。もしかすると大分や他の県かも知れません。
今後ともごひいきに。