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misc ギックリ首

頚椎ヘルニアというのは,言ってみれば「首のギックリ腰」である。つまり,ギックリ首。ヘルニアというのは,あるべき状態から「はみ出た」様子を言う (ヘルニア - Wikipedia)。ということは,「はみ乳」も一種のヘルニアということである,わーい。しかし,それどころではないのだった。

■ ■ ■

先日から,動けない状態が続いている。日ごとの経過はこの間書いたので (nlog(n): 首が回らなくなった),今日は医師らの診断と所見についてまとめてみることにする。医師,鍼灸師,知人などの意見により,あちらへ行ったりこちらへ行ったりと,翻弄される姿がよく分かるようになっている。

よくコメントをくれる maro助 さんも腰痛でマッサージを受けたとのこと (腰痛を自覚する時 - Let’s enjoy)。私も「回春マッサージ」には魅力を感じるのだが,行ったところは男性の鍼灸師だったし,その鍼灸師に「回春」されても倒錯だしという妄想はそのくらいにして,本題に入ることにする。

医師などの診断

町の整形外科診療所 (2007-10-03 発症より3日)

症状は,首が自由に回らないことと,左肩が痛むということである。首は左側には10°くらい,右側には45°くらいまでしか回らない。肩の痛みは,筋肉痛や肩こりとは違うものである。朝起きたときからなので,寝違えたのではないかと問診票に記入する。

医師の診察がある。首を左右にゆっくりと回していき,どこで痛みが出るかを確認する。その後,レントゲン写真を撮影。レントゲン写真の現像の待ち時間に,理学療法室に案内される。理学療法室では,温熱治療と超音波治療が行われた。同室には,電気を流されてシビレている老人を多数確認。年寄りの宝庫である。さて,温熱治療は,電熱器のような熱を発する器具を背中側に置いて行われた。器具と肩との距離は 20 cm 程度だと思われる。ワイシャツは着たままだった。少し温かさを感じる程度で,熱くはない。1分程度で終了。次は超音波治療である。ワイシャツを左肩だけ脱ぐように指示がある。ゼリーを塗った後,ハンディタイプの器具を肩に当ててヌリヌリされる。たまにチクリとする痛みがある。この痛みは,低周波で行う筋肉プルプルマッサージ器の「チクリ」と似ていた。超音波の強度を変えることで,痛くないが効果的な設定ができるらしい。2分程度で終了。理学療法というのは,何となく怪しい感じである。その後,再び医師と面接する。

レントゲン写真を見た医師の所見は次の通り。

  • 寝違いだろう
  • 痛みのせいか,首が若干曲がっている
  • 首の5番目と6番目の間が少し狭くなっているのが原因ではないか

処方とアドバイスは次の通り。

  • 飲み薬を8日分: ロキソニン(消炎剤),ケルナック(胃薬),ノイロトロピン(鎮痛剤),貼り薬として冷湿布を処方
  • 次回の来院は都合のいいときでよい

診察後,職場に出かけて仕事をするが,肩の痛みが気になって身が入らない。全く集中できない。痛み止めのロキソニンを飲んで1時間しても痛みに変化なし。職場の同僚は,ロキソニンは結構強いので効くはずだと言うが,全く効かない。確かに,胃薬が処方されているところから考えて,強い薬であるようだ。しかし,効いてくる気配すらない。別の同僚は,鍼{はり}が効くのではないかという。

鍼灸院 (2007-10-03 発症より3日)

帰宅後,あまりにつらいので鍼灸院を探す。近所で見つけた鍼灸院は,古い建物の2階にあって,ひっそりとしていた。鍼灸師は1人で,ベッドが2つ。他の患者はいなかった。症状を言って,診てもらうことになった。鍼灸師は盲目か,あるいはとても目が悪いようであった。料金を聞くと,初めての場合は1時間で3500円とのこと。保険はきかない。2回目以降は,1時間半で4000円となる。鍼にするかマッサージにするかは鍼灸師の判断に任せることとし,マッサージとなった。鍼灸師の所見は次の通り。

  • 加齢と疲労の蓄積によるものだろう
  • 絞扼性疼痛症{こうやくせいとうつうしょう}である

「絞扼」とは,しめつけられることを言う (こうやく - goo 辞書)。

マッサージを受けながら会話する。薬が効かない理由として考えられるのは,次の2つである: 1) 薬が弱い,2) 薬が合わない。いずれの場合であっても,薬の量を増やすのはお勧めできないとのこと。理由としては,もしそれで効いたとしても,副作用の方が大きくなるからとのこと。なるほど,その通りであろう。鍼にするかマッサージにするかをどこで判断するかについても聞いてみる。鍼灸師によれば,それもケースバイケースだという。時間的には,症状が現れて1日以内,長くても2日以内であれば鍼を勧める。それより時間が経っている場合はマッサージにする。また,鍼治療を受けたことがない人の場合は,恐怖心のことを考えてマッサージを勧めるとのこと。鍼は人によって効き目が違うということもある。非常に効果的なこともあるが,効果が分からないこともある。その点,マッサージは効き目が分かりやすいという利点がある。鍼が効いた場合のような大幅な改善はないが,少しであっても必ず改善があるのが特徴であるとのことだった。患部については,症状が出た直後は冷やした方がいいが,安定したら逆に温めるのがよい。

マッサージが終わり,3500円を支払い,名刺をもらって退室する。領収書を貰うのを忘れていた。そういえば,名前を聞かれただけで,その他の情報は聞かれなかった。最近は,薬を処方してもらうだけでも,薬屋に名前と住所と電話番号を教えなければならないという個人情報大放出時代である。この鍼灸院は,そんな時代とは完全に反対の方向を行っている。目が悪いというのもあるだろうが,そこまで何も必要としないというのも珍しいことだった。

マッサージを受けて,少しは楽になったような気もするが,大幅には改善されなかった。帰宅し,なんとか眠ることはできた。

町の整形外科診療所 (2007-10-06 発症より6日)

医師は「昨日や一昨日になぜ来なかったのか」と言うが,前回来たときには「次回は都合のいいときに」と言われたのを守っただけである。その後は,次のようなやりとりがあった (口調は変えてある)。

私: 「先日診ていただいたが,症状は改善するどころか逆に悪化している。」
医: 「では,超音波を。」
私: 「ちょっと待ってくれ。先日も超音波を受けたが,症状は改善されていないではないか。」
医: 「すぐには効果は出ない。風邪だって,最初に医者にかかってから悪くなることはある。」
私: 「これは風邪ではない。少しでも改善しているのであれば指示に従うが,むしろ悪化しているので継続されては困る。」
医: 「ではどうして欲しいのだ。」
私: 「もっと細かく調べて欲しい。」

このやりとりの後,医師は総合病院への紹介状を書いてくれた。レントゲン写真も持たせてくれた。これはありがたかった。病院を変えるたびにレントゲンを撮られていては,経費も放射線の量も増えるからである。腕を持ち上げる姿勢でないと肩が痛むというと,三角巾が処方された。しかし,三角巾で腕を吊っても痛みは治まらないのだった。タクシーで総合病院へ向かう。タクシーは病院で呼んでくれたが,料金を持ってくれるわけではなかった。

総合病院 (2007-10-06 発症より6日)

総合病院では,すでにレントゲン写真という材料が揃っていたため,特に追加の検査はなかった。問診と首の向きを調べただけである。町の診療所では左右に首を回転させたが,こちらの総合病院では首を前後に動かしてどこから痛みが出るかを調べた。医師の所見は次の通り。

  • もともと首に少し変形があるようである
  • 頚椎神経根症{けいついしんけいこんしょう}である
  • 痛みは肩に感じるかも知れないが,原因は首にある

正確には,頚椎神経根症であるが,一般には「頚椎ヘルニア」とか「頚椎椎間板ヘルニア」の方が通りがよいのでそれでもよいとのこと。もともと首に変形があるというのは,町の診療所と同じ所見である。処方およびアドバイスは次の通り。

  • 処方は,座薬でボルタレンサポ(痛み止め),ネックカラーソフト(首の固定)
  • 治療法は安静にしていることのみ
  • 整体や接骨院でマッサージを受けたりしてはいけない
  • 風呂などで温めるとよい
  • 姿勢としては,首を上に向けないこと
  • 寝るときは,枕を高めにすること

「ネックカラー」というのは,首の動きを制限する首輪のことである。ムチウチになった人がやっているアレである。治すには安静にするのが一番とのことで,下手に色々しないことだそうだ。安静にして時間で治すということになる。3日前に鍼灸院に行ってマッサージを受けてしまった。確かにマッサージ後も改善はみられなかった。温めるとよいというのは,鍼灸師と同じ意見である。首の角度に注意せよというのは,今までにないアドバイスである。

総合病院 (2007-10-11 発症より11日)

総合病院で MRI の検査を受ける。所要時間30分。ビンビンという大きな音がする筒の中で30分を過ごした。少しでも動くと画像が乱れてしまうということで,鼻のかゆみをこらえるのが大変だった。始まると中断はできないのだ。MRI 開始時に,手にスイッチを握らされた。ぎゅっと握ると検査を停止することができるというものである。ただし,使えるのは緊急の場合のみ。緊急停止すると,検査が不完全なまま終了してしまうからである。スイッチはカメラのシュポシュポのような,昔の血圧計の空気ポンプのような形で,握るとパイプを通じて空気が送られるようになっているようだった。検査の結果はまた後日となるとのことだった。

今日になっても症状は改善していない。検査をしても,症状がよくなる訳ではないのだ。当たり前なのだが。

まとめ

総合的にみて,総合病院の医師の所見と指示が,もっとも的確であり信用できるものであるように思えた。最終的には,どの医師の診断を信じるかは自分で判断するしかない。私の判断基準は,その医師が,こちらが納得するまで説明をしてくれるかどうかということにしている。その点では,町の整形外科診療所の医師はヤブである。診療所には多くの老人が通っているので,その医師がヤブであることはないだろう。しかし,私のこの症状に限ってはヤブである。

安静にする日々はまだ続くのであった。

2008年2月6日追記:
回復しました (nlog(n): 頚椎ヘルニアその後)。

Posted by n at 2007-10-12 02:32 | Edit | Comments (3) | Trackback(1)
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ハミ乳と出っ歯は ヘルニアか?
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Comments

大変なことになってるじゃないですか・・・

医者としては 安静! って事なんでしょうけど

本人にしても 安静にしてないと 痛むから・・・

そうもしてられない! って思いも出てきて・・・

無理せずに!

早く 治る事 祈ってます☆

Posted by: maro助 at October 12, 2007 13:40

私も同じような首の痛みに悩まされている。今日で発祥6日目だが、ずいぶんと症状は改善されており。首は後ろにもかなり傾けられるまでになった。左肩も、常に手を当ててないときになる状態からは脱したが、やっぱり脇の背中側が気になる。結局、何日ぐらいで直りましたか?

Posted by: CHIKA at February 03, 2008 16:53

CHIKA さん
ほぼ元通りになるまで3か月かかりました。まとめの記事を書きました。参考になれば。
http://nlogn.ath.cx/archives/000971.html

Posted by: n at February 07, 2008 00:03
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