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Photo 「ベルサイユのばら」を読む

ベルサイユのばらを初めて読んだ。「ばら」を指す人物は誰なのだろうか。

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「ベルサイユのばら」は池田理代子の漫画作品で,「週刊マーガレット」に1972年から1973年にかけて連載されたものである (ベルサイユのばら - Wikipedia)。アニメでも宝塚でも人気の作品であるが,今まで読んだことがなかったのだ。

時代は1789年のフランス革命の頃で,フランス王政が破滅の道に向かって進んでいく様子が描かれている。主人公は男装の麗人オスカル。女性として生まれながら,男性として育てられたことに苦悩する。登場人物のうち,オスカルと従卒のアンドレは架空の人物,フランスの王ルイ16世と王妃マリー・アントワネットは実在の人物である。時代背景は史実に基づいて描かれている。

話は淡々と進んでいく。もったいぶったところがない。話の中心にはオスカルがいるが,マリーアントワネットにもかなりの重心が置かれ,大河ドラマ的な仕上がりとなっている。

ベルサイユのばら
ベルサイユのばら


私が読んだのは文庫化された単行本である。日本語タイトルの下にフランス語タイトルが併記されている。「ベルサイユのばら」のフランス語タイトルは「La rose de Versailles」となっている。ベルサイユが複数形である。ベルサイユ宮殿の「ベルサイユ」も複数形なので問題ない (ヴェルサイユ宮殿 - Wikipedia)。不思議に思ったのは「ばら」である。「La rose」は単数である。ベルサイユ宮殿の貴族の女性達をばらに例えるなら「Las roses」となりそうなものだ。しかし,これは単数であるから,1人の人物を指していることになる。バラは女性に例えられることから,男性は除外していいだろう。そうなると候補は2人,オスカルとマリー・アントワネットである。オスカルは近衛将校として,マリー・アントワネットは王妃としてベルサイユ宮殿にいるからである。

まず,マリーアントワネットが「ばら」であろう理由は2つある。1つ目は,ベルサイユ宮殿の持ち主は国王であり,マリーアントワネットはその妻であるからである。オスカルもベルサイユ宮殿にはいるが,つながりとしてはマリーアントワネットの方が強い。2つ目は,次の理由である。池田理代子がオーストリアの作家・シュテファン・ツヴァイクの小説『マリー・アントワネット』に感銘を受け、同小説を参考にして描いた作品であると言われている (ベルサイユのばら - Wikipedia)。マンガのタイトルは小説のタイトルと同一人物を指すのが自然だとみれば,「ばら」はマリーアントワネットとなる。

一方で,オスカルが「ばら」であろうとする理由も2つある。1つ目は,オスカルの存在の大きさである。オスカルは架空の人物であるが,マリーアントワネットを描くために作られたにしては,あまりに存在が大きい。マリーアントワネットに関係のない,オスカル自身にまつわる話が多すぎるのだ。マリーアントワネットが重要な人物であることはもちろんだが,池田理代子が描きたかったのはオスカルなのである。主人公オスカルをタイトルで「ばら」と表現するのは自然である。2つ目は,「ばらはばらは〜」が印象的なアニメの歌詞である (薔薇は美しく散る)。「薔薇」はオスカルであるように思われる。マリー・アントワネットが自らの生をまっとうしようとするのは死の直前のみであり,「情熱を燃やして生きる」のとは違う。歌の最後の「ジュテーム オスカル」はアンドレの台詞だろう。

結局,「ばら」は誰かという疑問に対し,決定的な確証が得られなかった。

さて,次は名前についてである。「オスカル」というのは,「『神と剣』を表すヘブライ語」であるとマンガの中で説明されている。意味としては男性的である。名前としては,最近の日本なら「賢一郎」や「誠太郎」のようなものかも知れない。DQN の世界では,どちらも女性の名前であるという (DQNネーム(子供の名前@あー勘違い・子供がカワイソ))。

作中で,「名前に『ド』がつくと貴族」とあった。知らなかった。本当だろうか。

昨日10月16日はマリーアントワネットが断頭台の露と消えた日である。「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」は,マリー・アントワネット自身の言葉ではないとされる (マリー・アントワネット - Wikipedia)。

Posted by n at 2007-10-17 23:40 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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