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太宰治の「正義と微笑」は日記風の小説なのだが，途中から曜日と年齢が現実と合わなくなる。

太宰治の「正義と微笑」は日記風の小説である。これは青空文庫で読むことができる (太宰治 正義と微笑)。前の記事を書いているときに (nlog(n): 太宰治の小説「正義と微笑」に救われる)，ふと気になって曜日を調べてみると，日記に書かれている曜日と，現実の曜日がずれていることが分かった。書いてある年齢も食い違っていて，何がどうなっているのか分からない。

当時の曜日を知るには万年カレンダーが便利である (あの日は何曜日？万年カレンダー)。

一覧表にしてみることにする。日記は日付ごとに区切られていて，最初に日付と曜日が記されているので，これを左側の欄に示す。最初が「四月十六日。金曜日。」となっている。その中で「僕も、すでに十六歳である。」と書かれている。太宰治は1909年6月19日(明治42年)生まれだから (太宰治 - Wikipedia)，4月の時点で16歳ならば1926年となる。この年の曜日は合っている。問題は次の年である。

1926年7月14日の次は，一気に飛んで「1月4日水曜日」になる。このとき太宰は17歳である。1927年のはずなのだが，カレンダーによると1927年1月4日は火曜日なのである (1927年カレンダー)。本来は火曜日のはずが水曜日と表記されているので，「日記曜日と算出曜日の差」の欄を「1」としている。1月4日が水曜日なのは，さらに翌年の1928年である。

「6月4日火曜日」という記述があるが，前後関係から考えると日曜日になるはずである。大きく違っているのはこの日だけなので，これは単なる誤植の可能性が高い。

7月になり，太宰は18歳になっているはずである。しかし，最後の「12月29日金曜日」の日記には「来年、十八歳」と書かれており，まだ17歳ということになっているのである。もし太宰が17歳であるなら，1926年のはずだが，12月29日は水曜日である。

この食い違いはいったい何なのだろうか。

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