緒方拳が亡くなった。「ちょっとマイウェイ」「破獄」の演技が強く印象に残っている。
先日,2008年10月5日,俳優の緒形拳が亡くなった。享年71。
5日に亡くなった俳優の緒形拳(本名・緒形明伸)さんの密葬が7日、東京都内の斎場であった。葬儀後、俳優の長男・幹太さん、次男・直人さんが会見を開き、死因が肝臓がん破裂の出血だったことを明らかにした。幹太さんは「仕事人間だったので、肝臓がんだったことは家族にしか言っていなかった」と話した。
臨終の場には津川雅彦氏も立ち会われたそうで,その様子がブログに綴られている。
話しの最後に、俺の手を握りながら 『お前身体大事にしろよ!良い映画沢山創ってくれよな!治ったら、うなぎ喰いに行こうな、白焼きをな』と冗談交えて、医者に危篤を宣言されてる患者とは思えない、明るい台詞を残して、その4時間後には、歌舞伎役者のように、虚空を睨み付けながら、静かに、静かに、息を引き取った!実に安らかに、全く苦しむ様子も見せず、名優らしい!カッコいい!立派な最後だった!俺もあんな死に方したいと、本気で思えた!臨終に間に合い、話が出来てつくづく良かったと思ってる!
「緒形 拳」の読み方は「おがた こぶし」だったのだという (緒形拳 - Wikipedia)。ただし,緒形拳 公式ブログ hara8bunme では投稿者名が「おがたけん」とひらがなになっている。「こぶし」が本当で「けん」はペンネームだったのか,それとも周りの皆に合わせたのか。
さて,私が観たものの中で,緒方拳で強く印象に残っている作品が2つある。1つは1979年に日本テレビで放映された「ちょっとマイウェイ」である (nlog(n): 懐かしすぎるドラマ「ちょっとマイウェイ」)。洋食レストランのコックのチーフ役で,実直な人柄を演じた。堅物な感じは,本人の「地」に近かったのかも知れない (緒形拳 - Wikipedia の合コンのエピソード)。
もう1つの作品は,1985年放映のNHKドラマ「破獄」である (破獄: 緒形拳, 津川雅彦, 佐野浅夫, 趙方豪, 吉村昭, 山内久: DVD)。緒方拳は網走刑務所に収容され,何度も脱獄を繰り返す死刑囚を演じる。津川雅彦は看守役である。脱獄するのに,味噌汁を窓の鉄格子に毎日吹きつけて錆びさせたり,部屋の角を背にして両手両足で踏ん張って天井まで上ったりするのだ。緒方拳は鬼気迫る名演で,その表情が今も思い出される。
部屋の角を上るのは自分でもできそうな気がして練習してみたが,不可能だったのを思い出した。足を床から浮かせることはできたが,それ以上は無理だった。
ブログの記事にするのにその人の死をきっかけとするのはいささか不謹慎な気もするのだが,人の死というのは,その人にとっての,そして周りの人間にとっての,大きなイベントでもあるので,これが心に刻む1つのものになるのならば許してもらえるのではないかとも思う。
Posted by n at 2008-10-08 23:46 | Edit | Comments (0) | Trackback(0)
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