4次元空間をイメージするのは難しい。実は,むしろ無限次元の方がイメージしやすかったりする。少なくとも親しんではいる世界ではある。
「4次元空間をイメージするには?」これは難しい,というか普通は不可能である。「私たちの住んでいる世界は3次元空間だから,それに時間の次元を加えて4次元」という説明もあるが,うまくイメージできない。ここでは,4次元空間や,それよりも多くの次元の空間,そして無限次元空間をもイメージする方法を紹介する。
私は,「イメージする」という言い回しに抵抗があるのだが,ここでは「頭の中に思い描く」という意味で使うことにする。
次元とは,空間の広がりを表す指標の1つである (次元 - Wikipedia)。その空間内の点が動ける自由度と考えるとよい。
空間をイメージする普通の方法は,上の図の通りである。0次元は,1点からなる空間である。その空間内の点は動くことができないので,自由度ゼロ。
1次元は,自由度1。1次元空間は,直線や曲線で表される。1次元空間上の点は,その直線や曲線の上を動くことができる。
2次元は,自由度2の空間。2次元空間は,平面や曲面で表される。1次元空間上の点は,その平面や曲線の上を動くことができる。漫画は2次元の媒体上で表現されるため,漫画のキャラクターは「2次元」と呼ばれることがある (2次元 - Wikipedia)。
3次元は,自由度3の空間。幅,奥行き,高さのある立体が表現できる空間である (3次元 - Wikipedia)。高校までの数学で普通に学ぶのは3次元までである。
4次元は,自由度4の空間である。私たちの住んでいる世界は,空間的広がりの物理的3次元に,時間の1次元を加えた,合計4次元の「時空」であると考えることができる (4次元 - Wikipedia)。しかし,この4次元からなる時空を,物理的3次元のようにイメージすることは残念ながらできない。現実世界にある「物」は経年変化するので,同じものでも,少し前に見たものとは違うのかもしれない。そう考えると,「写真」というものを考えてみると,3次元空間のある一瞬を2次元に焼き付けているものなので,3次元空間の2次元への写像である。時間を含めれば写真もまた3次元なのかもしれないが,それはまた別の議論になろう。
無限次元は,4次元が無理なので,これもイメージするのは無理である。
1次元からはじめて,無限次元までをイメージする方法は,実は簡単である。座標を直行させていくのではなく,横に並べてしまうのである。
まず,1次元は,自由度1だから,1つの点の位置は,座標が1つ決まれば決まる。したがって,上の図のように表現することができる。
2次元空間上の1点は,2つの座標が決まれば,その位置が決まる。したがって,上の図のように2点を使って表すことができる。
3次元空間上の1点は,幅・奥行き・高さの3つの座標が決まれば,その位置が決まるから,上の図のように3点を使って表すことができる。より正確には「3次元空間上の1点は1次元空間上の3点で表現することができる」である。上の図の縦軸は高さしかない。なぜなら1次元だからである。
この方式で行けば,4次元を表現するのは簡単である。4次元空間上の1点は,上のように4つの点で表現することができるのだ。
ここまで来てしまえば,次元がいくつになろうが全然平気である。上の図は11次元空間の1点である。超弦理論では10次元とか11次元が出てくるようだ (超弦理論 - Wikipedia)。
100次元。
そして,無限次元である。「これって,どこかで見たことない?」なデジャヴ感。中学生のときにさんざん描かされた関数のグラフである。つまり,ある関数というのは,無限次元空間のある1点でもあるのだ。
これで人に自慢することができる。「おいらなんかは,4次元どころか無限次元でもイメージすることができるもんね。ただし,無限次元の1点だけだけどな。」
「ただし」がつくところがちょっと罠である。
2009年3月13日追記:
上で使った図の描き方についてまとめました (nlog(n): 「4次元よりも無限次元…」の図の描き方)。
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面白かったです。
Posted by: あ at July 07, 2010 19:04無限次元の点が回りまわって2次元に帰着できるとは
知らなかった
あ さん
Posted by: n at July 08, 2010 21:56厳密には「帰着」とは違うと思うのですが,1つのものが別の視点から見ることができるということは興味深いことですよね。
これからは2次元のグラフが今までとは違って見えるかも。