虫歯になるのはミュータンス菌という口の中の虫歯菌が原因である。子供を虫歯にさせないためには,親の虫歯菌をうつさないようにすればよい。しかし,これを実行するにはかなりの困難がともなうことが分かった。虫歯菌は「親の」だけではないからだ。
「虫歯は虫歯菌から」という認識が一般的になってきている。虫歯になるのはミュータンス菌という口内細菌のせいなのだ (ミュータンス菌 - Wikipedia)。ミュータンス菌は,食品の中には存在しない。存在するのは人間の口の中なのである。
子供を虫歯にしないようにするには,親のミュータンス菌を子供にうつさないようにすればよい。ペットからうつるという例もあるようだ (お母さんから虫歯菌が移る)。
日々の生活で推奨されていることは次の通り。
- むやみにキスをしない
- 母親(家族)のスプーンや箸などでたべさせない
- 硬いものを口で噛み砕いて与えない
- 熱い食べ物や、飲み物をフーフーしてから与えない
これを実行する期間は,生後1歳半から3歳までの1年半である。この期間を過ぎれば,口内における細菌の勢力図が固定されるので,虫歯菌がうつる確率が減るのだ。しかし,毎食,3食*365日*1.5,気を抜かずにやるのはかなりの苦労である。これだけでも気が遠くなる。しかも,1度たりとも失敗することはできない。それまでの努力は水の泡になるのだ。
厳密にやりすぎて,親の方が精神的に参ってしまってはいけない。しかし,できる限りのことはしてやりたい。ミュータンス菌がうつらなければ,「虫歯になる」ということと「口の中をきれいにする」ことは別のこととして考えることができる。「虫歯にならないように歯を磨く」という表現は「口をきれいにするために歯を磨く」に変わる。後者の方がずっとポジティブな考え方である。とはいっても,つい「虫歯になっちゃうよ」と言ってしまうが。
実際に子供を育ててみると,「虫歯菌をうつさないキャンペーン」の実行はかなり難しいことが分かった。それは,他者の存在である。ミュータンス菌を持っているのは,何も親に限ったことではないのだ。
まずは,周りの人への説明である。説明して,虫歯菌というものがあるということを納得してもらう。そして「実際にはどうやるのか」についても説明する。できるだけ単純でなければならない。私は次のようにするように言った。
こう言うと,おばあちゃんは「そのくらい大丈夫よ」と言ったが,大丈夫である根拠は何もなく,単に「面倒くさい」の言い換えでしかないので,「虫歯になって一番困るのは孫なんだが」と言って納得してもらった。
実際に直面した困難について例をあげる。
友人「あら可愛い。じゃ,あたしが初キッスを奪っちゃおー!」
私「おい!」
最悪である。
おじいちゃん・おばあちゃんは,可愛がってくれてとてもありがたいのだが,虫歯菌撲滅運動にとっては最大の敵である。虫歯菌のことを知らずに育った年代だからである。
子供「かゆーい」
おばあちゃん「蚊に食われた? 唾をつけておけばいいわ。ヌリヌリ。」
私「ヌリヌリだめ〜〜!」
ツバではなくてペケポンでOKである。「ペケポン」とは,蚊に刺されたところに爪を押し付けて×印をつけることの通称である。
子供「ビェ〜 (泣)」
おばあちゃん「どうしたの? 転んで擦りむいた? 唾をつけておけば…」
私「だから,ヌリヌリだめ〜〜! って本当にもう!」
おばあちゃん「ご本を読んであげましょう。あら,ページがめくれないわ。ペロ。」
私「ペロもだめ〜〜!」
長女は年齢的に山を越えたが,ネクストバッターズサークルにいた次女が打席に入ってきた。「おねえちゃんはいいけど,いもうとはダメ」という条件は難しすぎるので不可。もしかすると,どこかでもう感染しちゃってるかも知れない。が,この「もしかしたら無駄かも知れない」「あっという間に水の泡」という無闇な努力は,まだまだ続くのであった。
Posted by n at 2009-04-22 06:29 | Edit | Comments (2) | Trackback(0)
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こんにちわ。僕のとことろも、全く同じ戦いを挑みましたよ〜。
Posted by: おお at May 01, 2009 12:55男の子が三人なんですけど、上の二人は一番のテキ、おばあちゃんのクチャクチャして「はーい、あーん」攻撃にも私が対抗してやめてもらい。11歳、10歳になったいまでも虫歯は全くなしです。
だけど一番したの今4歳は、もう面倒なのであきらめました。チョコホリックだし、コーラも飲むし、DSも操作できるバイリンガルなボーイに成長しています。フッ素入りの水道水に守られ、歯医者ではシーリング処理を1万円くらいで行い、あとは寝る前に歯磨き。これ以上はもういいや。
おお さん
Posted by: n at May 02, 2009 23:59それはお見事。虫歯がないことのありがたさは大人になってから分かるのでしょうね。