コンピュータを使い始めるときはログインか,それともログオンか。この使い方での意味は同じものだが,英語では in/out と on/off は異なる意識で用いられる。
計算機を使い始めるとき,マルチユーザの環境を提供する OS では,最初に自分のユーザ名とパスワードを入力する必要がある。その開始作業を何というか。Unix, Linux では「ログイン」,Windows では「ログオン」である (ログイン - Wikipedia)。
利用開始時のユーザ認証の際に,プロンプト (入力を促す語) として何が使われているかを,オペレーティングシステム毎にまとめると,次のようになる。
オペレーティングシステム | プロンプト |
Unix, Linux | login |
NetWare (NetWare - Wikipedia) | login |
MacOS | log in |
Windows | log on |
MVS (Multiple Virtual Storage - Wikipedia) | LOGON |
「ログオン」というのはマイクロソフトが初めてつけてきたのかと思ったら,IBM のメインフレームの MVS ですでに使われていた。それでも,マイクロソフトの対抗意識というのはかなり強いと感じる。Unix の「ログイン」に対して「ログオン」,ディレクトリの区切り記号は Unix の「/」に対して「\」などがあげられる。Unix と Windows を併用するとき,この違いがとても面倒くさい。
さて,英語では,動詞として使う場合 log in, log out と分離して書き,名詞として使う場合は login, logout のようにつなげて書くそうだ (Login - Wikipedia, the free encyclopedia)。
コンピュータを使うようになって日が浅いためか,普通の単語には見られない形式のものがある。log と in の合成語 login は「ロギン」ではなく「ログイン」と発音される。in と put の合成語は「imput」ではなく「input」と書かれる。「p」の直前の「n」が「m」に変化していないのは,辞書の中でもこの単語くらいである。
最近の Web サイトの個人アカウント利用で出てきたのは,「sign in/sign out」である。「sign on」は,IBM が使った用語で現在は多くは用いられていない。「シングルサインオン」の用語の中に残っている (ログイン - Wikipedia)。Web サイトに個人アカウントを作るときは「sign up」が使われる。
英語の感覚として out と off はどう違うかについては,マーク・ピーターセン著「英語感覚をみがく」に記述がある。
ある点や面から離れて,関係ないところにいる,というのが off で,ある立体的な空間の内から外へ,というのが out,言い換えれば,ある場所を二次元の感覚でとらえれば off で,三次元の感覚で意識しているのが out です。
絵で表すと,下のようになるとのこと。
こういう説明というのは嬉しい。この本「英語感覚をみがく」は,「日本人の英語」を高校生向けに砕いた内容になっている。ピーターセンの文には日本好き過ぎ感がにじみ出ていて面白く,彼の本を読むと英語が近く感じられるようになる (nlog(n): 「日本人の英語」に出てくる「電子レンジの猫」,nlog(n): 教育的というよりもむしろ感動的な「続・日本人の英語」)。
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