駅の南口を出たところにある地図は南を上に描いてある方がよい。他の方角についても同様で,地図を向こう側に倒したときと進行方角が一致している方がよい。北がどちらの方向にあるのかがその場で分かるとは限らないからである。
本になっている地図は北が上になっている。少なくとも北半球にある国の地図は北が上である。しかし,道端に立っている地図に関しては,この原則にしたがう必要はない。むしろ,別の原則にしたがうべきである。それは,その地図をそのまま向こう側にパタリと倒したとき (実際には倒れないので想像して),地図の向きが実際の地域の向きに合っているという原則である。つまり,地図の上方向を進行方向と一致させるという原則である。
一般に,男性の方が地図を読むのが得意だと言われている (男は「地図を読むのが得意」女は「道順を思い出すのが得意」研究で明らかに | ロケットニュース24)。地図を進行方向に合わせるように回した方が見やすいという人と,その必要はないという人がいる (コトノハ - 出先で地図帳を見る際カラダの向きに合わせて地図をグルグル回転させてしまう)。この例だと,男性の方がグルグル回さなくても読めることが多いということである。北が上に統一されていた方が混乱しないという人もいる。しかし「統一」が必要なのは,地図が何ページもある場合である。もし地図が1枚だけだったら,進行方向と地図の向きが一致していた方がいい。脳内で回転させるという作業が発生しない分,脳にかかる負荷が低くなるからである。また,「北」がどちらの方角か分かるとは限らないからである。
カーナビには,常に北を上にして表示するモードと,進行方向に合わせて地図の向きが変わるモードがある。好みが分かれるからか,時と場合によって使いやすいモードが違うからなのだろう。
さて,先日,京王線つつじヶ丘駅で降りたとき,南口にはいくつか地図が並んでいた。特徴的な2つの地図があったので,例としてあげることにする。
これは北を上にして描かれている地図である。地図帳からそのまま抜き出すと,このようなものになる。縮尺もバッチリである。しかし,駅が上に描かれているのが問題である。南口を出たところにある地図なので,進行方向は,地図で言えば下方向になるのだ。北がどちらかが分からないので,頼りになるのは線路の伸びている方向だけである。つまり,頭の中でやらなければならないことは,線路の方向を確認して,その線路の傾きから北がどちらかを推定しなければならない。これは無駄な作業である。
一方で,こちらは昔ながらの手書きの地図である。縮尺はいまいちであるが,方向は正しい。駅が一番下に描いてあるのだ。これならば,「北がどちらであるか」ということは考える必要がないのである。
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