注意欠陥障害を持つ人間は,ものごとをすっ飛ばしてしまいがちである。ひとつづつこなしていくための方法について考える。
ADD とは Attention Deficit Disorder のことである (注意欠陥・多動性障害 - Wikipedia)。
ADD っぽい私は,ものごとを一つづつこなしていくことが苦手である。スタートとゴールが与えられれば,最短を目指す。この最短経路を目指すという姿勢は,一見効率的であるように見える。しかし,経路が複数あって,ゴールにたどり着く前に複数のアイテムを拾っていかなければならない迷路である場合,この性質は最大限に非効率に働いてしまうのである。
ADD の忘れ物対策として効果的なのは,忘れ物のことや忘れそうだったが忘れなかった物についてメモなどに記録していくことである (nlog(n): ADD のための忘れ物対策)。以下で述べる工夫は,忘れ物対策にもなり,記録と合わせれば二重の安全策になる。
例えば,上のような迷路を考えてみる。スタートからゴールまでは一直線でたどり着くことができる。しかし,途中の脇道には財宝があるのである。ゴールまで最短距離を行くと,一番速いが,無一文である。できればすべてのお宝を手に入れてからゴールにたどり着きたい。
このでの財宝とは,自分でやるべきことである。やろうと思っていることでもいいし,やらなければならないことでもいい。とにかく「何らかの処理が必要なこと」である。スタートは現時点。ゴールは…ゴールというものは明確な目標の方がいいに決まっているが,明確だが目標ではないこともあり,ここでのゴールは「1日の終わり」である。
そして,ADD 的な私は,アイテムをとることなく,スタートとゴールの間でぼーっとしていたり,行ったり来たりするだけで終了してしまうことがあるのだ (泣)。
その原因は,迷路があまりにも複雑であることのように思える。しかし,アイテムまでの壁を外して,通り道からモロに見えるようにしておいても,なかなかそのアイテムを入手できず,通りすぎてしまうのである。
たまたまアイテムを1つゲットできたとしよう。しかし,ゲットしてしまったがために,本来ならもっと重要な,「自分でこれをやろうと思っていたこと」ができなかったりするのだ。
具体的な例を上げてみよう。例えば,電子メールの場合である。重要なのは「メールを書くこと」であるのに,メールソフトを起動すると最初に「メールを読むこと」を先にしてしまい,メールに書いてある URL に飛んだり,関連事項を調べたりして,「メールを書くこと」をすっかり忘れてしまうのである。
これを好意的に解釈すれば,メールを読むことは,書く前に必要なことでもあるので,単に書くことまで手が回らなかったという見方もできる。確かに,相手から追加のメールが来ていることもあるので,読むことは大切ではあるのだが…。忘れるのがいつものことだと自己嫌悪に陥る。
忘れるのを防ぐ一番いい方法は,アイテムを全部通路に置いてしまうことである。見えるところに置いておいても見過ごしてしまうので,アイテムをとらなければ前に進めないような状態にしておくのである。
そのもの自体が通路に置けないようなものの場合,代替になるのはメモである。ただし,ここでも重要なのはメモを1つにしておくことである。1つに全部を書くか,1つに束ねておく。2つ以上に分散させてはいけない。2つに分ければ,1つだけを見て終わりになってしまう可能性があるからである。「あるのは知っているのにできない」という上であったことと同じことが起こってしまうのだ。
この方法を上手に使っているのが,あーささんである (ADHD漫画で解説サイト)。そのもの自体を目につくところに置いておくことや,代わりのメモを使う方法が紹介されている。「きらっといきる」は NHK の番組だが,放送内容紹介のサイト 2010年2月 は削除されてしまっているため,Wayback Machine の力を借りることにする。
精神論より方法論
思い出したら、その場でメモをとるのがポイント。メモはバッグのストラップに、直接クリップで止めておきます。 “嫌でも目につくようにする”。それがあーささんの流儀です。このアイデアは、マンガの中にも紹介されています。 再び掃除に戻ったあーささん。洗面台のタオルを、新しいタオルと交換。そして、使用済みのタオルを廊下に置きました。洗濯機まで持って行くと、今度は掃除をしていたことを忘れてしまう可能性があります。そのため、タオルを廊下の真ん中に置いておくのです。掃除機をかけ終え、今度はバッグを床に置きました。せっかくメモをつけたのに、忘れてしまっては元も子もありません。
この方法を含め,その他の対策に関しては 改善策紹介 にまとめられている。
メモが使えないときの代替手段は,道順を思い描いておくことである。これも割合と効果的である。スタートにいるときに,今日通る道を想像しておくのである。真っすぐ行ってしまわないように,心理的なブロック道路の真ん中にを置いておければなおよい。ブロックを避けた結果,通る道沿いに店があってアイテムを購入できるのである。これが効果的なのは,本当にどこかの店で品物をチェックしたり購入したりする場合である。実体のない作業の場合は難しい。
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