Mac に Virtualbox をインストールして,ゲスト OS として Windows 7 32-bit をインストールする。しかし簡単にはいかず,試行錯誤の末ようやく動作するようになった。
Mac を購入したものの (nlog(n): MacBook Pro 購入),Windows からも離れることができず,結局2台とも手放せないということになっている。家で使うときはいいが,持ち歩くとなるとどちらを選ぶか,それとも両方か迷う。そこで,Mac で Windows のソフトウェアを使えるようにして,Mac だけで完結できるようにすることを考える。
Mac で Windows を動かす場合,Boot Camp を使えば Mac の筐体がそのまま Windows PC になる (Boot Camp を使って Windows をインストールする方法 - Apple サポート)。動作は高速で快適らしい。ただし,Mac と Windows を切り替えるには再起動が必要。しかも,ネイティブとして動作させるために,64 ビットの Windows でなければならない。現在,私が所有しているライセンスは 32 ビットのものしかなく,Windows ソフトも 32 ビット。そのため,Boot Camp は見送りにすることにした。
残る選択肢は MacOS 上で Windows を仮想 OS として動作させる方法である。有料のものでは Parallels Desktop,VMware Fusion,無料のものには Oracle VM VirtualBox がある。VirtualBox はもともと Innotek が開発していたものだが,Sun が買収し,さらに Sun は Oracle が買収したため現在は Oracle 名義となっている (VirtualBox - Wikipedia)。
今回はまずはお試しということで VirtualBox をインストールして使ってみることにした。しかし,これが単純にはいかなかったのである。
動作環境は,MacOS 10.9.3 Mavericks (64-bit), VirtualBox 5.0.8, Windows 7 Ultimate Service Pack 1 (32-bit) である。ここでは 32 ビットの Windows を使ったが,これはライセンスを所有しているバージョンが 32 ビットだからなので,ゲスト OS としては 64 ビットでも当然構わない。
Oracle VM VirtualBox から VirtualBox for OS X hosts をダウンロードしてインストールする。
VirtualBox で仮想マシンを新規作成し,その仮想マシンに対して環境設定を行う。Windows 8 用の環境は Windows 7 でもそのまま使える (How to run Windows 8 in VirtualBox | ExtremeTech)。ここが特に重要で,これを行わないと動かない。
新規に仮想マシンを作成し,タイプを「Microsoft Windows」,バージョンを「Windows 7 (32-bit)」に設定する。ディスクはデフォルトの 25 GB を指定。作成した仮想マシンをクリックして選択し,「設定」ボタンをクリックすると,設定ウィンドウが開くので,以下の値にする。
Windows 7 の DVD をセットし,インストールを開始する。DVD が仮想マシンに認識されると,DVD のアイコンは Mac のデスクトップから消える。取り出したいときは,仮想マシン上で「取り出す」を行うか,仮想マシンを終了する必要がある。
さて,インストールが一通り終了すると,自動的に再起動する。ここで Windows 7 が起動すれば完了である。無事に起動しなかった場合,再起動後の画面が真っ黒で次のように表示された場合は,以下の手順を踏めばインストールに成功する。
Ctrl+Alt+Del は,仮想マシンの画面右下のアイコンを押すと送ることができるが,これを行っても同じ画面になるだけで,非常に残念である。このメッセージは,Windows 7 の起動に必要なブートセクタに bootmgr (ブートマネージャ) がないと言っているので,何とかしてこれを作ってやる必要がある。
そこで,DVD の Windows 7 インストールをもう一度起動し,「コンピューターを修復する」を選んで「コマンドプロンプト」を起動する。この「コマンドプロンプト」に至るまでが少しばかりトリッキーな方法なので詳しく説明する。
DOS 窓が開いたら,bootrec コマンドを起動する。オプションについては Windows RE で Bootrec.exe を使用してスタートアップに関する問題のトラブルシューティング を参照。
コマンドプロンプトを終了し,システムを終了する。ここで再起動しても,BOOTMGR is missing のままである。
さて,気を取り直して,みたび DVD で Windows 7 インストールを行う。今回は「今すぐインストール」→「新規インストール」として進む。すると,前回までにはなかった「Windows のインストール場所を選択してください。」ウィンドウが表示される。ディスクがパーティション分割され,「システム」領域が 100 MB 確保されていることが分かる。bootrec コマンドで修復を行った結果,作成された領域である。
Windows のインストール場所としては,「プライマリ」領域である「ディスク 0 パーティション 2」を選択する。
これでインストールを続ければ完了である。インストール直後のディスクは「空き 16.4 GB / 24.8 GB」と表示された。Windows 7 Ultimate SP1 のディスク使用量は 8.4 GB ということになる。Windows Update をかけたところ,「149 個の重要な更新プログラムが利用可能です 446.9 MB」となった。
マウスを Windows の画面内でクリックすると,マウスカーソルが Windows のものになってしまい,Mac 側に脱出できなくなる。脱出する方法は,「ホストキー」を押すことである。「ホストキー」とは,ゲスト OS からホスト OS に操作する権限を渡すキーで,VirtualBox のゲスト OS ウィンドウの右下に表示されているものである。Mac の場合,デフォルトは「左コマンド」キーなので,「Left ⌘」と表示されている (Chapter 1. First steps)。変更するには,この画面右下の「下向き矢印 (↓)」キーをクリックし,「Keyboard Settings...」を選択,「Host Key Combination」をクリックしてから新たに割り当てるキーを押せばよい。例えば「右側の ⌘」を押せばよい。右コマンドキーがホストキーになると,左コマンドキーは Windows キーとして働くようになる。このホストキーを知らなくても,指4本を左右にスワイプして全画面アプリケーションの切り替えをすれば,Mac に操作権が渡る。
ちなみに,Mac のコマンドキー「⌘」の数値文字参照は「⌘」である (How to Print the Apple / Command Key Symbol Using an HTML Entity ~ hackaddict.net)。
Mac の VirtualBox に Windows 7 をインストールした。すんなりインストールできなかったが,試行錯誤の末にようやく成功した。もしこれが最初から分かっているのであれば,最初のインストールの際に新規インストールではなく修復から始めれば時間の短縮になるはず。
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